2000-08-04[n年前へ]
■あなたの声が、すぐそばにある
エジソン式コップ蓄音機の逆襲
前回、
で学研の「大人の科学」の中から「エジソン式コップ蓄音機」を購入して組み立ててみた、という話を書いた。今回はその続編である。前回は組み立ててはみたが、なかなか良い音を録音・再生することができなかった。しかし、「エジソン式コップ蓄音機」の実力はそんなものではないわけで、今回はその「逆襲」というわけだ。 一応念のために、前回組み立てた「エジソン式コップ蓄音機」の写真を下に示してみよう。
蓄音機の上の部分が「マイク兼スピーカのカップ」、そして輪ゴムで押さえた針がそのカップに取り付けられ、録音メディアとしてのプラスティックカップがその下で回転している。何とも素朴な「科学おもちゃ」である。懐かしの「科学教材」なのである。
下の写真はこの「エジソン式コップ蓄音機」で「音を再生しているところ」である。この写真もまた、前回のページに載っけていたものである。
ところが、「エジソン式コップ蓄音機」の開発者の方がこの写真を見てこんなアドバイスを下さった。
さて、拝見した「エジソン式コップ蓄音機」の溝写真から判断すると、針先が痛んでいるように思えます。ちなみに、切削音はほとんどしないはず(削りかすもあまりでないはず)です。確かにこの写真には削りかすがずいぶん写っているし、ガーという切削音のノイズも凄かった。再生音に対する前回の私の感想は、普通に針先を見てもなかなか判りませんが、顕微鏡で見るとイッパツです。
大きい声で歌っても、再生される「歌声」はとても小さい。いや、再生される「音」はうるさいくらいに大きいのだけれど、「歌声」はかすかにしか聞こえない。と書いてある。しかし、これはどうやら私が作ったものが上手く動かなかっただけのようである。話を伺ってみると、普通は簡単にキレイな音が再生されるものらしい。おそらく、雑に組み立てた私が、どこかで針先をダメにしてしまったのだろう。
なるほど、確かに学研のサイト
- エジソン (http://kids.gakken.co.jp/kit/otona/edison/edison_index.html )
そして、なんと心優しい開発者の方は新品の針まで送って下さったのである。
そして、実は私の手元にはこんな素晴らしい顕微鏡まである。そう、4年の科学2000/04付属の科学教材である。もう、針先を調べないわけにはいかないだろう。というよりは、「この顕微鏡を使って針先を調べないと、怒るよ怒るよ。」と言っているかのような素晴らしいシチュエーションである。もう、調べないわけにはいかないだろう。
というわけで、この素晴らしい顕微鏡を使って針先を見てみたいと思う。早速、「二本の針先」を顕微鏡を使って見てみたものが次の写真である(ホントは違う顕微鏡を使った)。
実はこの針先というものは、あまり鋭くないことがわかる。「付属していた針」も「送って頂いた針」の方も針先は実は平らになっているのだ。もしかしたら、繊維の中に針を通す時には、あまり針先は鋭くない方が実は良いのかもしれない(実はK氏のアイデア)。例えば、繊維の隙間に針を通すようにするために、針先をわざと丸めているなどの理由があるのではないだろうか?木の繊維にそって曲がっていく釘があるように、この針先も繊維を避けながら進むために先を丸めていたりはしないのだろうか?
また、この写真は左右とも同じ倍率である。ということは、ずいぶんと「付属していた針」と「送って頂いた針」で太さが違うことが判るだろう。また、太さと同様に針先の形状も若干違うこともわかる。「付属していた針」の方は円錐の先をスパッと切り取ったような形状をしている。そして、針先には若干のバリがある。一方、「送って頂いた針」の方は円錐の先を丸めたような形状になっている。針先に鋭い部分やバリなどはあまりない。この差は非常に気になるところだ。
ちなみに、「同倍率で撮影したカッターの刃先」はこんな感じだ。もうメチャクチャ鋭いのである。
さて、すぐに送って頂いた針先に交換して録音をし直してみたいところだが、今回は針先は変えなかった。先ず、現時点でどのような現象が起きているかを、調べておきたかったのである。そこで、
- 針先がカップに接触する角度を寝かせる
- 録音時は針を支持するアームがぶれないように固定する
「ノイズがある場合」と「ノイズがない場合」では、ずいぶんと録音溝の様子に違いがあることが判る。もう「ノイズが多い場合」の方では見るからにノイズが多そうであるし、録音溝が無数の傷がついてしまっている。そして、「ノイズがない場合」の方は見るからに「クリアな音」が出そうである。おそらく、「ノイズがある場合」には針先が妙に引っかかりやすくなっているために、こんな無数の傷ができてしまうのだろう。
参考までに、「ノイズが無い場合」の録音溝の断面を撮影したものが次の写真である。写真では判りにくいと思うが、録音溝は中央部がえぐれ、その周囲が盛り上がっている。
(倍率がもう少し高い) |
また、直感的に想像できるように、この録音溝は針先の平らな部分とほぼ同じ大きさであった。判りやすいように、
- 針先 - 「ノイズがない場合の録音溝」 - 「ノイズがある場合の録音溝」 - 録音溝の断面
この写真を眺めていると、「針先のバリがマズイのではないか?」という想像が強くされるだろう。「針先のバリ」が引っかかることが不安定性の全ての原因であり、この針先の平らな部分を丸めてバリをとってみた場合には、キレイな音が出るようになるのではないかという気がしてくる。そこで、針先のバリを取ってそして新しい針との比較をするとどうなるか、それを次に調べてみたい。
とはいえ、このページもずいぶんと写真が多く、思いページになってしまった。そこで、この続きは次回行うことにしたい、と思う。
さて、今回「エジソン式コップ蓄音機」を使って録音実験を繰り返すために、私は近所の100円ショップで10個100円のプラスティック・コップを山のように買った。何しろ、この録音作業はやり直しがきかない。一回、ミスったらそのカップはもう使い物にならないのである(録音用には。もちろん、通常の飲み物の入れ物としては使える)。
100円で10個、つまり1個10円だから、録音可能な時間あたりのカップ単価を考えてみると
- 10円/0.5分
- 10円/7.4分
さて、今回「エジソン式コップ蓄音機」に録音してみた音の再生音はこんな感じだ。ちょっとサイズが大きいが、是非聞いて頂きたいと思う。開発者によれば、「普通に作れば肉声に近いほどのハイファイ音が聞こえる」とのことなので、この再生音は上手く作れなくてもこの位の音は聞こえるという例として考えて欲しい。
こんな「エジソン式コップ蓄音機」のとても素朴な作りの見かけにしては、結構再生音はきれいに聞こえるものだ。まだ、針先を変えていないので、まだまだ変な音であるが、ぜひぜひ静かな部屋で耳をすまして聞いてみてもらいたいと思う。鈴木祥子歌う「あなたを知っているから」の最後のリフレインがあなたの耳にも聞こえるだろうか?耳を澄ませば、こんな言葉が聞こえてくるはずだ。あなたの声がすぐそこにある。
心の中のすぐそばにある。
2001-07-19[n年前へ]
■世界の果てにある「溶けないアイスクリーム」
何処かでちょっと切なげなリフレインが聞こえた。聞き取れたのは「きっといつか溶けてなくなるアイスクリーム…」というところだけ。
だけど、世界の何処かにはきっとあるはず、と思ったらやっぱりあった。ぶらり旅の行く先はトルコにしようかな。「雲ひとつ無い青い空、不思議な景色、そしてアイスクリーム」だけを見に行くのも良いかも。(リンク)(リンク)
2002-07-04[n年前へ]
■愛に生きて YUKI
今日のBGM YUKI PRISMIC。車が揺れるとCDプレーヤーが何度も同じところをリピートする。それはもちろん、カーオーディオ用のものではないから。
そして、今日のリフレインは9曲目のこの部分。
私が愛してるから
美しい瞳で見て欲しい
ちょっと物理っぽいアルバムのタイトル(もちろんタイトル曲のPRISMも)は良い感じ。そんな曲は他に何があるだろう…?(リンク)
2003-07-28[n年前へ]
■今日見た景色をなぜ作りたいか
かつてお笑いパソコン日誌で
仮に、同じ流星を遠く離れた恋人同士が見ることができたとしても、悲しいことに、たいていは違うところを見ているのである。 それは、同じ場所で同じ映画を見ても、必ず違う部分を見ているのと似ている。われわれは他人とまったく同じものを見ることができない。残念だが。という一文が書かれていた。この一文は二年経った今でも私の中に強く残っている言葉なのです。その文が書かれていたとき、私は
同じ景色だけど他のものを見る他人の視点は、時に素晴らしく不思議に面白いし、時にとても残念で悲しい。と書いてみた。何故、「時にとても残念で悲しい」かと言えば、それは同じものを見たいと思って、だけどやはり違うところを見てしまうから、かもしれません。
それでも、何処かの誰かが眺めた景色を見てみたい、と思うのです。それは、私には見ることができない、だけど誰かには見ることができる何処かの景色を眺めてみたいからかもしれないし、もしかしたら私が眺めている景色と同じ景色を眺めている人がいるかも、と思ってしまうからかもしれません。誰かが「いい感じだな」と思った景色を同じように「いい感じかも」と思ってみたいとか、その逆のことを考えてしまったりするわけです。
とはいえ、そんなことを考えると、いつも
われわれは他人とまったく同じものを見ることができない。残念だが。という言葉がリフレインのように頭の中で響くのですけれど…。
だから、携帯メールからでもPCからでもp@hirax.net宛に写真メールを送ってもらえればとてもうれしく思います。そんな誰かが眺めた景色をいろいろ眺めてみたい、と思います。そして、そんな景色を共有してみたいのです。
2007-07-19[n年前へ]
■自分らしさと世界の何処かのアイスクリーム
from n年前へ.
現代の私たちの日常生活には多種多様な「コピー」が満ち溢れています。 「コピーの時代」
おー、よう来たのぅワレまあ上がって行かんかいワレ 久しぶりやんけーワレ何しとったんどーワレ 「河内のオッサンの唄」
自信に満ちあふれているときには、「自分が生み出した結果」を書きたいと思いこそすれ、「自分のやり方」について書きたい、なんてこれっぽっちも思いません。 自分の中に、自分の立ち位置に対する「心の強さ」が十分にあれば、「(他)人は(他)人、自分は自分」とだけ鼻歌交じりに他人を眺めていたりします。
何処かでちょっと切なげなリフレインが聞こえた。聞き取れたのは「きっといつか溶けてなくなるアイスクリーム…」というところだけ。 だけど、世界の何処かにはきっとあるはず、と思ったらやっぱりあった。ぶらり旅の行く先はトルコにしようかな。「雲ひとつ無い青い空、不思議な景色、そしてアイスクリーム」だけを見に行くのも良いかも。
他の人の自信を支えるやり方を聞くと元気をもらえます。真似をしたいと思います。 元気な時に自分のやり方をメモしておいて、不安になった時にはそのメモを読んで自分のやり方を思い出しています。
違う時間の自分=「他人」に向かって、そんな助ける言葉を書いておくのも良さそうですね。私も早速真似してみようと思います。
「今回は、読者の範囲はかなり狭まり、読者数は減ると思いますが、狙った人にきちんと届くことを考えましょう」