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2015-01-15[n年前へ]

「近赤外で妄想カメラ」や「ゴッホ絵画の外側」を見る!? 

 (Mathematicaの開発元である)Wolframの Blogを眺めていると、「可視光で撮影された霞んだ画像を、同時に近赤外線で撮影した写真の情報をもとに霞除去する」という面白い話がありました。この手法を、クダラナイことに応用するならば、たとえば可視光線で撮影した普通の写真を、同時に撮影した近赤外線情報を使ってスケスケ妄想カメラにできる!などと考えたりします。

 そして、Wolfram Blogをさらに眺めていると、ゴッホの画像から「キャンバス内に描かれなかったさらに外側を、描き出してみよう」という面白い記事があります。これは面白い!というわけで、同じくゴッホが描いた「ローヌ川の星月夜」を、額に収まらなかった世界の先をさらに広く描いてみました。

「近赤外で妄想カメラ」や「ゴッホ絵画の外側」を見る!?






2016-04-27[n年前へ]

「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!? 

 もう3年近く、知人のシミュレーション屋さんが「ギネスカスケード」シミュレーションを続けている。「ギネスカスケード」というのは、グラスに注いだギネスビールの泡が、下へ下へと静かに沈んでいく現象だ(参考:続 「ギネスビールの下に沈む泡」をOpenFOAMで計算してみよう!?)。この現象を、偏微分方程式ソルバのOpenFOAMで計算するだけでなく、(計算の信頼性を上げるべく)実験を比較している。

 ただ、ほんのかすかに少しだけ残念なことに、実験撮影動画の方は、グラスの外部から見た・その表面から見える泡のようすしかわからない。なぜなら、濃い黒茶色のギネスビールでは、グラスの内部で何が起きているかはわからない。シミュレーション動画では、ギネスビールが注がれたグラスの内部挙動がわかる一方で(そういうことができるのがシミュレーションの良さでもある)、実験動画の方ではほんとうに外部表面のさましかわからないのが少し残念だ。

 …というわけで、近赤外線カメラで「グラスにギネスビールを注いだようす」を撮影してみた。つまり、近赤外線の目で眺めれば、ギネスビールはほぼ完全に透明なので、グラス内部でどんな流体と窒素の泡の相互作用が起きているかを(シミュレーション動画と同様に)眺めることができる…というわけだ。下に貼り付けた動画は、透明なグラスに透明なサイダーのような炭酸飲料を注いでいるように見えるが、実際には透明なグラスに、(可視光では不透明で濃黒茶色の)ギネスビールを注いでいるようすである。

2016-04-30[n年前へ]

続「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!? 

 「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!?で、グラスに注いだギネスビールの泡が下へ下へと静かに沈んでいく「ギネスカスケード」を、近赤外線で撮影することで「可視光では見えないギネスビールの内側の泡の動き」を可視化してみました。今日は、撮影を再度行った上で、撮影した動画にParticle Image Velocimetry(PIV)を掛けて、速度場を出してみることにしました。

 まず、今回再撮影した動画は、近赤外線カメラのピント位置をグラス中央にして、グラス中央断面の泡が(他の場所の泡に対して)写りやすいようにします。本来は、投光する近赤外線光もグラス中央断面にのみに平面状で当てることで、さらにグラス中央断面に沿った泡のみが写るようにしたいところですが、今回はカメラのピント位置調整だけを行いました。その状態で撮影したのが、下に貼り付けた動画です。ちなみに、撮影した場所は、右に貼り付けた画像のように、グラスの真ん中あたりの領域です。

 Youtubeにアップロードした動画では、画像圧縮のために泡が見えづらいですが、それでもグラス中央で立ち上る泡や、グラス端部に近い領域では沈降していく泡のようすが動画から見てとれます。泡の動きを描いた矢印の色は上下方向の速度を示していて、赤い色で描かれた矢印は上昇速度が速い泡が多い状態です。グラス中央では、上向きの赤い矢印が多い…つまり、グラス中央部では泡が上昇していることがわかります。

 そこで、PIVにより描き出したギネスカスケード中の速度場のようすが、下に貼り付けた図です。(動画では視認される)グラス外周の泡沈降のようす抽出できていませんが、グラス中央で生じている泡が上昇しているさまは見えています。ギネスビールが可視光では黒茶色で不透明なために、不思議に見えるギネスカスケードですが、近赤外線で撮影した上で泡の動きの速度場を眺めてみると、自然で当然の現象であることがわかります。

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2016-05-29[n年前へ]

続々「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!? 

 続「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!?で撮影した、グラスに注いだギネスビールの泡が下へ下へと静かに沈んでいく「ギネスカスケード」の近赤外線による撮影を、今朝は朝日が地平線に昇る時間からリトライしてみました。…どういうことかというと、真横から指す「赤外線をタップリ含んだ(平面状の)太陽光で照らされたギネスビールのグラス断面を赤外線で撮影」し、グラスの中で生じている泡の動きを高精細に撮影してみよう!という試みをしてみたのです。

 下に貼り付けたGIF動画が、(朝日を浴びつつ)試行錯誤の末に撮影した結果です。グラス中央で上昇すると泡(やビール液体)と、グラスの端部分では下方へと押し下げられていくギネスビールと泡が見て取れます。…ちなみに、ギネスビールの泡の粒径は小さいために、流体と泡はほとんど同じような動きをします。

 ギネスビールのグラス内側で、「光る包丁」のような朝日につれられて上昇と下降をし続ける泡実験をしていると、そして告ぐ度にギネスビールを飲んでいると…「早朝からのギネスビールはイマイチ」ということに気付かされます。

続々「(泡が下へ沈んでいく)ギネスカスケード」を近赤外線で撮影してみよう!?






2017-01-08[n年前へ]

ネット画像から有名人の個人情報(静脈パターン)を可視化してみよう!? 

 SNSなど投稿した「ピースマークなどの指写真」から指紋を推定する記事「指紋がネットで狙われている! 手の画像は悪用恐れ… 国立情報学研が新技術の実用化目指す」を読みました。写真の解像度が高ければ、指紋の抽出は確かにできそうです。もっとも、2017年時点の、よくある撮影解像度やアップロード画像解像度を考えると、指紋抽出はまだ困難な気がします。

 撮影の解像度だけを考えれば、皮膚内での波長毎の吸収・散乱特性の違いによる静脈可視化の方が楽かもしれません。掌を走る静脈は、その模様が人ごとに違うため、個人認証機器に多く使われたりします。そこで、各波長(RGB画像)の特性の違いを利用して、静脈推定をしてみることにしました。

 まずはネット上から掌が映った写真を探してみることにします。有名人の掌が映った写真はとても多く、観客に手を振る写真・演説中に両手の掌を開いて聴衆に見せている写真など、さまざまなパターンの画像が手に入ります。

 そして、静脈を可視化するために色の違いを利用するとなると、重要なことは「圧縮率が低い画像を探す」ということです。なぜかというと、人の視覚系は明度に対しては敏感ですが、色の違いに対しては解像力が低いため、多くの画像ファイルでは色情報が圧縮され低解像度になっているからです。

 圧縮率が低く・掌が映った有名人画像を探してみると、まず最初に見つかったのが綾瀬はるかさんの写真です(下左図)。この画像に「静脈部分を抽出する画像処理」を掛けてみると、皮膚下を走る静脈が浮かび上がってきます(下右図)。

 静脈模様を可視化する用途には、ネットにアップロードされている画像では圧縮率が問題になります。しかし、自分で撮影する画像なら、撮影さえすれば、圧縮が掛かっていない画像が手に入ります。…ということは、個人情報を狙われやすい有名人の人は、静脈模様を覆い隠す「静脈盗撮防止用のコンシーラー」などが必需品になるかもしれません。



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