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2013-08-27[n年前へ]

ゴッホ作「ローヌ川の星月夜」に描かれた星について 

 ゴッホ作「ローヌ川の星月夜」に描かれた星について(大阪市立科学館研究報告 )から。

 V.ファン・ゴッホ作「ローヌ川の星月夜」(オルセー美術館蔵;1888年9月)に描かれているのは北斗七 星だと長年思われてきたが、今回、新たに天文学的考察を加えた結果、別の星「秋の大びしゃく」を描い た可能性が浮上したので報告する。

 ちなみに、この文献中に出てくるこの一節に関しては、

 川幅が200m以上あるローヌ川の水面に、電灯よりはるかに暗いはずのガス燈の反射光が、不自然なほど長く明るく描かれている。
水面の波立ちが大きければ、灯りの反射は長く伸びるのがむしろ自然で、そしてゴッホのテオへの手紙によれば霞が吹き流れるこの夜の風景の中では、比較的手前にある灯りは明るく描かれるのが自然だったりするかもしれません(参考:「川の水面に反射する太陽の姿」を、あなたは描くことができますか?)。
 "The starry sky painted by night, actually under a gas jet. The sky is aquamarine, the water is royal blue, the ground is mauve. The town is blue and purple. The gas is yellow and the reflections are russet gold descending down to green-bronze. On the aquamarine field of the sky the Great Bear is a sparkling green and pink, whose discreet paleness contrasts with the brutal gold of the gas. Two colourful figurines of lovers in the foreground."

Vincent Van Gogh, letter 1888

「川の水面に反射する太陽の姿」を、あなたは描くことができますか? 

 こんな「問題」を出されたら、どんな絵をあなたは描くでしょうか?

 あなたは、川のほとりに立っています。川の水は心地良く流れていて、川向こうの空からは太陽があなたを照らしています。眩しい太陽の姿は、川面にも映っています。…川面に映る太陽の姿を、さぁ描いてみて下さい。

 こういう「問題」を出してみると、過半数以上、ほとんどの人が「現実の景色」とは違う姿を描きます。多くの人は、(形の多少の違いはあっても)ほぼ円形の「水面に映る太陽」を描きます。川面で光が反射して、まるで水面に浮かぶ鏡に映っているかのような太陽がを描きます。…けれど、現実の流れる川に映る太陽は、そんな姿ではありません。

 心地良く水が流れる川面は波立っていて、それが原因で水面に映る太陽はまるで「棒」のような姿になります(参考:「海面に写る太陽」の不思議)。だから、水面に映り込む光は、光源の方向から自分の方に伸びる「光の道」のように見えるのです。

 そんなことを思い出しながら、たとえば、ゴッホの絵やモネの絵を見れば、そこに描かれた「水面に反射する光」は、まさに忠実に現実を再現したかのような姿であることがわかります。たとえば、ゴッホの「ローヌ川の星月夜」や、モネの「印象 日の出」を見れば、そこに描かれている太陽の反射像は、まさに太陽がある方向から、私たちの方に向かってくる輝く道状の光です。

 …と、そんなことを考え出すと、彼らが眺め・描いた川面に映る反射象から、川面に流れる波の高さや方向や、あるいは、それら波の高さや方向から導き出される「水深や水底の凹凸の具合」まで想像できるようになります。…たとえば、ゴッホの「ローヌ川の星月夜」を眺めれば、水面に映る光、それらを作り出す波の形は、ローヌ川に突き出た陸地に回り込むような流体力学を反映した水の動きを描き出したかのように見えてきます。

 絵画を見ると、現実の姿を忠実に描いた部分、そして現実とは違う姿が描かれた部分、その二つの面を眺めたくなります。どれほど風景を正確に眺めていたか、そして、その風景とは異なる「どんな世界」を描こうとしたか…といったことを眺めたくなるのです。

昔名画が描かれた場所で、遠く離れ・同じ向きに立ってみる。 

 ゴッホが「ローヌ川の星月夜」を1888年の9月に描いた場所から見た景色を、時間を120年ほど隔てた2013年に佇む私たちも、(時が少しばかり違うことを除けば)同じように眺めることができます。たとえば、GoogleMapでその場所に立てば、水面に波立つ川向こうに並ぶ建物の姿を(名画と比較しつつ)眺めることができます。

 その場所から、Google Street Viewで道沿いを動けば…あるいはGoogle Earthで空間上を移動すれば、名画が描かれた場所の周辺を見て回ることができます。

 遠く離れた時空間の景色を、恋い焦がれつつ・強く思い浮かべれば、いつかその景色を眺めることができるのだろうか…とうつらうつら考えます。

I am still far from being what I want to be, but with God's help I shall succeed.

2014-04-07[n年前へ]

浮世絵の版木を彫るタッチで絵を描けばゴッホの絵画ができあがる!? 

 画家フィンセント・ファン・ゴッホは浮世絵収集家でもありました。そんなゴッホの筆使い、いわゆる”ゴッホ”な絵を描くようになってからの筆使いを眺めると、まるで彫刻刀で木を削り出した跡のような、版画の版木に残る「彫り跡」のように見えることがあります。

 そこで、今日は歌川広重の東海道五十三次「庄野」を刷った版木の彫り跡を重ね合わせて、「一枚の絵画」にしてみました。画の流れに沿って流れるように筆を運ぶゴッホの画のような風景が、広重の版木から浮かび上がってくるかもしれない…と感じたりします。

浮世絵の版木を彫るタッチで絵を描けばゴッホの絵画ができあがる!?






2014-05-17[n年前へ]

ゴッホの「星月夜」を3次元的にグリグリ眺めてみよう!? 

 「見る方向で姿が変わるリアルな浮世絵を3次元的にグリグリ眺めてみよう!?」では、ちょっと真面目に、幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的にグリグリ眺めてみました。

 今日は、フィンセント・ファン・ゴッホの「星月夜(La nuit étoilée)」を、とてもテキトーに”グリグリ”眺めることができるようにしてみました。RGB画像を元にして、テキトーに凹凸データを作り、表面の粗さ分布もこれまたテキトーにでっちあげ、それらを重ね合わせて眺めてみました。

 いつか、超高解像度撮影画像に対して、”Synthesizing Oil Painting Surface Geometry from a Single Photograph”に書かれているような高品位に3次元レンダリングが可能な方法を試してみたいと思います。そうすれば、自分の手元で、凄くリアルに眺めることができる名画を作り出すこともできるかもしれません。

ゴッホの「星月夜」を3次元的にグリグリ眺めてみよう!?








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