2008-04-20[n年前へ]
■「サラリーマン工学に基づいたサラリーマン体操」と「サラリーウーマン工学に基づいたサラリーウーマン体操」
最先端のサラリーマン工学に基づいて開発された体操として、NHKが開発した有名な体操メソッドに「サラリーマン体操」というものがある。これは、「サラリーマン」に必要な、色々な動き・エクササイズを体系化したものであって、役に立つと同時に楽しくもなる不思議なエクササイズである。
しかし、世の中には「サラリーマン」だけでなく「サラリーウーマン」だって多い。そんなサラリーウーマンのための、つまり、サラリーウーマン工学に基づいているらしき「サラリーウーマン体操」を観察したことがある。
確か、大崎かどこかのビジネスビルだったと思う。ビルの中のレストランで昼食をとりながら通路を眺めていると、サラリーマンだけでなく、たくさんのサラリーウーマンが行き交っている。そんな多くのサラリーウーマンたちを眺めている内に、ある規則に気がついた。それは、こんな規則・法則である。
「サラリーウーマン体操」の法則
- 同期らしき(20代の)サラリーマン・ウーマンのグループが互いにすれ違う時には、(知り合いを見つけた)サラリーウーマンたちは互いに「両手を肩の高さまで上げて、掌を揺らすポーズ(バイバイのポーズ)をする」
- 30代のサラリーマンと20代のサラリーウーマンが、同期らしき(20代の)サラリーマン・ウーマンのグループとすれ違う時には、(知り合いを見つけた)サラリーウーマンたちは、互いに「両手をへそ辺りの高さで、掌を揺らすポーズ(バイバイのポーズ)をする」
- 40代のサラリーマンと20代のサラリーウーマンたちが、同期らしき(20代の)サラリーマン・ウーマンのグループとすれ違う時には、(知り合いを見つけた)サラリーウーマンは互いに「片手を腰辺りの高さで、掌を揺らすポーズ(バイバイのポーズ)をする」
長時間にわたる観察の結果、その挨拶のサラリーウーマンたちの仕方は、次のようなサラリーウーマン工学に基づいているように見えた。一緒にいる人(連れ)が同世代の場合、サラリーウーマンたちは(見つけた知り合い)に最大限の挨拶をする=両手を肩の高さまで上げて、掌を揺らす(バイバイの)ポーズをする。この時、両手を肩の高さ以上に上げないのは、それではあまりに「手を振る行為」が目立ち過ぎるために、自分にも相手にもメリット(パフォーマンス/コスト)が少ないからに見えた。
そして、連れ(一緒にいる人)が同世代でない場合、サラリーウーマンたちは「見つけた知り合い」に対する挨拶度合いと、連れ(一緒にいる人)への気遣い(目立たなさ)度合いのバランス(シーソー・ゲーム)にしたがって、手を振る高さが変化するように思われた。連れが30代のサラリーマン(ウーマン)ならば、両手をヘソ辺りの高さで振るのが「ちょうど知り合いと年長者への気遣いの拮抗点」であり、一緒の人が40代の年長者である場合には、片手を腰辺りの高さで(知り合いのサラリーウーマンに対して)振るだけというのが、「知り合いと年長者への気遣いの拮抗点」となるわけである。
連れが40代のサラリーマン(ウーマン)の場合、両手でなく片手だけを腰辺りの高さで振る理由は、その観察から明らかにすることはできなかった。それは、もしかしたら、(自分の、あるいは、相手の連れに気を使い)手を振る行為をさらに目立たせたくなかったせいかもしれない。……あるいは、もしかしたら、腰の高さで両手を振ったとしたら、ペナルティ・ワッキーの「芝刈り機」状態になってしまうかもしれない。
いつかまた観察する機会に恵まれたなら、今度はその秘密を探ってみたい、と思っている。
2008-04-21[n年前へ]
■1軸上に並べた「サラリーウーマン体操・挨拶編」
「サラリーウーマン工学に基づいたサラリーウーマン体操(すれ違い挨拶編)」を1軸上に並べ描いてみた。「知り合いどうしの気遣い」と「自分や相手と一緒にいる人を気にする度合」という2つの相反する基準を左右の軸にして、『知り合いのサラリーウーマンたちが、すれ違うときにする挨拶』を図示してみたものである。
絵心がないせいか、一番右のサラリーウーマンは「まるでホンダ・プレゼンツの"ASIMOロボット"」のようになってしまっていることはさておいて、この「サラリーウーマンたちのコミュニケーション」を眺めていて興味深く感じたことは、すれちがう「知り合いどうしのサラリーウーマン」が何の齟齬もなく「同じレベル」の「挨拶」をしあっていたことだ。
まぁね、日本の女が多重人格になるのも無理はない。これだけ言葉をつかい分けてりゃ、どうしたってそうなるわ。男の本音と建前なんぞ、女の多重人格に比べりゃ可愛いもんよ。
「ら抜きの殺意」 永井愛作
そこから透けて見えてくる絶妙過ぎる"コンセンサス"="同意"は一体どどれほど深いものなのだろうか。
男も、経済原則によって言葉を使い分けています。上司や部下、取引先の年上や年下の相手などです。けれど、この戯曲を読むと、女性ほど大変ではないと、しみじみします。
「名セリフ!」 鴻上尚史 p.77