2009-07-22[n年前へ]
■占いに頼る人々
小倉千加子「シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる 」の「占いに頼る人々」から。
この世は偶然性に満ちている。(中略)早く気づく人ほど占いに頼る。それが、女性である。男性であれば芸能人や政治家などの「他者依存的」職業の人である。そして男女を問わず「親」である。親は、自分の能力や努力や意志でコントロールできない、自分よりも寿命の長い存在を産むため、世界の不確定性をより強く実感するからである。
すなわち、占いに頼る人々とは、被暗示性の強い非科学的精神の持ち主というより、むしろ合理性のない社会に、獣道を探すように合理性を探求しようとしている人々なのである。だからこそ、占いは、ありとあらゆる方法で科学的合理性を身にまとおうと、科学的根拠を謳う。
2009-07-26[n年前へ]
2011-03-14[n年前へ]
■二十世紀の科学的・合理的な文明国民の愛国心
寺田寅彦「天災と国防」から。
人類が進歩するにしたがって、愛国心も大和魂もやはり進化すべきではないかと思う。
砲煙弾雨の中に身命を賭して敵の陣営に突撃するのも、確かに尊い大和魂であるが、(中略)二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露には、もう少しちがった、もう少し合理的なやり方があるべきではないか、と思う。
(昭和九年十一月、経済往来)
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