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2011-03-19[n年前へ]

「USA産牛肉から狂牛病に感染する確率は…」の法則 

 原発の「想定リスク・対策」と「福島第一原発の現状」を整理した時に感じたのは、安全性を問われた時にするだろう「最後の砦(説明)」は、結局のところ「ベネフィットとリスクを天秤に乗せたもの」なんだろうと思います。「ベネフィットのためにこのリスクは受け入れざるを得なかった」という納得です。

 それは、原発のリスクに限らずありとあらゆると同じく、一番最後に考えることでもあるかもしれないし、一番最初に考えることであるように思います。それは「ベネフィットのためにこのリスクは受け入れるという選択・判断」です。

 端的な例を挙げてみれば、それはたとえば「アメリカ産の牛肉から(狂牛病に)感染する確率は、自動車事故で死ぬ確率より小さい」の法則です。「○×の確率は自動車事故で死ぬ確率より小さい」というのは、「安全」が話題になる時に、いつも出てくる定番のセリフです。絶対安全というものが存在しない以上、安全は「安全でない確率を比較する」ことでしか評価し得ないというロジックです。興味深いのは、「USA産牛肉から狂牛病に感染する確率は…」という論理が、時には受け入れられ、あるいは、時に拒否されることもある、ということです。

 下のグラフは、さまざまなことにおける、そんな確率を並べたグラフです。ベネフィットとリスクを天秤乗せて・悩み続けていくのが私たちの毎日なんでしょうか。

「USA産牛肉から感染する確率は…」の法則






2011-05-06[n年前へ]

どこに不具合があるかが明記してある「ジャンク」は素晴らしい!? 

 最初に手に入れた「ウォークマン」は、1000円程度で秋葉原ロケットで買いました。当時、秋葉原ワシントンホテルの前にあったロケットの「ジャンクコーナー」で、「駆動系動きません」といった張り紙がされているアイワのウォークマン(SONYではないので本当はウォークマンとは言えないのですが)を中学1年生のお小遣いを全部投入して買ったのです。

 アイワのウォークマン(モドキ)ジャンクの中身を開けてみれば、駆動モーターに回されているゴムが外れているだけでした。だから、ゴムを張り直すだけできちんと動くようになり、ラジカセで夜のラジオをカセットテープに録音し、何やら難しい言葉ばかり流れる中学の授業時間中、ヘッドホンから流れるステレオの世界に浸ってみたりした記憶があります。

 生まれつきビンボー生活が染みついているので、つまり「欲望」と「財布の中身」が釣り合わない日常ばかりだったので、よく「ジャンク品」に手を出します。上手くジャンク品を動かすことができ満足感にひたることもあれば、…どうしても動かすことができなくて悔し涙を流すこともあります。

 「駆動系動きません」という張り紙がされた(欠陥)商品も、その正直な張り紙がある限りは、私は満足できるような気がします。もちろん、そういった商品の存在を認めることができない人もいるだろうと思います。

 「情報」「リスク」「選択」「安心」…そういったものをどのように手に入れたいかということは、きっと人によって違うものなのでしょう。

 「絶対安全なカミソリ」がないのと同じく、(値段という名の欠点も含めれば)どんな商品にも欠点があるはずです。…だから、メリットと欠点(という名のリスク)と値段を天秤にかけつつ、貴重なものをどこに掛けるかを考えなければいけないのだろうと思います。

 不思議なことに、「問題点や欠点」を説明することをよしとしない考え方もあるようです。最近、そんな説明をよく聞くような気もします。問題点や欠点を示すことは、売り手や買い手に余計な動揺を与える、という考え方もあるようです。

 郊外に行けば(問題点や欠点を商品に貼った)「アウトレット店」が大人気なようです。それは、説明書がないけれど絶対安全だと言われている高い機械よりも、「駆動系動きません」といった張り紙がされているアイワのウォークマン(ジャンク)の方を選ぶベクトルに似ています。

 その一方で、問題点や欠点があたかも宇宙に存在し得ない反物質のように捉える「空気」もあるように感じられます。…そんな空気が、一体どこから流れてきているのだろう?とずっと考えています。



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