hirax.net::Keywords::「バルコニー」のブログ



2005-03-03[n年前へ]

スライド・デザインにおける「上手と下手」 

 「他の分野の人に何かを伝えようとする」なら、まずは「他の分野から何かを学んでみる」のも良いかもしれません。というわけで、こんなスライドを作ってみました。
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ジュリアス・シーザーグローブ座の配置と典型的な進行 ヨーロッパ文化でもミュージカル・演劇などにおける「(その文化中における)上手」は観客から向かって左側だといいます。例えば、右の配置図は、グローブ座のステージ配置とその舞台上の役者の動き、及び、シェークスピアの「ジュリアス・シーザー」の進行具合を示した図です。観客から言うと、左から入場し、右へと退場しています。ただし、シェークスピアの時代には舞台上に「(上に位置する)二階」が使われるようになっており(ロミオとジュリエットのバルコニーのシーンなんか誰でも脳裏に浮かぶのではないのでしょうか)、つまり、舞台上に(容易に上下が推定しやすい)次元が新たに一つ付け加えられており、その影響が「上座と下座」に及んでいるだろうことも想像できます。

 また、「男雛と女雛」「(結婚式における)男と女」は、明治時代に西洋に合わせて左右反転させたという説が一般的です。日本語の横書き時の書き順が「右から左」から「左から右」に切り替わり、同じように(日本語以外の)他の対象物でも、そんなことがおきた、というわけです。その切り替わりの余波が、まだ私たちに混乱を及ぼしている、と考えてみるのも面白いと思います。

2008-04-13[n年前へ]

「幅広バルコニー(ベランダ)」と「冬の部屋」のヒミツ 

 街を歩いていると、「3.5m×3.5mの幅広ベランダ(バルコニー)!」というマンション広告を見かけた。広いバルコニーは気持良さそうだなぁ、そこでビールでも飲めばとても気持ち良いだろうなぁと思いつつ、その立て看板を眺めていると、ふと「このマンションは冬に湿気(しっけ)てしまわないだろうか…?」ということが急に気になりだした。

 「日差しの科学」を読むとわかるように、夏と冬では日差しの角度が大きく異なる。暑い盛りの夏至ともなれば、太陽が一番高く上る南中の時刻には、(真上の)天頂方向から見て約11度の頭上から日光が強く差し込んでくる。その一方、寒い冬至の時期であれば、(天頂から)58度もの低い角度から、日光は斜めに差し込む。

 だから、
 夏至の時、窓の直上に約60cm程度のひさしをつければ、夏の日差しを部屋の中に入らなくすることがわかります
  「日差しの科学
といいうように、上階にベランダ・バルコニーなどがあれば、それが庇(ひさし)となって、夏は日差しが部屋の中を暑く照らすこともなく、かといって、冬には斜めから差し込む陽の光が寒い部屋の中を暖めてくれる。

それなら、上階に幅広3.5mのバルコニーがあるマンションなら、どうなるだろう。もちろん、夏の暑い日差しが部屋の中に入らないことは全く同じに違いない。しかし、冬の正午の日差しを計算してみると、部屋の中を太陽がほとんど照らさなくなってしまうことがわかる。たとえば、ひとつの階あたりの高さが2.5mほどである場合には、南中の時刻の太陽は部屋の中に50センチメートルほどしか、入ってこない。これでは、「寒く湿気た部屋」は暖まりそうにない…。

 というわけで、「このマンションは冬に湿気(しっけ)てしまわないだろうか…?」と、自分の家でもないのにそんなことが気になってしまい、マンションの完成予想図を見ながら「日照シミュレーション」を頭の中で試み続けたのである。はたから眺めたとしたら、さぞかし、そのマンションに惹かれているように見えたことだろう。しかし、実はそんなこんなの「(余計な御世話の)日照シミュレーション」をしていたのだった。

日差し日差しの科学






2008-04-14[n年前へ]

「バルコニー特許」の幾何学 

 建築基準法に基づいて建築物の容積率は決まる。それにしたがって床面積も決まる。
 ところで、建築基準法上は「バルコニーのような外部に開放された部分は、幅2mまでは床面積には算入されない」という。そのため、

 バルコニー面積が容積に参入されると、販売面積が減少し売れ行きが悪くなるため、必然的に世の多くのバルコニーは「幅2m以下」になっている。
という。
 「バルコニー特許」は、バルコニーの形状を工夫し、「幅2メートル以上だけれど、床面積には算入されないバルコニーを作る」というものだ。確かに、そう説明されて眺めてみると、4m×4mの10畳ほど広さのバルコニーが、(ほとんどの場所で)外部から幅2メートルの範囲におさまっている。

 なるほど小さなアイデアのようだけれど何だかとても面白い。バルコニーの形状を、さらに形を変えてみたりしたならば、さらに有効利用できるようになったりすることもあるのだろうか。

2008-04-17[n年前へ]

「バルコニー特許の限界」と「冬の日差しの限界」のヒミツ 

 「バルコニー特許」の幾何学を使うと、バルコニーをマンションの壁から4メートルほど突き出すことができる。ところで、この"4メートル"を「幅広バルコニー(ベランダ)」と「冬の部屋」のヒミツで書いたことと同じように、「冬の寒く湿気た部屋を照らす暖かな日差し」という観点から考えてみると、面白いことに気づく。

 それは、バルコニーの幅(部屋からの長さ)が4メートルを超えると、(ひとつの階あたりの高さが2.5mほどのマンションであるならば)部屋に日差しが全く入らなくなる、ということである。逆に言えば、 「バルコニー特許」の請求項の範囲であれば、「バルコニーの幅を(部分的に)4メートル近くにも広げることができつつも、冬の日差しを(少しは)部屋に引き入れることができる」というわけである。「バルコニー特許の幾何学」と「冬の日差しの幾何学」を描き眺めてみると、何だか上手い関係になっていて面白い。

冬の日差し








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