2008-07-27[n年前へ]
■懐かしい景色と懐かしい音
港で運動した帰りに銭湯に行った。
大正浪漫を感じさせるようなレトロな建物だけれど、明治12年創業と聞けば、そんな佇まいも至極当然に見えてくる。
引き戸の入口をから中に入れば、そこは何十年も違う時代に見える。体重計には数字の横に「貫」という文字も刻まれていて、あぁ、1貫は4kgで、百貫デブは400kgのことだったんだということに気づかされる。
さらに浴室の中に進むと、その中はまるで古い教会のようだ。狭いけれど三角屋根の高い天井に、音が響く。声を出せば、パイプオルガンが教会に響くように声が残り、丸い浴槽の中に漬かっていると、外から聞こえる排気音が、ダイハツ・ミゼットの音にしか聞こえなくなってくる。
ここに入ってくる新しいものは、ガラスビンから缶に変わったコーヒー牛乳と、ほんの少しづつ、微かに入れ替わっていく「人」自身だけかもしれない。
コダクロームで撮影したような、不思議に濁った色合いの日暮れを見た後に、港に流れる川沿いを歩き、道沿いに座る。すると、人々のざわめきと花火の爆音が響いている。音が、街の「通り」の四方八方から違う周波数とタイミングで響きわたり、空気を震わせ続けてる。
懐かしい景色と懐かしい音が、目の前に心地良く広がっている。
2010-03-03[n年前へ]
■「自然の力」と「人間の力」 (初出:2005年09月02日)
とても華やかな景色を、横にちょっと飾ってみました。この写真は、一昨年のちょうど今頃ニューオーリンズで撮影した写真です。(アメリカの中では有数の)古い街並みが素晴らしく、古い街並みではジャズ(発祥の地ですから)や色んな音楽を演奏している人たちが本当にたくさんいて、とても趣のある素敵な景色でした。一番古い街並みが残っているフレンチ・クオーターには、夜にいつも人が溢れていました。
最近、報道でずいぶんと変わり果てているニューオーリンズの街並みを見かけます。右の写真に写っているスーパー・ドームには市民が避難していて、そして、私がこの写真を撮影した(スーパー・ドームの横に立つ)ホテルは外側のガラスが全壊に近いようです。
テレビの画面には、この写真を撮影した辺りに、周囲から避難してきた市民が溢れているようすが映っていました
洪水や地震や津波や噴火・・・といったさまざまを起こす自然の力が強いように、弱い人間もやはりそれでも強い、と私は思います。だから、少し時間が経てばニューオーリンズの街も活気を取り戻していくのだろうと信じます。
そう願いながら、酷い状況の景色だけでなく、とても綺麗だったニューオーリンズの写真を同時に眺めたくなりました。だから、今日はこんな写真を飾ってみました。
一番最後に置いた、右の写真はニューオーリンズの中心、そのフレンチ・クオーターのさらに中心にあるセント・ルイス大聖堂の中で見た景色です。人が祈る、ただそんな姿です。