■パノラマ写真と画像処理 Pt.1
パノラマ写真を実感する
「パノラマ」という言葉は何故か大正ロマンを感じさせる。かつて、流行ったパノラマ館や江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」という言葉がそういったものを連想させるのだろう。私も自分で写真の現像・焼き付けをしていた頃は、フィルム一本まるまる使ってベタ焼きでパノラマ写真を撮るのが好きだった。
そういう癖は持ち歩くカメラが「写るんです」と「デジカメ」へ変化した今でも変わらない。例えば、
の時に撮ったこの写真もそうである。 そしてまた、次に示す写真もそうだ。これは1999年夏頃の早朝に箱根の湖尻で撮影したものである。360度のパノラマを撮影したものだ。
観光に行った先で撮影したと思われるかもしれないが、残念ながら違う。出勤途中に撮影したものである。豊かな自然がありすぎて、涙が出そうである。
パノラマ写真としては、こういう景色を撮ったものも良いが、人が写っているものも良い。私の勤務先がこの大自然の中に移転してくる前、都会の中にあった頃に居室で撮ったパノラマ写真などはとても面白い。窓の向こうにはビルが見えたり、周りに写っている人ですでに退職した人が何人もいたりして、涙無しには見られない。
もちろん、こういった写真はパノラマ写真で楽しむのも良いが、もっと実感できるものに加工しても楽しい。私がかつて都会の居室で撮影したものは、当時はAppleのQuicktimeVRのムービーファイルに変換して遊んでいた。今はもうない居室の中をグリグリ動かすのはホロ哀しいものがあり、とても味わい深かった。
ところで、WEB上でそういうパノラマのVRファイルを見せるにはどうしたら良いだろうか?もちろん、AppleのQuicktimeVRを用いれば良いわけではあるが、プラグインが必要である。私はQuicktimeは好きであるが、ブラウザーのQuicktimeのプラグインは嫌いである。WEBを眺めているときに、「Quicktimeのアップグレードはいかがでしょう?」というダイアログが出ると、少しムッとしてしまう。そこで、Javaを使うことにした。いや、もちろんJavaをサポートしていないブラウザーもたくさんあるが、こちらの方がまだ好きなのである。
そのようなパノラマのVRを実現するJavaアプレットには、例えば
- Panoramania
- http://www.lamatek.com/lamasoft/Panoramic/test.html
- Javaアプレット(パノラマver1.1)
- http://village.infoweb.ne.jp/~fwbc6098/java/panorama/panorama.htm
- TheVRApplet1.0
- http://www.physik.uni-greifswald.de/~jonas/VRApplet/VRApplet.html
- how toinsert the panorama show (java applet) inside your home page ?
- http://persoweb.francenet.fr/~carl/brique/exapano1.htm
さて、ここまでは単なる前振りである。本題は、実はこれから始まる。先日このようなメールを頂いた。
私はWindowsを使っているのですが、AppleのQuicktimeVRに興味があって、QuicktimeVRのパノラマ・ムービーを作っています。しかし、素材となる画像の作成に四苦八苦しております。ご承知の通り、
- ライカ版カメラに24ミリ広角レンズをつけて、
- 三脚にパノラマヘッドをつけて、ぐるりと周囲を12枚撮りして、
- 現像、プリントし、
- スキャニングして、ステッチャソフトでレンダリングし、
- それをMacintosh上でMake-QTVR-Panoramaにドロップして、
- 8ミリビデオに広角レンズを付け、
- 90度横倒しにして、10秒程度で1回転するようにステッピングモーターで駆動するパノラマヘッド(自作)に乗せ、
- 高速シャッター撮影し、
- マックのAV機能で円周12枚の静止画を取り出
- し、
- 8ミリビデオを横倒しにして、
- モーター回転するヘッドでぐるりと360度撮影し、
- その撮影した動画ファイルの、各フレームから走査線にして数本分を抽出し(インターレースで256本のうちセンター128本目の前後数本の走査線分)、
- それを貯めて1枚のjpgファイルにする、
- そのJPEG画像をMakeQTVRPanoramaの入力にして、パノラマムービーを作る、
その場合には、スリットスキャンカメラを入手し、それをカラープリントする設備を準備すればいいのでしょうけど、高価です。
そこで、
長々と分かりにくいことを書きましたが、要は、「マックで動く電子スリットスキャンソフト」をなんとか作っていただけないでしょうか?もし、そのようなソフトがあれば、
まずは、答えを先に書いてしまおう。私が作らなくても、
- NIH-Image (MacOS)
- ScionImagePC (Windows)
- 複数画像(動画)からの走査線抽出
ScionImagePCの動作画面を以下に示す。NIH-Imageとほぼ同じである。
これらのソフトのStack-Slice機能を用いれば「複数画像(動画)からの走査線抽出」ができる。その使用例と、その面白い座標軸変換について考えてみたい。しかし、このページは少々重くなってきた。まして、走査線の抽出の話は使用画像が多くならざるをえない。そこで、次回、詳しく使用例を紹介することにする。よく、次回といったまま数ヶ月経つことがあるが、今回は大丈夫である。少なくとも数日後には登場することと思う(多分)。
あれっ、ここまで書いてからinfoseekで検索すると、
- パノラマ写真のひっみっつっ!
- http://www.imagica.com/nomad/sig98/hitachi/