2010-09-21[n年前へ]
■「鴨川カップル」とエネルギー最小化原理
四条河原町に行く途中、久しぶりに鴨川の川辺に佇(たたず)む人たちに向けてシャッターを切りました。修学旅行生らしきグループ連れや家族連れも多いですが、もちろん”昼間は等間隔に座り、夜は隣のカップルとの間隔が照度に比例するように座る”「鴨川カップル」も水際にちらほら座っています。鴨川カップルたちは、、昭和の昔から、ずっと先の未来まで、同じ座り方をしているのかもしれません。
こうして橋の上から、鴨川カップルたちや修学旅行生たちの座り方を眺めていると、「人は、周囲にいる人々の存在を意識して、その存在感を最小化するように動く」のだなぁ、と強く感じたりします。なんだか、人の影響エネルギーみたいなものがあって、そのエネルギーを小さくするように人々が自動的に動いていくさまを、橋の上から眺めているような気分になります。力学実験の結果、あるいは、力学シミュレーションの過程を眺めているような心地です。
こんな、まるで巨大な力学思考実験のようなさまを感じることができる景色というものも、きっと色んなところにあるだろう、と思います。町の中にふつうにある、眺めようと思った時にすぐ見ることができる、そんな景色を集めてみたいな、と思います。
2010-12-12[n年前へ]
■「京都」の「秋分の日没」に時空間トリップしてみよう!?
「春分と秋分の日には京都に行こう!?」で書いたように、太陽が真西に沈む春分と秋分の日あたりでは、京都の東西に走る道の先に奇麗に夕日が沈んでいきます。
マンハッタン距離を使うことができる街といえば、京都もそういう街のひとつです。東西南北方向に向けて、碁盤の目状に道が作られています。だから、太陽が真西に沈む春分と秋分の日近辺では、何本もの東西に走る道の向こうから夕日の光が差し込んでくる、ということになります。
「春分と秋分の日には京都に行こう!?」
・・・と聞けば、そんな景色を眺めてみたくなることと思います。そこで、Google Earthで京都四条河原町の交差点に行き、太陽を表示するモードにして、今年の秋分の日、午後5時40分に時空間トリップしてみました(Google Earthを特定の時間・場所・向きを指定して起動できる”リンク”があれば、そんな”リンク”を挿入したいところです)。それが、下の映像です。東西に走る四条通りの先の山上に、太陽が沈んでいくさまを見ることができます。こんな幻想的な風景は、液晶ディスプレイの中に見るだけでも、とても魅力的な景色です。
この瞬間、夕日が沈む瞬間に、河原町通りを南北に走れば、どの交差点からも夕日が(東西に走る)道の先に輝いていることになります。そして、どの交差点も、西から差し込む赤い光で照らされ・輝いている、というわけです。
といっても、(地球上からおよそ0.5°の角度に見える)太陽は、ほんの2分たらずで山の向こうに沈んでしまいます。だから、人が溢れる河原町通りをどんなに力一杯走っても、次の交差点にたどり着くまでに太陽は沈んでしまうことでしょう。
路行く人を押しのけ、跳(は)ねとばし、メロスは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴(け)とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。
「いや、まだ陽は沈まぬ。」メロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
太宰治 「走れメロス」
けれど、秋分の日、春分の日、京都の交差点に立っている人たちが、みな西にカメラを向けて道の先を写してみたとしたら、そこには一体どんな景色が映るのでしょうか。そんなたくさんの夕日を、少し見てみたいようにも思います。
子どもと同じ方向を向いていた。
久しぶりのことだった。
そうだ 京都、行こう。 2006年 「夏〜三十三間堂」
そんな景色、「京都」の「秋分の日没」を、Google Earthで疑似体験してみるのも面白いのではないでしょうか。