2010-02-28[n年前へ]
■「ブラジャー大戦争」と「日本人と中国人の体型の違い」 (初出:2005年09月10日)
「ブラジャー戦争」が世界で勃発しているという。「ブラジャー戦争」という、何とも奇妙な名称の「戦争」は、中国製繊維・衣料品の米国や欧州諸国への輸出に関する貿易問題のことだという。
中国が輸出する低価格繊維・衣料品を「(人の目を惹く)ブラジャーに代表させ、それらの貿易摩擦を「ブラジャー戦争」と呼んでいるらしい。
9月1日には、米国も中国製ブラジャーに対して、緊急輸入制限(セーフガード)を発動したし、EU(欧州連合)も該当製品を税関で足止めさせていた。
そういうわけで、「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」などという言葉が、連日のように新聞紙面を飾っている。
中国工場で格安安定生産をを実現したことにより躍進したユニクロの衣料を愛着する人も多いだろうから、この「ブラジャー戦争」の行方に興味を持つ人も多いかもしれない。
「中国」と「ブラジャー」と言えば、「日本人と中国人とではバストの形が違う」という一節で始まる「中国・北京ワコール」の記事も面白い。
男性の私には今ひとつよくわからないのだが、「日本人はバージスライン(バスト下部のまるい弧のラインで、カップのカーブにフィットする部分)が狭く、前に飛び出た形。これに対し、中国人はバージスラインが広く、お椀のような丸い形」らしい。
そんな「日本人と中国人の体型の違い」を理解し、中国市場に向いたブラジャーを生産することで、中国・北京ワコールは、中国の下着市場で生き残っていこうとしているという。
「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」という名称は人の目を惹く。そんな、「ブラジャー戦争」「Bカップ騒動」から、世界の貿易問題や製品開発の現在を知ってみるのも面白い!?かもしれない。
2012-01-28[n年前へ]
■「貿易赤字額」と「原油価格推移」をグラフにして眺めてみよう!?
「貿易赤字」についてのニュースや記事を見ても、なかなか意味がわからなかったりします。そんな時、「ことばだけの説明」や「短いコメント」では何がなんだかわからないよなあ…と考えます。
そこで、「貿易赤字」について「学んでみよう!」と思い、まずは財務省貿易統計ページから貿易収支のデータを取得して、輸入額・輸出額の推移をグラフにしてみました。
なるほど、確かに輸入額が輸出額を超えています。しかし去年がどうというよりは、ここ何年もの間「輸出が停滞している」ようにも見えます。また、リーマンショック前後など、それとは異なる、遙かに大きな動きも実感することができます。
さて、次は、輸入金額の内訳(財務省貿易統計)を項目に分けてグラフにしてみることにします。
すると、原油と石油製品が卓越していることがわかります。しかし、その動きは、去年1年の間の動き(震災の影響)より、もっと違う「動き」の方が大きな影響を与えているようにも感じられてきます。
そこで、さらに原油価格の動きもグラフにしてみました。それが、下のグラフです。
原油輸入量(金額)=数量(輸入量)+単価(原油価格)ということになるのでしょうが、原油入金額の推移に関しては(輸入量)よりも、原油価格の「揺れ動き」の方が遙かに大きく卓越しているように見えて・感じられてきます。
少なくとも、「短いことばによる説明」では何も実感できないことであっても、「眺めてみる」ことで自分なりに何かわかったり・感じたりすることができるものです。…というわけで、今日は「貿易赤字額」と「原油価格推移」をグラフにして眺めてみました。
参考:2011年の石油と石油製品の輸入(数量、平均単価との関係)
参考:2009~2011年の化石燃料の輸入(輸入量と輸入額)
2012-02-11[n年前へ]
■「2011年の貿易収支赤字」主要因は「原発停止による燃料量増加」ではありません
「貿易赤字」についてのニュースや記事を見て「違和感」を受けました。それは、たとえば、こういった「内容」です。
財務省が25日発表した2011年の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は2兆4927億円の赤字だった。貿易赤字は31年ぶりで、第2次石油危機で原油価格が高騰した1980年以来だ。東日本大震災や円高、タイの洪水で輸出が減る一方、原発停止に伴って火力発電燃料の輸入が急増した。違和感を感じたのは、「原発停止に伴って火力発電燃料の輸入が急増した」という一文でした。「原発停止に伴って増加する」というとき、「増加する」ように思われるのは火力発電燃料の使用「量」です。しかし、貿易収支の話の中で、「火力発電燃料の輸入が急増した」となれば、その文がまず意味するだろうことは、「火力発電燃料の輸入”額”が増加した」という内容です。
朝日新聞デジタル
輸入「額」=使用「量」×輸入単価という関係はありつつも、決して輸入額と使用量はイコールの「量」ではありません。つまり、この「原発停止に伴って火力発電燃料の輸入が急増した」という一文は、前半と後半で「話題にしている量」がすり替わっているように感じられてしまうのです。
そこで、「貿易赤字額」と「原油価格推移」をグラフにして眺めてみると、日本の輸入額の推移を決めているのは、原油・石油製品の輸入額変動であって、その原油・石油製品の輸入額変動は、(輸入「量」ではなく)原油価格変動であることが見えてきます。
つまり、去年の日本の輸入額が増えた一番の要因は、「燃料の輸入量が増えた」ということでなく、「燃料の価格が上がった」からなのです。天然ガスの輸入量は増加していますが、そんな天然ガスでさえ、天然ガスの輸入”額”が増えている一番の要因は「単価の上昇」であるのです。(参考:「2011年の貿易赤字理由を知る」ために作るグラフ)。
そんな風に、貿易にまつわる値を眺め・考えてみた後に、公開されている関連記事を読んでみると、みすほ総合研究所のレポートが、わかりやすく・参考になりそうに思えます。
2011年の貿易収支が赤字に転じたのは、原油などの輸入価格上昇が主因。資源価格の動向が当面の貿易収支を左右。
みすほ総合研究所のレポート
「2011年の貿易収支赤字」の主要因は原発停止に伴う燃料使用”量”増加ではないのです。電気供給で用いる”燃料”を価格が安定して安価なものにしたい(価格が大きく変動するものにはしたくない)と言うことはできるでしょう。しかし、原発を止めたから貿易赤字になった主張は間違っているのです。