2008-04-29[n年前へ]
2010-03-25[n年前へ]
■笑いを止められない”怪作”「大河ドラマ入門」
地下鉄大江戸線の中で、新書を読みながら、不気味に笑い声を発する人を見かけたとしたら、それは私だったかもしれない。
私が手にしていた本は、小谷野敦「大河ドラマ入門 (光文社新書)」というもので、一言で言うなら、これはまさに「怪作」である。著者人による大河ドラマ出演者たちのイラストが最高に面白い。そのイラストを見て「大笑いする」というのが、まずは、この本を一番楽しめる読み方だと思う。
本屋に並ぶ本、あるいは、同人誌として売られる本、どんなイラストを基準にしても「ここまでヒドいイラストを見たことはないかも!?」と思わせるほどの超異次元の「イラスト」を眺めていると、「笑い」を堪えることは到底できないはずだ。(6点ほど、他の人によるイラストがある。それらは、それは素人にしては、なかなかに巧いと思う)。このイラストを眺め、そして、大笑いするためだけにでも、この本を手に取ってみる価値はあると思う。
たとえば、下の写真はそんなイラストの一部である。この4人が誰だかわかるだろうか。確かに、冷静に眺めてみれば、それぞれの人に似ているようにも見える。しかし、これは人間というより河童か何かの妖怪を描いた図に見えてくる。そこが、無性に面白い。基本的に、この本のイラスト群は、妖怪大図鑑である。
ちなみに、上の写真のイラストは、左から「斎藤洋介」「榎本明」「草刈正雄」「小池栄子」である。こういったイラストを、疲れた深夜に眺めたら、もう笑いが止まらなくなると思う。
2010-05-17[n年前へ]
■「ずっと」も「好き」も、どこにもないから
西原理恵子原作の、映画「パーマネント野ばら」に対する、森山京子の言葉。
誰かを愛さずには生きていけない。愛しているという思いこみでも、かつて熱烈に愛したという記憶でもいい。心の傷に蓋をし、タフな明日を迎え撃つためにも、その熱の微かな残りを抱きしめていたい。
テレビで、おそらく宣伝番組なのだろう、映画「パーマネント野ばら」を作り上げた女優三人が「女の嘘」というものについて話をしていた。誰だろう、菅野美穂でもなく、小池栄子でもなく、池脇千鶴だったろうか、女の嘘というモチーフに対して、「女が男につく嘘」の話をしていた。…「パーマネント野ばら」に描かれているのは、そういう味の嘘でなない、ように思う。
「ずっと好き」はどこにもないから、『私は、毎日、「嘘」をつく』…けれど、それは他の「誰か」につくのではない。その「嘘」という名の物語を語る相手は、「自分自身」である。騙(かた)る相手は他の誰かでなく自分自身だということにこそ、哀しさと切なさと真実がある、と私は思っている。誰かを信じさせる「嘘」ではなく、「自分」を信じさせる嘘だからこそ、切実で哀しくて、そしてリアルなのだと私は思う。
私は毎日、小さな嘘をつく──。
それから、王子さまとお姫さまはキスをして、
二人はいつまでも幸せに暮らしました―。
そんなお話は この世に ないけど―。
好きやずっとなんて、ないことは、
とっくのむかしから知っている。
だから、わたしは、
毎日、小さなウソばかりついている。