2008-11-04[n年前へ]
■ダイアモンドの中心にピッチャーマウンドがあるか?
「野球」のホーム・ファースト・セカンド・サードベースで囲まれる領域は「ダイアモンド」と呼ばれる。今日の疑問は、「ピッチャーがボールを投げる時に踏む、ピッチャーマウンドにある”プレート”はダイアモンドの一体どこに位置するのか」ということだ。最近、ピッチングにはまっているせいで、そんな疑問にはまっている。
「自然は対称を好む」という言葉が野球のルールにも当てはまるとしたら、ピッチャープレートはホームベースとセカンドベースの中心、そして、ファーストベースとセカンドベースの中心に位置するのが「自然」に思える。実際のところ、どうなのだろうか。
四角形のダイアモンドの大きさは、各辺の長さが90'(27.431m)である。ダイアモンドは、ファースト・セカンド・サードベースの中心、そして、ホームベースのキャッチャー側端を結んだ正方形である(ほかのベースと違って、ホームベースはダイアモンドの角に接するように設置された五角形であるために、"キャッチャー側端"ということになる’のだろう)。一体、ピッチャー・プレートはこのダイアモンドのどこに位置するのだろうか。
野球規則に挙げられている数字、ホームベース端からセカンドベースの中央まで38.795m、ホームベース端からピッチャープレート(15.2cm長)のホームベース寄りの位置までが18.44mという数字、を見ると、ピッチャープレートは、ダイアモンド中央よりホームベース寄りに見える。
確かに、ヤンキースタジアムを航空写真で拡大して眺めてみると、そういった「ダイアモンド中央よりホームベース寄り」の位置にピッチャープレートがあるようにも見えるような気もする。一体、「野球は対称を好む」のかそれとも、違うものを好むのか、野球の「ピッチャーマウンド」は「ダイアモンド」のどこにあるのか、ダイアモンドの中心でピッチャーは愛を叫ぶのか(古い)、それが(今日の)疑問なのである。
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2008-11-05[n年前へ]
■昔の野球は、バッターに今よりずっと近い位置にピッチャーがいた
(「ダイアモンドの中心にピッチャーマウンドがあるか?」の続きです)「野球」のルーツには色々な意見がるが、現在の野球ルールの大部分は、1842年頃にニューヨーク市内の紳士クラブが作った「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブ」という社交クラブから始まった、と言われている・・・という。「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブは、各ベース間の距離を決めた。それが90フィート(27.431m)である。それは、今の野球規則で定められている距離と同じだから、つまり、野球場の「ダイアモンド」は一世紀半以上大きさが変わっていない、ということになる。
しかし、ホームベースとピッチャー・プレートの距離は違う・・・らしい。書籍を調べていくと、「ニューボッカーズ・ベースボール・クラブ」が作ったルールでは、その距離は45フィート(13.7m)だったという。つまり、今より5m近く短いのである。ということは、ピッチャーは「ダイアモンド」の中心より遙かにバッターに近い位置で愛を叫んでいた、ということになる。
それから数十年後の1881年に、ホームベースとピッチャー・プレートの距離は50フィート(15.24m)に変わり、そして、それからすぐの1893年に18.44mという現在と同じ距離に変更されたのである。ここで、ようやく「野球場のダイアモンドの中心近く」がピッチャーの位置となったのである。
まだまだ、キャッチボール(というよりピッチング)にしかはまっていないのだけれど、ピッチングのテキストを読みあさったり、野球経験者にアドバイスを受けていると、野球の沼の奥の深さにはまりまくる今日この頃だ。
2008-12-16[n年前へ]
■「ピッチャーが踏み出す両足の間隔」と「人体のプロポーション」
野球のピッチャーが投球を行うとき、理想の足を踏み出す幅は「足のサイズを基準にして、およそ6足半の長さ」だという。ピッチングの教科書を見ると、そう書いてある。たとえば、足のサイズが25cmの人であれば、25×6.5=162.5cmほど足を踏み出して、ボールを投げるのが理想的なフォームということになる。
この数字は「理想的な投球を行うためには、ピッチャーは自分の身長とほぼ同じ長さだけ、足を広げて投球を行わなければならない」ということを意味している。ダ・ヴィンチの人体の素描を思い起こせば、それはつまり、ピッチャーは両足を180°近くも開脚した状態でボールを投げるということだ
180°近く足を開きながらボールを投げるわけないよなぁ・・・と思いつつ、ピッチャーがボールを投げているようすを見てみると、確かに両足を身長と同じくらい近く開いている。広げた両腕と同じくらいの長さに、両足を広げている。
野球の練習のために、相撲の「股割り」を長時間続ける練習をするとも聞く。野球のピッチングは調べれば調べるほど面白い。
2008-12-17[n年前へ]
■「速い球」と「遅い球」の境界は時速何kmか?
「野球の科学」を解説した本は多い。野球はとても人気があるスポーツであるし、野球に含まれている「力学から複雑な流体力学にわたる科学的事象」を単純化して解くことが比較的簡単にできるためか、野球を題材にした科学本が数多く出版されている。
ワッツ&ベイヒル 「ベース「ボール」の科学―ボールから目を離すな (数理科学ライブラリ)」を読んでいて面白かったのが、「球速 vs. 打者がホームベースの何m 手前で球を見失うか」というグラフだった。下のラクガキはそれを描き写したもので、ピッチャーが球を投げたとき、バッターから見て球の移動速度が「(角速度)にして300°/s」を超えたとき「打者は球を見失う」として作成された計算結果(のグラフ)である。追尾可能な角速度が300°/sというのは、(テストに参加した)プロ野球選手の能力のほぼ2倍という値だというから、実際にはこのグラフに示されているものより遙かに遅い速度で(=ホームベースから遠い場所で)、バッターは球を見失ってしまうことになるだろう、と書かれている。つまりは、どんなバッターもボールの軌跡を眺め続けることはできないと書かれている。
バッティングセンターに行ってみると、時速90kmくらいを境に「速い!」と感じてしまうが、このグラフを眺めてみると、ちょうど草野球レベルが時速90km辺りになるから、普通の草野球レベルを超える辺りのスピード球から「速い」と感じているようだ。つまり、私にとっては、「速い球」と「遅い球」の境界線は草野球レベルの時速90km辺りに引かれているようだ。野球好きな人、よく野球を楽しむ人たちの「速い球」と「遅い球」の境界線は一体時速何km辺りなのだろうか?
2009-02-04[n年前へ]
■ピッチャー体質とキャッチャー体質
酒井順子「入れたり出したり (角川文庫) 」より。
ピッチャー体質というのは、「聞く」よりは「話す」方が得意な、自己主張タイプ。相手に自分の投球を受け止めてもらうのが当然と思っているので、他人の球を受けるのは得意ではない。
対してキャッチャー体質の人は、どんなクセ球もワイルドピッチも受け止めようとします。クセ球をうまく身体でとめることができた時は、職人としての幸福感すら覚える。基本的にはどんな人とも合わせることができる、キャッチャー体質の人間。
誰のことも受け入れてくれる娼婦は、時に聖女にたとえられます。が、彼女は別に自費の気持ちから男性を受け入れているわけでもなかろう。能力としてできてしまうから、そしてそうするしか道がないから、来るものをただ受け止めてあげる、そのひたすら受容的な態度が、見ようによっては聖女に見えるのだと思う。
雑誌には「聞き上手は、生き方上手」なdと書いてありますけれど、聞き上手の方が、本当はよっぽどタチが悪いということも、あるのです。・・・キャッチャーはピッチャーの女房役といっても、両者の関係は実は、一妻多夫。相当したたかでないと、多夫など操れぬはずです。だとしても・・・否、だからこそ、私はキャッチャーというポジションにつく人を、これほどまでに好むわけですけれど。