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2000-07-08[n年前へ]

うれし、たのしい、「大人の科学」 

エジソン式コップ蓄音機

 先日、町田の東急ハンズをぶらぶらとしていた時に、こんな本を見つけた。
 

学研の「科学」と「学習」編 100円ショップで大実験! 監修:大山光春
  • 学研の「科学」と「学習」編 100円ショップで大実験! 監修:大山光春
である。以前、でも学研の科学の付録で遊んでみたが、学研の「科学」(「学習」では断じてなくて)に影響されている人は多いはずだ。影響どころか、それで理系に進んだという人だって、きっといるはずだ。むろん、私も学研の科学が大好きだったので、学研の「科学」と「学習」編という名前だけで思わず購入してしまった。文庫本だし、実験材料が100円ショップで売ってる格安モノだし、いいことずくめだからである。

 そして、この本の中でも、特に興味を惹かれた実験がこの「ファイルシート蓄音機」である。ファイルシートでソノシートを作ってやろうというものである。軟らかくて、同時に少し硬い材質のもに音の振動を刻み付けて記録・再生するという、エジソンが発明した蓄音機そのものの構造の機械を簡単に作ろうという話である。
 

「ファイルシート蓄音機」 コップでシートに録音

 私は以前から、うれし懐かしの「ソノシート」を作ってみたいと思っていたので、この記事を見つけたときは思わず声が出そうになった。いやはや、さすが学研の「科学」編集部である。もしや、これは私のために?と思ってしまう程である。(学研の科学で育った人たちは、きっとみなそう思うことだろう。)

 ところで、もしかしたら「ソノシート」を知らない人がいるかもしれない。そこで、念のために辞書で「ソノシート」をひいたものを書いておこう。

ソノシート (商標名Sonosheet)音の出る雑誌「ソノラマ」用にフランスで開発されたビニールレコード。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition)  Shogakukan1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988)
知らない人はほとんどいないとは思うが、ソノシートは見た目は赤や青の薄っぺらくてペラペラなレコードである。昔は雑誌によく付録でついていた。そこに録音されているものは、テレビの主題歌だったり、声のドラマだったり、色々なおしゃべりだったりした。そして、私の記憶が確かならば、確かどこかのコンピュータ雑誌でソノシートを使ってのプログラム配布なども行われたこともあったと思う。

 それはさておき、この「ファイルシート蓄音機」を私もぜひ作ってみよう、と思っていた。ただ、、この記事そのままだと録音可能な時間が短いので、それでは少しつまらない。そこで、そこをどうしたものかとずっと悩んでいたのである。そのため、なかなか製作に取り掛かることができないでいた。

 ところが、これまた先日面白いものを見つけた。それは

である。これは、学研の「科学」で育った大人に向けて、学研の「科学」と「学習」が贈る「大人の科学の付録」だ。科学が好きな人向けの「大人の科学」であり、「大人のおもちゃ」なのである。「大人の科学」とか「大人のおもちゃ」という言葉は、何か誤解されそうな響きがある。特に、「最近、話題の傾向が何か変!?」と言われている、ここで書くと絶対に誤解されてしまいそうである。

 しかし、そんな杞憂は無用のココロだ。これは、学研の「科学」と「学習」が、「昔子どもだった大人」に贈る、タイムカプセルなのである。あの頃と変わらない、「ワクワクする心」を思い出させてくれるプレゼントなのである。これは私達を、「昔、見ていた夢」がいきなり目の前に現れたような気持ちにさせるである。

 少し長くなったが、その「大人の科学」の第一作がこの「エジソン式コップ蓄音機」である。
 

「エジソン式コップ蓄音機」

先程の「ファイルシート蓄音機」からはるかに性能が改良され、なんと20秒近くの録音が可能なのである。もちろん、迷うことなく私は購入を決めた。そして、何日か前に、送られてきたものを今日の朝に組み立ててみた。製作時間は20分位である。作ってるときの気持ちは、もう学研の「科学」の付録で遊んでるあの頃と同じだ。

 その組み立ててみた「エジソン式コップ蓄音機」が次の写真である。上の紙カップの底に針が着いていて、下の回転する透明カップの表面に紙カップの底の振動を溝として記録するのである。もちろん、再生のときはその逆である。透明カップの表面に刻まれた溝の揺れを針がなぞって、そして紙カップの底を振動させるのである。
 

「エジソン式コップ蓄音機」を組み立てたもの

 この「エジソン式コップ蓄音機」の構造自体は、先の「ファイルシート蓄音機」とかなり似ていることがわかる。紙カップと針の部分など全く同じである。もし、「3000円程の「エジソン式コップ蓄音機」が高い」と感じるのであれば、100円ショップで材料を揃えて「ファイルシート蓄音機」を作製してみるのもきっと面白いだろう。

 「エジソン式コップ蓄音機」の針がコップに刻んだ溝をなぞっている様子を次に示してみよう。音を再生している時にも、溝を少し削ってしまい、削りかすが出ているのが見えるだろう。
 

「エジソン式コップ蓄音機」 コップに刻んだ溝を針がなぞっている様子

 というわけで、もちろん私もエジソンと同じく「メリーさんの羊」を録音してみた。大きい声で歌っても、再生される「歌声」はとても小さい。いや、再生される「音」はうるさいくらいに大きいのだけれど、「歌声」はかすかにしか聞こえない。それでも、雑音の遠くで聞こえる人の声は、とても懐かしくていい響きがする。もちろん、実際にはガーガーうるさくて、私の声なんか微かにしか聞こえないのだけれど、そんなことはどうでもいいのだ。だって、あの科学の付録なんだから。それだけで、十分だ。もちろん、これの改良作業は早速始めるつもりだ。もう「大人」だからね。
 

2005-09-11[n年前へ]

n年日記と技術雑誌の特集記事システム 

inside out   n年日記と呼ばれるシステムがあります。何年か前の同じ日の日記を表示するシステムです。例えば、この日記で言うと、日付の右側にあるn年前へというリンク・テキストです。このn年日記をもっと進化させてみたいな、と思うことがあります。n年前の同じ時期の記事をもっと積極的に見せたいな、と思ったりするのです。

役にたつエレクトロニクスの総合誌 トランジスタ技術学研:科学と学習 技術雑誌なんかは、一年周期で同じような特集記事が繰り返されています。例えば、C マガジン、トランジスタ技術…、どの雑誌でも5月号辺りは必ず「新人フレッシャーズのための…」という感じです。2月号辺りだと、画像関係の特集という感じでしょうか。「学研の科学と学習」の雑誌が、毎年同じような特集を繰り返すのと同じです。雑誌の読者層は入れ替わっていくので、毎年同じような特集を繰り返していても、「読者にとってはいつも新鮮」であるわけです(そう思わない古い読者はいずれ読者でなくなる)。

 ブログと呼ばれる個人サイトでも、昔見たネタが少しの時間をおいて流行ることが多いように見えます。古くから眺めている人にとって見れば、飽き飽きしたネタが繰り返し流行ることもしばしばなんだろうと思います。しかし、それを「技術雑誌の特集記事」のように新陳代謝に対応するためだと考えてみれば、少し面白いような気がします。時折、n年日記システムを眺めながら、そんな「技術雑誌の特集記事」式ブログを想像したりします。

2007-09-11[n年前へ]

新陳代謝と海面を歩く 

 「ソースティン・ヴェブレンというアメリカの経済学者」を知ったのは、つい最近だ。ヘアカタログを題材にしたプログラムを書くために、グラント・マクラッケンが書いた「ヘア・カルチャー(もうひとつの女性文化論)」を読んでいるときに、そのソースティン・ヴェブレンという名前に出会った。

 ブログと呼ばれる個人サイトでも、昔見たネタが少しの時間をおいて流行ることが多いように見えます。古くから眺めている人にとって見れば、飽き飽きしたネタが繰り返し流行ることがよくあります。
 この本の原題は、"Big Hair (A jouney into the transformation of self)"だ。
 夕暮れ近くの海を自転車で巡る。潮が満ちてきて、防波堤が海に沈む。防波堤の上を歩いていく人がいる。防波堤はずっと波に洗われているから、その人はまるで波の上を歩いているように見える。
 その原題にも入っている"Big Hair"に関する章の中に、"代理消費"ヴェブレンがいた。黒柳徹子や横浜銀蠅や、ツッパリ・ハイスクール・ロックンロールたちの源流が解説される中で、ヴェブレンの姿を見かけた。
 今まさに誰かが傷んでいるまだ飛べない雛たちみたいに僕はこの非力を嘆いている
 どんなミステリーも、どんな構造物も、すべては螺旋階段のようだ、とある時に聞いた。何度も同じような景色を、けれど少しづつ違うところから眺めていくものだ、と聞いた。
 一年の周期で、技術雑誌が同じような特集記事を繰り返す。どの雑誌でも5月号は必ず「新人フレッシャーズのための」という特集を組み、それから少し時を経た2月号辺では、画像関係の特集を組む。「学研の科学と学習」が、毎年同じような特集を繰り返すのと同じだ。
 それは、ウンベルト・エーコが書いたバラの名前を輪講で読んでいる時だったか、レイモンド・カーバーを読んでいるときだったか、そんな教室で聞いた言葉だった気がする。
 不思議だけれど、「海面を歩くこと」が当たり前のように見える場所もある。
 グルグル回る螺旋階段のように、技術雑誌は一年周期で、必ず同じような特集記事を繰り返す。それは、絵に描いたような「何度も同じような景色を、少しづつ違うところから眺める」というビューティフル・ドリーマーな景色だ。
「会社にはメカ・ソフト・電気の三人がいれば十分です」
 三人編成のバンドっていいな、と良く思う。見た目のバランスもいいし、音もなかなか飽きない。
 雑誌の読者層は入れ替わっていきますから、毎年同じ特集を繰り返しても、「読者にはいつも新鮮な記事」になります。そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。
 色んな人たちがいる。朝顔の蔓のように、DNAが形作る螺旋階段を時をおいて昇る色んな人がいる。
 バーベキューをしている人もいるし、パラグライダーで空に浮いている人もいる。走っている人もいて、スケートで滑っている人もいる。 そして、海辺でゴルフをしている人もいる。
 海の水面を歩く人もいるし、月面を歩く人もいる。仕事が終わらなくて唸っている人もいる。
 しかし、それを技術雑誌の特集記事のように新陳代謝に対応するためだと考えてみれば、少し面白いような気がします。
 そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。

2009-12-04[n年前へ]

学研の『学習』『科学』も休刊へ 

 「『学習』『科学』休刊のお知らせ

 当グループが発刊しております1946年(昭和21年)創刊の『学習』は“「できる」よろこびと深く学びとるチカラを”をコンセプトに、1957年(昭和32年)創刊の『科学』は“小さな発見・大きな感動・科学っておもしろい!”をコンセプトに、多くのお子様に長い間愛され親しまれてまいりました。

 しかしながら、児童数の減少やニーズの多様化等の市場環境の変化による部数の減少のため、誠に勝手ながら『学習』は2009年度冬号(2010年1月1日発行)、『科学』は2009年度3月号(2010年3月1日発行)の発行をもちまして休刊させていただくことになりました。

2011-10-21[n年前へ]

iPhoneアプリ『学研科学のふろくアルバム』 

 あの日の思い出がよみがえる〜「科学のふろく」のラインナップを一望する『学研科学のふろくアルバム』

 かつて学習研究社(現・学研教育出版)が刊行していた学習雑誌「科学」には、毎号、実験などをおこなえる教材付録がつき、「科学のふろく」として親しまれていました。
(中略)
 1965年度から1989年まで、25年間の代表的なふろく写真と、解説データが収録されています。



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