2011-01-19[n年前へ]
■戦場で写るもの・写すもの・写らないもの
旅先でテレビをつけると、何度眺めても、いつも私の心をくすぐる、魅力的な戦場カメラマンが出ていました。そして、こんなような言葉を言っていたような気がします。
「戦争で得をする人が必ずいるんです。戦場で、ファインダーをのぞき、それを見つけ出すことが大切だと、私は感じています」
わかりやすい言葉です。けれど、少し「わかりやすぎる」言葉にも思えます。だから、その言葉をきっかけに、なぜかずいぶん長いこと考え込んでしまいました。
戦場に立ち目の前に広がるものを眺めたとき、そこに写る人がいれば、その人々はほとんどが戦争で損ばかりををする人ではないか、という気がします。そして、それと同時に、競馬場でレースを眺める人たちのように、そこに立つ人の中にはは得をする可能性もあるけれど、悲しいくらいの損をする可能性も高いという人も多いのではないか、などと考えさせられtのです。
もしかしたら、「戦争で得をする人」という存在があれば、それは戦場で覗くファインダーには写らないのではなかろうか、という気もします。そういう存在こそが、そういう存在を指向することこそが、「戦争で得をする存在」なのではないか、などとと感じたのです。
(病室に横たわる)夏目雅子の顔を撮れない奴は、戦場で死体の顔だって撮れねえんだよ。病院の壁を乗り越えられねえ奴が、どうして戦場の鉄条網を越えられるんだよ。倒れて行く兵士たちの顔を、正面から撮るんだぞ。
野田秀樹 「20世紀最後の戯曲集 」
ファインダーにはたくさんのものたちが写ります。それと同時に、写らない「人やもの」もたくさんあるのかもしれません。私たちは、戦場に向けられたファインダーに写る存在でしょうか。それとも、写らないものを指向する存在でしょうか。
しかし、わが国の<正義>の女神は、目隠しをしない。日本の最高裁判所にある「正義」の像は目隠しをしていない。
彼女は、誰を天秤に乗せ、誰に対して剣を振るわなければならないのか、その目をしっかり開いて、一部始終を見届けなければならない - そうする自分自身の顔を、世間に対してさらしものにしながら」
白倉伸一郎 「ヒーローと正義 (寺子屋新書) 」
2012-01-06[n年前へ]
■デジカメの「背面液晶が苦手な理由」と「背面液晶用フードファインダ」
背面の液晶画面を見るタイプのデジカメは苦手です。 苦手な理由は大きく分けて、2つあります。1番目の理由は「(比較的一般的な)使いにくさ」の問題で、もうひとつの理由は「個人的な好み」の問題です。
1番目の理由は「(比較的一般的な)使いにくさ」の問題は、老眼になると近くがみづらいので、デジカメ背面の液晶画面を眺めようとすると「小さく前へならえ」のポーズで眺めざるをえない、という理由です。光学ファインダーであれば、目の老眼に対する補正もファインダ内部で行えるので、「前へならへ」ポーズをする必要がないわけです。
2番目の「好み」は、個人的な感覚です。「背面の液晶画面を眺める」さまは、「撮影対象に目を向けていない・見ていない」ように感じてしまうという「気持ち」です。光学ファインダーなら、(たとえば)右目でファインダーを介して対象物を見つめ、左目は自分の目から直接対象物を(その周りの広い範囲も含めて)眺めている、と感じられるのですが、「液晶画面」は何か「対象物でない何か他のものを見ている」ように感じられてしまい、気持ちの悪さを感じてしまうのです。これは、本当に個人的な感覚であり好みです。
ところで、年をとると誰しも老眼になり近くが見えにくくなります。だから、「こういうものがあるべき」という(ローライの)フードファインダー付きデジカメを作っている人もいます。たとえば、右の写真はリコーのデジカメにフードファインダーを取り付けた例です。もちろん、使わない時には折り畳めるようになっていますから、持ち運び時もコンパクトで、とても使い勝手の良い一品です。
液晶ファインダーを覗くと、たとえば右の写真のような感じです。単に像が拡大されて見やすいというだけでなく、眩しい太陽に照らされた昼光中で撮影する時にも、周りの明るさのために見えにくくなるということもなく、非常に見やすく感じます。
2013-08-15[n年前へ]
■デジカメ用のフード・ルーペ・ファインダーを作ろう!?
シニア人口が増加して、つまりは「老眼族」が増えるのに「光学ファインダーがないカメラ」ばかり発売されています。それでは困る!老眼族としては非常に困る!…というわけで、(以前も作った)デジカメ液晶用ルーペファインダーを、今回はフードファインダーとして、つまり外光が入らないような構造として、真面目に作り直してみることにしました。
まずは、折り紙で構造を考えた上で、プラ板+単レンズで、大雑把な構造模型を作ってみたもの動かしてみたようすが、下の動画です。ハッセルブラッドの折りたたみファインダーを意識しつつ、お値段は限りなく安く作ることができる構造を試行錯誤しつつ考えています。
こんな昔のカメラ風なデジカメ用フードファインダーを作り、ファインダーの先にある風景を覗いてみると、暗箱の中に浮かび上がる風景は、カメラ背面の液晶を(明るい中で)ただ眺めるのとは違う感覚をもたらすような気がします。