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2010-04-22[n年前へ]

タンポポの花は、夜閉じる 

 昼間、道を歩いているとタンポポの花が満開に咲いていた。思わず、太陽の光の下で黄色に輝くタンポポの一群を写真に撮った。

 ところが、夕方、同じ場所を歩いていると、あれだけ強烈に景色を彩っていたはずのタンポポが見当たらない。

 これは一体どうしたことだろうか…と思いながら、その辺りの草むらを、よくよく眺め直してみる。すると、そこには花をキュッと蕾(つぼ)めて閉じたタンポポたちがいた。

 昼間あったはずのタンポポの花が消えたのではなくて、ただ満開に咲いていた花たちがその顔を隠していただけだったのだ。

 タンポポの花は、夜閉じる。花びらを閉じて蕾のような状態で眠る。タンポポの花は朝になると咲き、夕方近くになるとそっと閉じる。そして、花が咲き終わり時間が経つと、白い綿毛を輝かせ、それを飛ばす。

 タンポポの花は、2から3日間咲き続けます。しかし、夕方になると、次の朝まで花を閉じます。

今までずっと、こんな不思議で魅力的なことに気付かないまま過ごしてきた。…もしかしたら、こどもの頃はそんなことを当たり前のように知っていたのかもしれないが、それなら、いつの間にかそんな秘密を忘れていたのかもしれない。

 気付かないだけで、そういうことが実はとても多い、のかもしれない。


タンポポの花は、夜閉じるタンポポの花は、夜閉じる






2010-04-23[n年前へ]

眠る「睡蓮(スイレン)」 

 「タンポポの花は、夜閉じる」ことが新鮮だったので、同じように夜眠る花を探してみた。すると、たとえば、(私たちがよく眺める種類の)スイレンもそういう「夜は閉じて眠り、昼には花を開く花」である、と知った。だから、「睡眠の蓮」で睡蓮と名づけられたという。

 そういうことを知ると、睡蓮で彩られた公園の池を見るとき、これまでとは違った見方をするようになるように思う。たとえば、それが昼の池なのか、それとも、夜なのかということを意識しながら眺めるようになりそうだ。

 「睡蓮」という言葉を見ると、クロード・モネを思い出す人も多いだろう。モネが一番描いたものが、「睡蓮」である。さまざまな色彩で、睡蓮が浮かぶ景色をモネは眺め、絵筆で描き出している。「光の画家」と呼ばれたモネは、光に照らされた風景がきらめくようすを、写真よりリアルに描き出している。

 睡蓮には、夜眠り昼咲く種もあれば、昼眠り夜起きる種もあるという。光を描いたモネが見たたくさんの「睡蓮」は、一体、どんな種類の睡蓮なのだろうか。それは、陽の光の下に咲く睡蓮だろうか、それとも、月光の下で咲く花だろうか。



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