2011-07-07[n年前へ]
■海底の下を真っ直ぐ走る「川崎港海底トンネル(人道部)」
東京や横浜…つまり京浜地区には、「真っ直ぐ走る道」がほとんどありません。けれど、人知れず「都心近くの街をただひたすらに直線的に伸びる道があります(参考:東京に走る「長い長い直線道」を走り抜けてみよう!)。
東京にも「真っ直ぐな道」があります。それは「比較的最近作られた、地図上に線をひくことで人工的に作られた”新しめの”街道」です。それらの道は、東京という場所を念頭におけば、知らない人が驚くに違いないくらいの距離を、ひたすらまっすぐ走ります。今日走り抜けてきたのは、1km強の距離をただひたすらに真っ直ぐ伸びる道です。
1kmなんて、いくらなんでも短くない?という人も多いことでしょう。けれど、それが海底のさらに下を走る海底トンネルだとしたら、どうでしょう。しかも、その海底トンネルが人と自転車しか通過させず、そして、その海底トンネルの入り口が「人影のない寂れた公園の片隅」にひっそりたたずむ廃墟の地下から密かに東京湾の人工島まで伸びている…となれば、その1kmの海底トンネルはとても魅力的に思われるのではないでしょうか。そして、その東京湾・川崎沖に浮かぶ人工島には浜辺もあって(お台場ではありません)、海の向こうには工場のシルエットが浮かんでいる…としたら、どうでしょう?
フランス、パリの地下に走る下水道を歩くとき中世の歴史に思いを馳せることができるように、東京帝都の地下を垣間見るときタイムスリップができるように、羽田空港のすぐ横、多摩川河口のすぐ近くの海底を直線的に1kmばかり走る「川崎港海底トンネル(人道部)」の中に入ると、なかなか味わうことができない時空間の旅をすることができるような心地になります。
下に貼り付けた動画は、川崎駅から東京湾方向に進んだ(周囲数百メートルには人はいなく、ただ野生の凄みを感じさせる野良猫たちしかいない)「ちどり公園」の中にひっそり隠れる「川崎港海底トンネル(人道部)」の(100%廃屋にしか見えない塔の下に)入り口から、東京湾に浮かぶ東扇島まで、東京湾の海底の下を1km強の距離を走り抜けた5分の間に眺めた景色です。
足音や機械音や警報だけがこだまする、不気味さを感じさせるこの通路の上には、海があります。そして、その海の上を(羽田空港から離着陸する)飛行機が飛び交っています。近くを走っているだろう東京湾アクアラインから見ることができる景色とは、全く別の長い・長い地下道を、今日、走り抜けてみました。
海底の下を真っ直ぐ走る「川崎港海底トンネル(人道部)」は、二十一世紀の京浜地区に現存する有数の「オーパーツ」です。ひとり鍾乳洞を歩いてみたい…ひとり地下水湖を眺めてみたい…そんな好奇心を感じたことがある人には(そういう我らが冒険・実験野郎な人たちだけには)、とてもお勧めしたい直線コース…それが海底の下を真っ直ぐ走る「川崎港海底トンネル(人道部)」です。
野宿は必ずしも安全ではありません。本誌はおもいっきり野宿をすすめようとしていますが、その影響力は雨粒ほどです。しかしもしかして、これを読んで野宿に行ってくれる奇特でスバラシイ人がいて、運悪く危険な目にあったとしても本誌に責任はありません。自己責任という言葉は嫌いです。そんな時はなんでもかんでも太陽のせいにしましょう。
かとうちあき「野宿野郎」
2011-07-22[n年前へ]
■一言二言で言い切ることができるものにロクなものはない
トイレの本棚に、六角橋商店街で大人買いした”人生をより低迷させる旅コミ誌”「野宿野郎」が並んでいる(もちろん、その他の本も並んでいる)。その野宿野郎の『やっとできたよ5号 〜特集〜 駅寝ってどうよ』から。
なんというか、一言二言で言い切ることができるものにロクなものはないと思う。
かとうちあき
2011-07-27[n年前へ]
■自分の「気持ち」と「キャラクター」
かとうちあき「野宿入門〜ちょっと自由になる生き方〜 」中の「自分のキャラクターを知ろう」から。…とても単純でいて、だからこそ、とても一般的にあてはまる、つまり器用に上手に凝縮された言葉。
たぶん、ほとんどの人は、自分が見つけうる野宿地候補の中から、そのときの自分(の「気持ち」と「キャラクター」)と向き合い、どうにか妥協点を見いだすことで、野宿地を決定していくのでしょう。
「29歳、独身、女。風呂は、まだない」という言葉で始まる序章から、「すごく寂しくなっちゃって…そうしたら、私も自分の『家族』ってものが欲しくなったの。それで結婚したし、あなたも生んだの。…赤ちゃんだったあなたの背中には、羽が見えたのよう!あなたの背中に羽が見えたのよう!」と母が娘に語る言葉が記される「おわりに〜母とのおっぱい野宿」まで、ページを読み進めていくと…不思議なことに何でもできるような気持ちになってきます。
(何が豊かとか、何が面白いとか…わからないこと、割り切れないことを)わたしたちは答の出ないことを、あんまり深く考え込んではいけないのでしょう。 「これだけは覚えておこう」 from 「野宿入門 」