hirax.net::Keywords::「クックパッド」のブログ



2010-04-09[n年前へ]

アントレプレナー(起業家)の単純明快な凄さ 

 上阪徹の「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス (角川SSC新書) 」を読んだ。その中で語られている「クックパッド」創業者 佐野氏の言葉。

 これは起業するときにも思ったことだったんですが、日本って餓死する人はほとんどいないんです。豊かな国ですから。こんなラッキーな国に生まれたのに、その幸運を使わない手はない、ということです。
 この言葉と、ほとんど一時一句同じような言葉を、ずっと前に株式会社はてなの近藤社長の口から聞いた記憶がある。アントレプレナー(起業家)の凄さは、たぶん、こういう風に話すことができる強さなんだろう、と思う。

 「クックパッド」のような、作り手が間違いなく「本当に価値がある」と確信できるサービスを提供する会社が、どのようにできあがったのか、いつも知りたいと思っていた。何か他のサービスを真似したわけでなく、オリジナリティを感じるサービスとを作り上げたその過程を知りたい、とずっと感じていた。この本を読んで、その内側のひとかけらでも知ることができ、本当に良かったと思う。

 そして、上阪徹氏が、「はじめに」と「おわりに」で語る言葉も、自分のノートに書き写した。せめて、この「はじめに」と「おわりに」を本屋の店頭で読むだけでも、この本を書店の棚の中から探してみる価値があると思う。

2010-04-19[n年前へ]

「たまに行う大量なバッチ処理」にはAmazon EC2のクラウドサービスを使う 

 「クックパッドのデータ処理、たった5万円 時間も200分の1以下に短縮、わざわざ米国のサーバを使う理由

 検索ログの解析で問題となるのは処理に要する時間である。なにしろ、クックパッドは毎月900万人近いユーザーが利用するサービスだ。「たべみる」のサービスが対象とするのは、1年分の検索ログであり、そのデータ量は膨大になる。
 同社では、社内のデータベースサーバを利用して、この処理を実施した場合、7000時間はかかると見積もった。しかし、米AmazonのIaaS型のクラウドサービスであるEC2を活用し、50台のインスタンス(仮想マシン)を同時に立ち上げ、分散処理のフレームワークである「Hadoop」を利用したところ、わずか30時間で完了した。
 この際、同社が利用したAmazon EC2のインスタンス・タイプは、スタンダードプランの「ラージ・インスタンス」。1時間あたりの利用料金は、0.34ドルだ。Amazon EC2では、メモリサイズやCPUのコア数に応じて、8種類のインスタンス・タイプを用意しており、その中で2番目に安い。従って、同社がこの膨大なログの解析処理に要したコストは、0.34ドル×30(時間)×50(台)=510ドル(約4万8000円)となる。

2011-01-23[n年前へ]

作ってみたい!?「サイエンス・クックパッド」 

 台所の片隅にいる片栗粉は、馬鈴薯から作られた澱粉(デンプン)からなる粉体です。ということは、砂浜にある砂と同じ粉体というわけで、プールに片栗粉を注ぎ込むと、そこはまるで砂浜のような存在になります。つまりは、その片栗粉の上は、足をとられるながらも走ったりすることができる、というわけです。

 ところが、「海辺の足あと」と「液状化」で書いたように、粉体の中に液体が侵入してくると、液体が粉体間の摩擦・抵抗を下げ、まるで液体のような状態に姿を変えてしまいます。だから、たとえば、砂浜の砂は、波が押し寄せてきた瞬間に、まるで底知れぬ沼であるかのように姿を変えるのです。

 波に洗われている辺りの砂は、意外に締まっているものです。波が砂を洗うたびに、砂は奇麗に整列し直され、密で丈夫な構造に姿を変えます。そのため、砂の上に体重を乗せても、砂浜はびくともせず、奇麗な平面を保ち続けます。

 けれど、そんな足裏にある固い砂浜の感触は、波が砂を洗う瞬間にはどこかに消えてしまうのです。波が足下を洗った瞬間、足下にあるのは「固さというものが微塵もない液体」だけになり、足がズブズブと砂浜の中にめり込んでしまいます。
 ということは、プールに注いだ片栗粉に、さらに適度な量の水を注ぎ入れると、それは白い液体状のものに変わるわけです。

 けれど、そんな液体に見える「片栗粉の水溶き物体」も、その物体に対して力を与え・変形させてしまえば、「部分的に片栗粉=澱粉粒子の隙間に水がいない状態」ができてしまいます。・・・ということは、粉体間の抵抗が強く、液体というより、まるで粘弾性体のような”固い”感触に姿を変えます。このような現象を("dilate"=膨張するという言葉に由来して)”ダイラタンシー”と呼びます。だから、片栗粉を水に溶かした”液体”で満ちたプールの液面を走り抜ける、ということもできるわけです。

 ハインツのケチャップの粘性のナゾ?「喉越し過ぎるビールの速さ」と「ポタージュスープのトロみやら、そんな楽しさを感じさせる食材がキッチンには転がっています。

 「今ある食材で、今日は何を作ろう?」「マンネリにならないようにしたいけど・・・どうしよう?」と頭を悩ますとき、たとえば、クックパッドのようなサービスは私たちを助けてくれます。簡単だけれど、ちょっと美味しい料理のレシピを私たちに教えてくれます。

 もしも、台所にある食材で、あるいは、家の中にある小道具で、勝手に変な実験レシピを提供するサービスがあったら、どんな毎日になるだろう?と想像します。「クックパッド』ならぬ「サイエンス・クックパッド」があったとしたら、家の中はさぞかしエキサイティングで新鮮なことばかり起きる実験場に変わるに違いありません。キッチンをマッドサイエンティストのラボに変えてしまう、そんなサービスがあったら、どんな世界になるのでしょうか。



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