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1999-08-25[n年前へ]

インラインスケートの力学 (初心者編) 

つま先立ちの180°ターン

 今回は滑る道具の話である。シャレではないが、私はスキーが好きだ。そして、最近インラインスケートを始めた。使っている道具はこんなものである。

  • Dynastar AssaultSuperior
  • Hart FreeLaunch
  • K2 BING AIR
 スキーとインラインスケートの道具の写真を以下に示してみよう。
3種の神器
Dynastar AssaultSuperior (右)
Hart FreeLaunch (左)
K2 BING AIR

 それぞれの滑走接地部の長さはDynastar AssaultSuperiorが185cm程であり、Hart FreeLaunchが110cmである。K2BING AIRは26cm位だ。

 Dynastar AssaultSuperiorの長さを1とすれば、Hart FreeLaunchは長さが0.6程度である。半分とは言わないが、かなり短い。75cmも違う。しかし、この程度の長さにしたくらいではそれほど不安定になるわけではない。特にHart FreeLaunchは安定性が抜群である。私もゲレンデで普通に滑っている限りでは、遅い方ではないと思うが、特に不安定になることはない。不安定だと感じるのは、コブ斜面で、なおかつ、雪が積もってコブの形状が見えない場所を滑る場合などである。それほど、安定感があるのである。
 そして、スキー板が短いため、ターンのしやすさといったら素晴らしいものだ。1つのコブの上で、2回3回とターンが出来る。

 さて、今回の本題のインラインスケートはと言うと、かなり接地長さが短いため、さすがにスキーに比べて不安定さを感じる。とはいえ、思ったよりも不安定ではなかった。(初心者の頃の)スキーで曲がる時のことまで考えたら、もしかしたら、スキーよりも転びにくいかもしれない。急角度のターンのしやすさといったら、Hart FreeLaunchの比ですらなく、瞬時の180°ターンなども簡単である(私は上手くないが)。

今回はインラインスケートにおける瞬時の180°ターンの力学について考察を行ってみたい。瞬時の180°ターンに必要なことは以下のようなものである。まず、前向きに進んでいる状態から瞬時に後ろ向きになって進む場合を考えてみる。状態の変化は以下のようなものだろう。

  1. 前向きに進んでいる。
  2. スケートを瞬時に回転させる。
  3. スケートが180°回転した、すなわち、反転したところでスケートの回転を停止させる。
  4. そのまま、後ろ向きになった状態で進行する。
 第一印象では、ちょうど180°分だけ瞬時に回転させるというのは、難しいように思われる。ところが、実際にやってみると比較的簡単なのである。やり方は、こういうやり方である。
  1. 前向きに進んでいる。
  2. スケートブーツの爪先で立つ。
  3. スケートブーツが勝手に180°回転し、反転したところでスケートブーツの回転が勝手に止まる。
  4. いつのまにか、後ろ向きになった状態で進行している。
 その様子をRealVideo形式にしたものはこんな感じ(モデルはK氏)である。一体、何故勝手にスケートブーツは回転するのだろうか、そして、何故ちょうど180°回転するのだろうか?

 まずは、足を回転させてみると、その回転軸は下の図で紫の円で示したような場所に位置することがわかる。土踏まずと中指の根元の中央辺りである。

足を回転させた場合の中心軸

誰がなんと言おうとこれは「足」

 この図を「インラインスケートのブーツを履いた場合」で示したものを以下に示す。

インラインスケートのブーツを履いた場合の回転軸

 それでは、つま先で立ってみよう。どういうものに近似できるだろうか?

つまさき立ちした場合はどのように近似できるか?
このような状態は
こういうものに近似できる。

 何か見覚えがないだろうか? そう、台車の足部分である。ここまでくると判りやすい。台車の場合で考えれば、良く実感できる筈である。

台車の足はどうなるか?
台車の足を押すと...
瞬時に回転する。

 それでは、簡単な力学計算をしてみる。「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を拘束系の剛体問題と考えてみよう。インラインスケートのローラは「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向にはいくらでも回転できる。したがって、転がり摩擦を無視すれば、その方向に関しては「地面に接触しているローラ部分」は地面からは何の力も受けない。しかし、ローラは「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向と直行する方向には回転することができない。したがって、その方向へ地面から力を受けることになる。滑っている人の速度をVとすれば、「地面に接触しているローラ部分」が「足の回転軸」と「地面に接触しているローラ部分」を結ぶ方向と直行する方向に受ける力はVsinθである(シータは文字化けしそう...)。

計算の説明図

 もうここまでくれば、一目瞭然である。「インラインスケートを回転させる力」であるVsinθ(シータは文字化けしそう...)をグラフにすると以下のようになる。ここで、θ(シータは文字化けしそう...)がPiを過ぎたところで、-Vsinθ(シータは文字化けしそう...)になっていることに注意してもらいたい。

インラインスケートを回転させる力をグラフにすると

 このグラフは縦軸が任意単位の「インラインスケートを回転させる力」を示しており、横軸がインラインスケートの回転軸に対する角度である。ちょっとでも、インラインスケートが回転軸に対して傾くと(θ(シータは文字化けしそう...)=0でなくなると)つま先を後ろへ向かせる方向へ力が働き急激に回転する。そして、つま先が真後ろを向き始めるとその力は弱くなる。つま先が真後ろを向いたところで、その力は0になり、もし回転しすぎると、また、真後ろへ戻す力が働く。そなわち、つま先が真後ろへ向いているのが非常に安定なわけである。

 というわけで、インラインスケートで前進中に爪先立ちすると、何も考えなくてもちょうど180°回転してくれるというわけである。もちろん、後ろへ進んでいるときに回転したいならば、進行方向側のかかとで立てば良いわけである。

 今回の話はひとまずこんなところである。

2000-06-13[n年前へ]

コンクリートの隙間に 

足元にあるカメラオブスクラ

 
 

 写真を撮り出した人が必ず罹る病が、「街中のありふれたものに美を感じだす」ことだと思う。カメラを使い出した最初の頃には、誰しも必ず罹るのではないだろうか?街中の看板やちょっとした何かにレンズを向けた人は多いと思う。私などは、いつまで経っても写真初心者だったりするので、今でもその病は治っていない。カメラをたまに持つと、どうしても単なる路肩などにレンズを向けてしまう。私はこんなコンクリートの隙間がとても好きなのだ。

 デジカメを持ち歩く今でも、やはり道のアスファルトと建物のコンクリートの隙間や、道端の街路樹との隙間には何故か惹かれてしまう。桜の樹の下から目をそらすことができなかった人がいるように、私はその隙間から目をそらすことができない。それは、文字通りの「隙間」だけでなくて、もっと広い意味でも「隙間」も含めてである。

 そんな隙間を意味する"aperture"は、同時に光学系の絞り・有効口径をも意味する。"aperture"が大きければ、焦点が合っているところは明るく映し出される。そして、分解能は高くなり、はっきりと物事が見えるようになる。しかし、それはあくまで部分的な話である。なぜなら、"aperture"が大きければ大きいほど被写界深度は浅くなり、焦点が合うのはごく一部だけになってしまうからだ。その結果、焦点が合っていない個所はボケて、そこに何があるのか見えなくなってしまう。部分的には、はっきりと写し出されていても、それは部分的だ。ある部分を正確に描写しようとすればするほど、他の部分が見えなくなることがある。
 カメラオブスクラの光を通す「小さな隙間」のように、その隙間を小さくしていけば、はっきりと世界が写るようになる。隙間を小さくすればするほど、世界ははっきりと、そして暗くなる。そして、"aperture"が限りなく小さくなってしまえば、光が届かずにもう何も見えなくなってしまうだけだ。それでは、もう何も写らなくなってしまう。

 そんなわけで、こじつけすぎるかもしれないけれど、ちょっとした大きさの隙間だからこそ、見える色々なものがあるはずだ、と私は思う。中途半端で、あいまいで、長続きしそうにもない隙間のような場所だからこそ、ボンヤリとしてはいても、色々なものが写っているかもしれない、と思ったりする。

2001-09-27[n年前へ]

ネットトラフィックの洪水の中で 

 事件後にニュースサイトのウェブマスター達がしたこと。必見。from お笑いパソコン日誌。
 別にヒーローを大量生産したいわけでは毛頭無くて、このウェブマスター達が
「そうして作られたページは、もしその会社のロゴが入っていなければ、パソコン初心者が作ったといっても信じてしまうくらいに素っ気無いものである。そしてウェブマスターはそんなページをダウン状態のサーバーに順次アップしていった。 」
という作業をしていた時の気持ちは「でも、少なくとも、今の仕事をきちんとこなしていく、それに尽きるなあ、なんて感じています。それがどんな地味な、力作業のような仕事であっても、です。だって今の私にできる、それがベストですもの。」というような感じだったのかな、とふと思った。埃にまみれたり、泥だらけになっていても、そんな時の人はきっと輝いてる、と思うのだけれど。(リンク

2003-02-19[n年前へ]

ぶろ…ぐ? その1 

 一連のテキストを読みながら、2ちゃんねる研究の2003.1.19の文章を思い出した。オリジナルはいずれ消えるということなので、ここに引用しておこう。

 「CNP」それ自体には何の意味もありません。 CNPheadlineの一日あたりのページビューは2000程度でした。… また「CNP」自体は空のダンボールの箱のようなもので、それだけあっても仕方がありません。 もちろん同様の企画を始めるのは全然構わないのですが、箱の中に入れるモノがあるのか、についてよく考えてみる必要があると思います。  …  新たに(CNP的な企画を)始めるとしても、重要なのは、既存のサイトがどれだけ参加するかではなく、新たな参加者(つまり企画に賛同してサイトを新設する人)をどれだけ確保できるかということだと思います。 だいたい個人サイトの寿命は1年とか2年とかそんなものですので。  … 保存委員会さんの方は、やたらとうちのサイトやCNPに大きな価値があるとか思っているようで、何というかネット初心者特有の勘違いを感じました。 というより、私もネットを始めたばかりの頃は同様の勘違い、つまり個人サイトの世界で「大手」だったりするサイトをかなり凄いものだと誤解していました。 これはある種の遠近法の転倒というか、この世界にどっぷり浸かっていると、近くから見ると小さなモノでも大きく見えるという原理で、「大手サイト」が凄いものだと思えたりするということです。 そしてこういう「勘違い」は程度の差はあるにせよ、個人サイトに関与するひとたち全般に共有されているものです。  … 実際には発行部数が数万部程度の読者投稿型の雑誌で常連になっている程度のことなのですが、(もちろん一般の人はそんな雑誌はまったく見ないし存在すら知らないが)、その雑誌に夢中になっている特殊なひとにとっては、その誌上におけるステータスが極めて重要であると思ったりする…、あるいは、重要であると勘違いするひとだけが投稿する、ということです。 … 何にせよ、 CNP的なものを始めるなら、今までに存在したCNPとは直接的な連続性のない新企画というスタンスでお願いします。 そして、そういうまったく新しいものの方が発展性や可能性があると思います。何かが終了すれば別の新しいものが…、ということで。

2003-06-11[n年前へ]

今日の疑問 

 perlをお勉強中のワタシ。今日の疑問はwindowsのperlで、他のプロセスを起動させて、その終了を待つというのはどうやるのでしょ?と、思ったらPerl初心者のFAQのページに書いてあった。なるほど、と。



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