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2010-01-23[n年前へ]

「右の頬を打たれたら、左の頬を…」に隠された意外な秘密  (初出:2006年08月01日頃)  share on Tumblr 

 見慣れた景色や言葉の中にも、何か心に引っかかる謎が潜んでいることは多いものです。そして、その謎に隠された秘密を解き明かそうとすると、「さらに奥にある部屋への鍵」を手渡される、ということも多いものです。

 最近、私が見たそんな「謎」は「右の頬を打たれたら左の頬をも向けなさい "But whoever strikes you on your right cheek, turn to him the other also."」という言葉です。新約聖書マタイ伝の中に書かれているイエス・キリストの言葉です。この言葉を聞いた人が書いた、「あれ?ふつう右利きの人がほとんどですよね?だとしたら、右の手で相手をぶつんだから、(頬をぶたれる側の人からすれば)左の頬を打たれることになるんじゃないですか?最初に、右の頬を打たれたらってヘンじゃないですか?」という疑問を眺めたのです。…確かに、不思議です。世の中の90%くらいの人が右利きだということを考えると、ぶたれる頬は「左頬」が自然です。相手から「右頬」を打たれる、というのは何だか不自然です…?

 そこで、Wikipedia の"Turn the other cheek"の項や、「右頬を…」という言葉を解説した文章を読んでみると、とても興味深い(もっとも支持されている)説を知りました。それは、この言葉で勝たれているのが、「右手の甲で相手の右頬を打つ」という状況だった、ということです。確かに、右手の甲で相手の顔を払うように打つのであれば、(頬をぶたれる側からすれば)右頬が打たれることになります。そして、古代のユダヤ世界では、「手の甲で相手の頬をたたく」ということは、非常に相手を侮辱する行為で、自分より「階級・地位」が下である者に対してのみ行うことが許されていた、というのです。また、当時は左手は「悪い」側の手とみなされていて、自分の主張などを行う際には使うことができませんでした。だから、「右手の甲で相手の頬を打つ」というのは、「自分より地位が下のものを、侮辱しつつ叱責する」という目的で「ごく自然に行われていた」行為であった、というわけです。

 なるほど、だとすると、「最初に、右の頬を打たれたらってヘンじゃないですか?」という疑問は氷解します。…だとすると、今度は次の疑問が湧いてきます。「さらに奥にある疑問」が浮かんでくるはずです。「右の頬を打たれたら左の頬をも向けなさい」という言葉は、一体どんなことを言わんとしてるのでしょうか?

 「左の頬を向けられ」たら、(右頬を打った)相手はどうするでしょう?左手は使えませんから、左の手の甲で「左頬」を打つことはできません。だとすると、右手の掌で相手の左頬を打つことになります。…しかし、(自分より相手の地位が下だとみなす行為である)手の甲で相手を打つのではなく、「掌で相手を打つ」ということは、相手を自分と対等だとみなすことです。つまり、「自分より身分が下」だと蔑んでいる相手を、「自分と同等の人間である」と認める行為になってしまうわけです。(頬を打った側の人は)大きなジレンマを抱えてしまうことになるのです。

 つまり、この言葉は、単なる「相手の暴力・差別に対して服従・無抵抗になれ」という意味ではなく、「暴力は使わず、根本の意味におけるより強い抵抗を示せ」という言葉であった、というわけです。

 この新約聖書マタイ伝に書かれている「右の頬を打たれたら・・・」という言葉は、旧約聖書の「目には目を、歯には歯を。手には手を、火傷には火傷を、打ち傷には打ち傷を」 という言葉と対比されることが多いために、私はこれまで単なる「無抵抗主義を示す言葉」だと思っていたわけです。しかし、実はそうではなかった…ということがとても面白く、興味深く感じたのです。

 きっと、解き明かされたこの答えからも「さらに奥にある謎・秘密」が続いているのでしょう。そしてまた、この「右頬を打たれたら…」の謎と同じように、他にも何か心に引っかかる謎が日常には潜んでいそうです。今日は、そして明日には、一体どんな謎に出会うのでしょうか…?

2011-03-23[n年前へ]

人類2万年の記録の歴史は、横浜駅から徒歩8分の無料ナリ  share on Tumblr 

 驚くほど希少で価値あるものが、豊かさを感じさせ・味あわせてくれる素敵なものたちが、街の中には隠れていたりします。

 横浜からポルタ地下街を抜け、みなとみらいに向かうと「とちのき通りに面したガラス張りのギャラリー」があります。そこでは、アートやサイエンスや、未来やビジネス…色んな食材を混ぜ合わせて作られた料理を味わうことができます。

 あるいは、そのビルの3階に行くと、"Ten Thousand Years of Recorded Information"と題された資料を展示するスペースがあります。二万年近くにわたる人類の記録の歴史、古代の洞窟の中の手形から銀河の向こうの恒星に向けて放たれたメッセージまで、人類が記してきた12の貴重なメッセージを眺めることができるのです。

 この資料は人類があらゆる時代や地域を通じて様々な媒体に記録してきた情報を展示し、人類の記録の足跡を表現しています。

 パピルスに記されたエジプト「死者の書」や、グーテンベルグの42行聖書、あるいは、シェークスピアの戯曲…そんな人類が歴史に記してきた貴重なものを、駅地下(えきちか)ならぬ駅近(えきちか)くで眺めることができる…とは信じがたいかもしれません。

人類が過去から現在を通じて未来に残す記録物を観ることができる無料のアートスペースは、「横浜」駅から徒歩8分です。そのビルからは、海近くに立つ風車が見えて、ゆっくり回る観覧車が見えて、川を走る船が見えます。川向こうの船着き場から行き交う船は、未知の世界への可能性を私たちに感じさせます。…そしてさらに、その向こうに行き交う人々を眺めつつ「人類2万年の記録の歴史」も観ることができます。…それはちょっとお得な情報だとは感じられませんか?

人類2万年の記録の歴史は、横浜駅から徒歩8分の無料ナリ人類2万年の記録の歴史は、横浜駅から徒歩8分の無料ナリ






2013-04-09[n年前へ]

「左右の順位にまつわる歴史的理由」と「右の頬を打たれたら左の…の本当の意味」  share on Tumblr 

 「左右の順位にまつわる歴史的理由」と「右の頬を打たれたら左の…の本当の意味」を書きました。(参考:「右の頬を打たれたら、左の頬を…」に隠された意外な秘密  (初出:2006年08月01日頃)

 あたりまえのような言葉や作法も、それらが生まれた理由や経緯を知ると、そして、それらの意味を深掘りしてみると、とても面白く・興味深い内容だったりします。今回は、「左右の順位にまつわる歴史的理由」を振り返り、「右の頬を打たれたら左の…の本当の意味」を考えてみました。



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