■うれし、たのしい、「大人の科学」
エジソン式コップ蓄音機
先日、町田の東急ハンズをぶらぶらとしていた時に、こんな本を見つけた。
- 学研の「科学」と「学習」編 100円ショップで大実験! 監修:大山光春
そして、この本の中でも、特に興味を惹かれた実験がこの「ファイルシート蓄音機」である。ファイルシートでソノシートを作ってやろうというものである。軟らかくて、同時に少し硬い材質のもに音の振動を刻み付けて記録・再生するという、エジソンが発明した蓄音機そのものの構造の機械を簡単に作ろうという話である。
私は以前から、うれし懐かしの「ソノシート」を作ってみたいと思っていたので、この記事を見つけたときは思わず声が出そうになった。いやはや、さすが学研の「科学」編集部である。もしや、これは私のために?と思ってしまう程である。(学研の科学で育った人たちは、きっとみなそう思うことだろう。)
ところで、もしかしたら「ソノシート」を知らない人がいるかもしれない。そこで、念のために辞書で「ソノシート」をひいたものを書いておこう。
ソノシート (商標名Sonosheet)音の出る雑誌「ソノラマ」用にフランスで開発されたビニールレコード。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) Shogakukan1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988)知らない人はほとんどいないとは思うが、ソノシートは見た目は赤や青の薄っぺらくてペラペラなレコードである。昔は雑誌によく付録でついていた。そこに録音されているものは、テレビの主題歌だったり、声のドラマだったり、色々なおしゃべりだったりした。そして、私の記憶が確かならば、確かどこかのコンピュータ雑誌でソノシートを使ってのプログラム配布なども行われたこともあったと思う。
それはさておき、この「ファイルシート蓄音機」を私もぜひ作ってみよう、と思っていた。ただ、、この記事そのままだと録音可能な時間が短いので、それでは少しつまらない。そこで、そこをどうしたものかとずっと悩んでいたのである。そのため、なかなか製作に取り掛かることができないでいた。
ところが、これまた先日面白いものを見つけた。それは
- 学研 科学と学習 大人の科学
- ( http://www.yumag.co.jp/kagaku.html#adult )
しかし、そんな杞憂は無用のココロだ。これは、学研の「科学」と「学習」が、「昔子どもだった大人」に贈る、タイムカプセルなのである。あの頃と変わらない、「ワクワクする心」を思い出させてくれるプレゼントなのである。これは私達を、「昔、見ていた夢」がいきなり目の前に現れたような気持ちにさせるである。
少し長くなったが、その「大人の科学」の第一作がこの「エジソン式コップ蓄音機」である。
先程の「ファイルシート蓄音機」からはるかに性能が改良され、なんと20秒近くの録音が可能なのである。もちろん、迷うことなく私は購入を決めた。そして、何日か前に、送られてきたものを今日の朝に組み立ててみた。製作時間は20分位である。作ってるときの気持ちは、もう学研の「科学」の付録で遊んでるあの頃と同じだ。
その組み立ててみた「エジソン式コップ蓄音機」が次の写真である。上の紙カップの底に針が着いていて、下の回転する透明カップの表面に紙カップの底の振動を溝として記録するのである。もちろん、再生のときはその逆である。透明カップの表面に刻まれた溝の揺れを針がなぞって、そして紙カップの底を振動させるのである。
この「エジソン式コップ蓄音機」の構造自体は、先の「ファイルシート蓄音機」とかなり似ていることがわかる。紙カップと針の部分など全く同じである。もし、「3000円程の「エジソン式コップ蓄音機」が高い」と感じるのであれば、100円ショップで材料を揃えて「ファイルシート蓄音機」を作製してみるのもきっと面白いだろう。
「エジソン式コップ蓄音機」の針がコップに刻んだ溝をなぞっている様子を次に示してみよう。音を再生している時にも、溝を少し削ってしまい、削りかすが出ているのが見えるだろう。
というわけで、もちろん私もエジソンと同じく「メリーさんの羊」を録音してみた。大きい声で歌っても、再生される「歌声」はとても小さい。いや、再生される「音」はうるさいくらいに大きいのだけれど、「歌声」はかすかにしか聞こえない。それでも、雑音の遠くで聞こえる人の声は、とても懐かしくていい響きがする。もちろん、実際にはガーガーうるさくて、私の声なんか微かにしか聞こえないのだけれど、そんなことはどうでもいいのだ。だって、あの科学の付録なんだから。それだけで、十分だ。もちろん、これの改良作業は早速始めるつもりだ。もう「大人」だからね。