2008-05-09[n年前へ]
■「新幹線」という名前の場所
「新幹線」という場所がある。静岡県函南町にあるその場所は、東海道新幹線が開業するずっと昔、第二次大戦中から「新幹線」という名前で呼ばれていた。
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昭和十年代、「新幹線(弾丸列車)計画」が進められていた。その際、新丹那トンネル工事を行うために工事宿舎が建てられていた地区が、いつしか「新幹線」と呼ばれるようになり、昭和29年には正式に字(あざ)名となった。
「新幹線(弾丸列車)計画」の流れを汲む東海道新幹線が起工されたのが昭和34年、開業したのが東京オリンピックが開催された昭和39年だ。新幹線という名前の場所は、その場所近くを通る「新幹線」を、20年ほども待ち続けていたことになる。
最初の「新幹線」を新幹線という場所が20年ほど待ち続けていたように、それぞれの地名はそれぞれの歴史を持っている。不思議な地名を目にすると、歴史ミステリの表紙を開く心地になる。
2008-06-08[n年前へ]
■秋葉原という街で
秋葉原に行くようになったのは、三十年くらい前。国際ラジオのような店の前で色んな部品を眺め、役に立ちそうにない汚い部品の数々に、わけもなくワクワクした。何の部品も半田付けもされていないapple][のコンパチ基盤をロビン電子で眺め、武田鉄矢が笑う(けれど、間違っても武田鉄矢が使いそうにはない)「マイコン」を抱えるポスターを眺め、タダの緑茶自販機で喉を潤したりしながら、一日秋葉原で過ごす週末も多かった。
そういえば、マイコンの宣伝ポスターで笑うのは、高倉健や斉藤由紀や……なぜかみんなマイコンを使いそうにない芸能人ばかり、だったような気がする。あれは、一体なぜだったのだろうか。
2008-07-27[n年前へ]
■懐かしい景色と懐かしい音
港で運動した帰りに銭湯に行った。
大正浪漫を感じさせるようなレトロな建物だけれど、明治12年創業と聞けば、そんな佇まいも至極当然に見えてくる。
引き戸の入口をから中に入れば、そこは何十年も違う時代に見える。体重計には数字の横に「貫」という文字も刻まれていて、あぁ、1貫は4kgで、百貫デブは400kgのことだったんだということに気づかされる。
さらに浴室の中に進むと、その中はまるで古い教会のようだ。狭いけれど三角屋根の高い天井に、音が響く。声を出せば、パイプオルガンが教会に響くように声が残り、丸い浴槽の中に漬かっていると、外から聞こえる排気音が、ダイハツ・ミゼットの音にしか聞こえなくなってくる。
ここに入ってくる新しいものは、ガラスビンから缶に変わったコーヒー牛乳と、ほんの少しづつ、微かに入れ替わっていく「人」自身だけかもしれない。
コダクロームで撮影したような、不思議に濁った色合いの日暮れを見た後に、港に流れる川沿いを歩き、道沿いに座る。すると、人々のざわめきと花火の爆音が響いている。音が、街の「通り」の四方八方から違う周波数とタイミングで響きわたり、空気を震わせ続けてる。
懐かしい景色と懐かしい音が、目の前に心地良く広がっている。
2008-11-05[n年前へ]
■昔の野球は、バッターに今よりずっと近い位置にピッチャーがいた
(「ダイアモンドの中心にピッチャーマウンドがあるか?」の続きです)「野球」のルーツには色々な意見がるが、現在の野球ルールの大部分は、1842年頃にニューヨーク市内の紳士クラブが作った「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブ」という社交クラブから始まった、と言われている・・・という。「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブは、各ベース間の距離を決めた。それが90フィート(27.431m)である。それは、今の野球規則で定められている距離と同じだから、つまり、野球場の「ダイアモンド」は一世紀半以上大きさが変わっていない、ということになる。
しかし、ホームベースとピッチャー・プレートの距離は違う・・・らしい。書籍を調べていくと、「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブ」が作ったルールでは、その距離は45フィート(13.7m)だったという。つまり、今より5m近く短いのである。ということは、ピッチャーは「ダイアモンド」の中心より遙かにバッターに近い位置で愛を叫んでいた、ということになる。
それから数十年後の1881年に、ホームベースとピッチャー・プレートの距離は50フィート(15.24m)に変わり、そして、それからすぐの1893年に18.44mという現在と同じ距離に変更されたのである。ここで、ようやく「野球場のダイアモンドの中心近く」がピッチャーの位置となったのである。
まだまだ、キャッチボール(というよりピッチング)にしかはまっていないのだけれど、ピッチングのテキストを読みあさったり、野球経験者にアドバイスを受けていると、野球の沼の奥の深さにはまりまくる今日この頃だ。
2010-05-23[n年前へ]
■人の十年分の一年
「世界の果てまでイッテQ」で、珍獣ハンター・イモト(イモトアヤコ)のVTRを観ながら。
アイツ(イモト)、一年で、他人(ひと)の十年分生きてるなぁ。
内村光良 (ウッチャンナンチャン)