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2009-10-17[n年前へ]

ライト兄弟の飛行機が実用化されなかった理由 

 山田大隆「心にしみる天才の逸話20―天才科学者の人柄、生活、発想のエピソード (ブルーバックス) 」のライト兄弟に関する章から。

 ライト兄弟の飛行機には二つの謎がある。それは、ライト機に一貫してついていた「先翼」と「チェーンドライブ」である。先翼はいわゆる昇降舵で、チェーンドライブはエンジンからプロペラへの駆動系である。なぜ、これらが謎であるかというと、この二つの技術だけは、じつに効率の悪い不自然な技術だったのである。(先翼は主翼前で乱流を発生させ、飛行が不安定になる。チェーンは、外れ・切れ・エネルギーロスも大きい)
 この二つの技術をよく見ると、先翼は「舵取りが前」、チェーンドライブは「動力伝達はチェーン」ということである。つまり、これらは自転車の発想なのだ。もともと自転車屋であった兄弟は、最後まで自転車の発想から抜けられなかったのである。

2010-09-11[n年前へ]

「科学的に物を見る目」と「広い視野」 

 講談社文庫を読むときは、いつも、巻末にある野間省一による「刊行の辞」を読み返します。なぜかと言えば、そのアジテーションにひどく心を揺り動かされるからです。

 講談社と言えばブルーバックスという理科趣味人も多いかもしれません。ブルーバックスと言えば、「サイエンス風味(っぽさ)がトッピングされた娯楽(エンターテイメント)本」です。いわば、今の科学新書ブームのさきがけです。そのブルーバックスの巻末、「発刊のことば」には「科学をあなたのポケットに」と題して、こんなやはり野間省一による言葉が掲げられています。

 二十世紀最大の特色は、それが科学時代であるということです。科学は日に日に進歩を続け、止まるところを知りません。一昔前の夢物語もどんどん現実化しており、今やわれわれの生活すべてが、科学によってゆり動かされているといっても過言ではないでしょう。
 そのような背景を考えれば、学者や学生はもちろん、産業人も、セールスマンも、ジャーナリストも、家庭の主婦も、みんなが科学を知らなれば、時代の流れに逆らうことになるでしょう。
 ブルーバックス発刊の意義と必然性はそこにあります。このシリーズは、読む人に科学的にものを考える習慣と、科学的に物を見る目を養っていただくことを最大の目標にしています。そのためには、単に原理や法則の解説に終始するのではなくて、政治や経済など、社会科学や人文科学などにも関連させて、広い視野から問題を追及していきます。

 この1963年9月に書かれた文字、50年近く前に書かれた宣言を読む時、学者や学生はもちろん、産業人も、セールスマンも、ジャーナリストも、家庭の主婦も…、心の琴線に何かが触れるように感じる人も多いのではないでしょうか。



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