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2005-09-11[n年前へ]

n年日記と技術雑誌の特集記事システム 

inside out   n年日記と呼ばれるシステムがあります。何年か前の同じ日の日記を表示するシステムです。例えば、この日記で言うと、日付の右側にあるn年前へというリンク・テキストです。このn年日記をもっと進化させてみたいな、と思うことがあります。n年前の同じ時期の記事をもっと積極的に見せたいな、と思ったりするのです。

役にたつエレクトロニクスの総合誌 トランジスタ技術学研:科学と学習 技術雑誌なんかは、一年周期で同じような特集記事が繰り返されています。例えば、C マガジン、トランジスタ技術…、どの雑誌でも5月号辺りは必ず「新人フレッシャーズのための…」という感じです。2月号辺りだと、画像関係の特集という感じでしょうか。「学研の科学と学習」の雑誌が、毎年同じような特集を繰り返すのと同じです。雑誌の読者層は入れ替わっていくので、毎年同じような特集を繰り返していても、「読者にとってはいつも新鮮」であるわけです(そう思わない古い読者はいずれ読者でなくなる)。

 ブログと呼ばれる個人サイトでも、昔見たネタが少しの時間をおいて流行ることが多いように見えます。古くから眺めている人にとって見れば、飽き飽きしたネタが繰り返し流行ることもしばしばなんだろうと思います。しかし、それを「技術雑誌の特集記事」のように新陳代謝に対応するためだと考えてみれば、少し面白いような気がします。時折、n年日記システムを眺めながら、そんな「技術雑誌の特集記事」式ブログを想像したりします。

2007-09-11[n年前へ]

新陳代謝と海面を歩く 

 「ソースティン・ヴェブレンというアメリカの経済学者」を知ったのは、つい最近だ。ヘアカタログを題材にしたプログラムを書くために、グラント・マクラッケンが書いた「ヘア・カルチャー(もうひとつの女性文化論)」を読んでいるときに、そのソースティン・ヴェブレンという名前に出会った。

 ブログと呼ばれる個人サイトでも、昔見たネタが少しの時間をおいて流行ることが多いように見えます。古くから眺めている人にとって見れば、飽き飽きしたネタが繰り返し流行ることがよくあります。
 この本の原題は、"Big Hair (A jouney into the transformation of self)"だ。
 夕暮れ近くの海を自転車で巡る。潮が満ちてきて、防波堤が海に沈む。防波堤の上を歩いていく人がいる。防波堤はずっと波に洗われているから、その人はまるで波の上を歩いているように見える。
 その原題にも入っている"Big Hair"に関する章の中に、"代理消費"ヴェブレンがいた。黒柳徹子や横浜銀蠅や、ツッパリ・ハイスクール・ロックンロールたちの源流が解説される中で、ヴェブレンの姿を見かけた。
 今まさに誰かが傷んでいるまだ飛べない雛たちみたいに僕はこの非力を嘆いている
 どんなミステリーも、どんな構造物も、すべては螺旋階段のようだ、とある時に聞いた。何度も同じような景色を、けれど少しづつ違うところから眺めていくものだ、と聞いた。
 一年の周期で、技術雑誌が同じような特集記事を繰り返す。どの雑誌でも5月号は必ず「新人フレッシャーズのための」という特集を組み、それから少し時を経た2月号辺では、画像関係の特集を組む。「学研の科学と学習」が、毎年同じような特集を繰り返すのと同じだ。
 それは、ウンベルト・エーコが書いたバラの名前を輪講で読んでいる時だったか、レイモンド・カーバーを読んでいるときだったか、そんな教室で聞いた言葉だった気がする。
 不思議だけれど、「海面を歩くこと」が当たり前のように見える場所もある。
 グルグル回る螺旋階段のように、技術雑誌は一年周期で、必ず同じような特集記事を繰り返す。それは、絵に描いたような「何度も同じような景色を、少しづつ違うところから眺める」というビューティフル・ドリーマーな景色だ。
「会社にはメカ・ソフト・電気の三人がいれば十分です」
 三人編成のバンドっていいな、と良く思う。見た目のバランスもいいし、音もなかなか飽きない。
 雑誌の読者層は入れ替わっていきますから、毎年同じ特集を繰り返しても、「読者にはいつも新鮮な記事」になります。そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。
 色んな人たちがいる。朝顔の蔓のように、DNAが形作る螺旋階段を時をおいて昇る色んな人がいる。
 バーベキューをしている人もいるし、パラグライダーで空に浮いている人もいる。走っている人もいて、スケートで滑っている人もいる。 そして、海辺でゴルフをしている人もいる。
 海の水面を歩く人もいるし、月面を歩く人もいる。仕事が終わらなくて唸っている人もいる。
 しかし、それを技術雑誌の特集記事のように新陳代謝に対応するためだと考えてみれば、少し面白いような気がします。
 そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。

2008-05-15[n年前へ]

PSoC制御の「加熱ホッケーブレード」や「堅さ可変シューズ」 

 PSoCはCypress社のマイコン・チップで、各種デジタル・アナログ回路が搭載されていて、その組み合わせをユーザがプログラミング(設計)できる、というものだ。FPGAほど高性能ではないけれど、PICより少し賢く便利なアナログ回路が色々詰めあわされている(だから周辺回路を大幅に減らすことができる)、という感じだろうか。アナログ制御・入出力をしたい場合には、とても便利そうなチップである。

 このPSoCが使われている商品で面白いなぁ、と思うのが「Therma Blade」と「adidas_1, intelligence level 1.1.」だ。

 Therma Bladeの方は、アイス・ホッケー・シューズのブレード(氷と接触する金属板部)の氷との摩擦係数を低くし、スピードを高めるために、PSoCでヒーター制御し、ホッケー・シューズ・ブレードの温度を適正に調整したり、ON/OFFしたりするものである。スケートが滑るのは、ブレードと氷の間で氷が解け水になることで、摩擦係数が下がるだ。それならば、「ブレードの温度を上手く制御してやれば、摩擦係数が下がりスピード速く滑ることができる」という狙いの技術である。



 一方、adidas_1, intelligence level 1.1.の方は、PSoCで制御したモータで踵部分にあるエアクッション部を押すことで、エアクッション内圧力=靴の堅さ(衝撃吸収率)を適正に変える、というものだ。電子制御されている車のサスペンション機構(タイヤと車ボディの間で、路面の凹凸・カーブなどがあるときの衝撃を吸収する機構)も多いけれど、それと同じような技術が搭載されたシューズである。

 こういったシューズで高機能・高付加価値の流れはどれだけ進んでいくのだろうか。いつか、「トランジスタ技術4月号」で、「フレッシャーズのためのアイスホッケーシューズ制御のABC」といった特集記事が当たり前のように書かれる日が来るのだろうか。

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