2009-12-01[n年前へ]
■日本数式処理学会教育・Mathematica合同分科会
「日本数式処理学会教育・Mathematica合同分科会」
日時:2009年12月19日(土) 9:30-17:30 場所:東邦大学習志野キャンパス薬学部 A101,102 教室 http://www.toho-u.ac.jp/accessmap/index.html 参加費:無料(会員以外の方も無料です) 参加方法:今回は特に事前申し込みを行いません。 当日会場受付にてお願いいたします。 プログラム: ■全体セッション(A101 教室) 9:30-9:35 会長挨拶 齋藤 友克((株) アルファオメガ) 9:35-10:20 基調講演 大学入試問題は数式処理システムでどこまで解けるか –計算機代数アルゴリズムの理論と限界について– 佐藤洋祐(東京理科大) 10:25-11:10 TBA M.Monagan(Simon Fraser Univ.) 11:20-11:40 Mathematica を活用した工学基礎数学の教育実践 鈴木潔光(日本大理工学部) 11:40-12:00 パソコン活用で培われる数学力について 山本修一(日本大理工学部) 12:00-12:20 数学 SNS の利用方法と実践報告(仮題) 阿原一志(明治大) 12:20-13:10 (昼食休憩) ■講習会(教養1号館マルチメディアラボ) 13:10-14:40 Mathematica7 チュートリアル」 伊藤 雅将(日本電子計算) ■分科会1【教育】(A101教室) 14:50-15:10 Mathematica による非線形現象のビジュアライ ゼーション 三宅修平(東京情報大) 15:10-15:30 大学数学教育における Maple の活用 示野信一(関西学院大理工学部) 15:40-16:00 KETpic 用 GUI ツールの開発 –3D 対応と Web 対応について– ◯中村泰之(名古屋大),高遠節夫(東邦大) 16:00-16:20 全微分に関する図入り教材の作成例とその研究授 業報告II ◯北原清志(工学院大),金子真隆(木更津高専), 山下哲(木更津高専),高遠節夫(東邦大) 16:30-16:50 大学初年級の数学教科書における図利用の実態調査 ◯金子真隆(木更津高専),北原清志(工学院大), 山下哲(木更津高専),高遠節夫(東邦大) 16:50-17:00 討議 ■分科会1【Mathematica】(A102教室) 14:50-15:30 Wolfram Alpha について Laurent Samier(Wolfram Research Asia Ltd.) 15:40-16:20 webMathematica3 について 守谷 崇 (ヒューリンクス) 16:20-17:00 関数座標を作る 加藤康一(愛知県立安城東高等学校)
2011-02-04[n年前へ]
■Wolfram|Alphaの機能をRubyから使う
Wolfram ResearchのWolfram|Alphaは、「科学・工学系の問いに答える」ことが得意な検索エンジンです。Wolframが長年開発して来た(データベース内の規則に沿ってパターンマッチングを繰り返すことでで)数式処理を実現するMathematicaと重なるところも多い、そんな検索エンジンです。
Wolfram|Alphaの機能は、開発者登録すれば、(2000クエリー/月という、少なく限られた処理数ですが)WEB APIとして試し・使ってみることができます。先日、WEB APIのVer.2.0版が公開されたので、試しに使ってみることにしました。
- Java
- Python
- Ruby
- Perl
- PHP
- .NET
- Mathematica
手順は、およそ、こんな具合です。まずは、 開発用APIコードを登録します。そして、各言語用ライブラリのダウンロードページから直接ライブラリをダウンロードするか、あるいは、gitから、
git clone git://github.com/ianwhite/wac.gitという具合に、Ruby用ライブラリをダウンロードします。このライブラリ"wac"は、処理の過程で"nokogiri"と"active support"を使うので、
sudo gem update --system sudo gems install nokogiri sudo gem install activesupportといった感じで、先にインストールをしておきます。(新しい)"active_support"ではなく、(古い)"activesupport"をインストールするのは、(後述する)delegateのエラー回避を簡易に行うためです。
そして、wac.rbの冒頭を
#require 'active_support' require 'activesupport'と書き換えます。つまり、古いActive Supportを読み込むように指定してやるのです。そのようにしてやらないと、"NoMethodError: undefined method `delegate' for…といったエラーメッセージに出くわすことになります。
後は、たとえばirbで、
irb >> require 'wac' >> Wac.appid = "ここにAPIコード" >> r = Wac.fetch 'solve[x^2+3==0,x]'とすると、
Result: x = ±(i sqrt(3)) ±(1.73205 i)という風に答えてくれますし、あるいは、
>> r = Wac.fetch 'obama birthday'と聞けば、
Result: Friday, August 4, 1961と、教えてくれるのです。
Mathematicaのパワーを使うことができるのは、とても魅力的です。「あなたのアイデア」+「Mathematicaのパワー」=「無限の可能性」という方程式を解いてみるのは、とても楽しいことに違いありません。コンピュータのデータベース・記憶力と、ヒトが持つ柔らかな発想を組み合わせれば、最強の何かを生み出すことができるはずです。
2011-05-13[n年前へ]
■海を越えると値段が2倍以上になる「Mathematica 8ホームエディション」
Mathematica 8ホームエディション日本語版が発売されました。Mathematicaホームエディションは,個人の非商業的な目的のためなら、プロフェッショナル版の Mathematica製品の全機能を使うことができる、というものです。米国などでは以前から発売されていて、295ドルという価格が実に魅力的な製品です。
このエディションのリリースにより,今回初めて破挌のお値段でMathematica 8の機能をご体験いただけるようになりました.
喜び勇んでウルフラムのサイトに行き、Mathematicaホームエディションのページを眺めると、…私の目が悪いせいか(日本版を眺めた場合)「特別価格¥67,000」などと書いてあるように見えます。「295ドル」という値段や「破挌のお値段」という言葉を思い浮かべなければ良いのかもしれませんが、思わず目をゴシゴシとこすりたくなる「お値段」です。
ウルフラムが提供する知識検索エンジン”WOLFRAM ALPHA”に尋ねると、295ドルは2万5千円弱で、円で言うともっと安くなりそうとも教えてくれます(下に貼り付けた図は、最近十年間の"295ドル"の円換算推移です)。…そうだよね?と思いつつ、再度ウルフラムサイトに戻ると「295ドル=67000円」という奇々怪々な式がラクガキしてあります。
Mathematica Home Edittionというパッケージが素晴らしいだけに、実に残念な価格設定です。「ビジネスでなく、個人の科学への要求」を広げるためにも、もっとリーズナブルな値段設定をして欲しいところです。
2011-08-07[n年前へ]
■「ゲーデル数化」と「お金が無い人のためのMathematica」
数式処理・演算アプリケーションであるMathematicaでは、作成した「ノートブック(数式・命令コマンド群)」を、誰もが使ってみることができるようなファイル形式に変換することができます。それはつまり、Mathematicaというプログラミング言語でアプリケーションを作成したら、(Mathematicaアプリケーションがなくとも)そのアプリケーションを再生することができるような配布形式に変換をすることができる、ということです。
Mathematica 7までは、誰もが「動かすことができる」できるファイル形式に変換するには、専用サイトで作成したノートブックをアップロードしなければなりませんでしたが、Mathematica 8からはアプリケーション単体で「再生用ファイル形式」に変換することができるようになりました。Wolfram,CDF (Computable Document Format,計算可能ドキュメント形式)というのが、その形式です。
つまるところ、それは名前を変えた"Mathematica Player"に過ぎません。「作成した数式・プログラム」を実行し、そのプログラムにありと数式数値を入力することはできるけれど、数式やプログラム(命令)コマンドを入力し・処理させることができない、という再生環境(機能制限されたMathematica アプリケーション)です。
しかし、ありとあらゆる数式やプログラムは「自然数」に変換することができます(たとえば、ゲーデル数化)(プログラムをビルドするということの入力と出力などに例えて想像してみると、そんなことも至極当然の当前のことと思えてくるかもしれません)。ということは、「自然数」へと姿を変えられた(変換された)「数式やプログラム」を元の姿(数式やプログラム)へと変換し(対応させ)、その数式やプログラムを実行する処理をさせてやれば、「数値しか入力することができない”再生環境”でも、ありとあらゆる機能を実行させることができる」わけです。
そんな、シンプルかつ美しいアイデアを実装してしまったのが"Universal Mathematica Manipulator—Poor Man’s Mathematica"です。任意のコマンド(数値)群を自然数に変換し・その自然数を逆変換させた上で(Wolfram CDF 実行環境に)動かさせるというUniversal Mathematica Manipulator—Poor Man's Mathematica です。(とりあえずの使用方法としては)左上の領域(ペイン)に数式(Mathematicaコマンド群)を入力し、右上の領域に生成・出力された(シリアライズされた)自然数値をコピーして(ブラウザのクリップボード動作〜何桁までペーストするかといった〜の仕様にもよるようです。少なくとも、ChromeやFirefox on Mac OSXでは動きました)、下のペインに(”+”ボタンを押した上で)貼り付ければ、あなたが入力した任意の数式が評価・出力される…という具合です。
Mathematicaがパターンマッチングを延々と行うアプリケーションであることをかんがえれば、こうした「解」が登場するのは至極当前のことのようにも思われます。
Mathematicaは結局のところ、パターンマッチングを延々と行うプログラムである。データベースに登録されているパターン・規則にもどづいて、与えられた数式を置換していくことにより、Mathematicaは解(や所望の結果)を得る。しかし、シンプルなアイデアを素早く実装する華麗さ、というのは眺めると本当に心地良いものですね。
2011-08-27[n年前へ]
■「Wolfram CDF Player を汎用する」
Wolfram CDF Player で任意のコマンド評価を実現しよう、という「Wolfram CDF Player を汎用する」にこんな一節があります。
CDF Player は、J/Link で組んだ Java プログラム経由でならテキストファイルの読み込みが可能なようなのだ。この方法なら CDF Player の使用許諾にも抵触してないように見える。というわけで、テキストファイルに Mathematica 式を書いて保存しておき、これを J/Link 経由で読み込んで ToExpression する CDF ファイルを用意する。
ここで語られているテクニックの味噌(ミソ)は「J/Link 経由で読み込んで ToExpression する CDF ファイルを"Mathematica 8で用意する"」という箇所です。「Mathematica 8でCDF ファイルを作る」ということこそが、Wolfram CDF Player の使用許諾に抵触しないために必要とされる条件なのです。つまり、CDF Playerを使うためには、使用許諾に沿うと、Mathematica 8が必ず必要とされるというわけです。
つまり、「泥臭く、あれこれ試した」という言葉の背後にあるのは「Mathematica 8でCDFファイルを作り、そのCDFファイルは外部かで作成されたコマンド群を解釈・実行させる」ことができるかを試行錯誤し・実現してみた、ということです。その「試行錯誤・実現」という部分の「苦労と醍醐味」を汲み取りたい、と思います。
ところで、「CDF Playerを使うためには、使用許諾に沿うと、Mathematica 8が必ず必要とされる」という規約はビジネスとして至極自然であるようにも思われます。しかし、その一方で、「CDFはオープンファイル形式ですか」という質問に対する答えとは、少し、矛盾を抱えているようにも思われます。