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2008-07-27[n年前へ]

懐かしい景色と懐かしい音 

 港で運動した帰りに銭湯に行った。

 大正浪漫を感じさせるようなレトロな建物だけれど、明治12年創業と聞けば、そんな佇まいも至極当然に見えてくる。

 引き戸の入口をから中に入れば、そこは何十年も違う時代に見える。体重計には数字の横に「貫」という文字も刻まれていて、あぁ、1貫は4kgで、百貫デブは400kgのことだったんだということに気づかされる。

 さらに浴室の中に進むと、その中はまるで古い教会のようだ。狭いけれど三角屋根の高い天井に、音が響く。声を出せば、パイプオルガンが教会に響くように声が残り、丸い浴槽の中に漬かっていると、外から聞こえる排気音が、ダイハツ・ミゼットの音にしか聞こえなくなってくる。

 ここに入ってくる新しいものは、ガラスビンから缶に変わったコーヒー牛乳と、ほんの少しづつ、微かに入れ替わっていく「人」自身だけかもしれない。

 コダクロームで撮影したような、不思議に濁った色合いの日暮れを見た後に、港に流れる川沿いを歩き、道沿いに座る。すると、人々のざわめきと花火の爆音が響いている。音が、街の「通り」の四方八方から違う周波数とタイミングで響きわたり、空気を震わせ続けてる。

 懐かしい景色と懐かしい音が、目の前に心地良く広がっている。

銭湯銭湯








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