2009-02-12[n年前へ]
■「向田邦子」と「走れメロス」
久世光彦 「触れもせで―向田邦子との二十年 」より。
(太宰治は嫌いだが)向田邦子は「走れメロス 」だけは好き、と言っていた。
信頼という字を書こうとして、そこでどうしても手が止まってしまい、待つという言葉が男の人みたいにきれいに発音できないというのである。
この人は信頼できない誰かを待っているのだろうか。私はその時ふと思った。
2009-02-13[n年前へ]
■太宰治と井伏鱒二
吉田和明 「太宰治はミステリアス 」より。
しかし、それにしても、井伏さんはどうして、ここまで太宰の面倒をみるのでしょう。結婚の世話をしたり、仕送りの仲介を引き受けたり、太宰が何か問題を起こせばその解決のために尽力する。……では、井伏さんはなぜそうした面倒臭いことを引き受けたのでしょうか。
吉田和明 「太宰治はミステリアス 」
2009-02-14[n年前へ]
■井伏鱒二と太宰治
豊田清史「知られざる井伏鱒二 」より。
彼(太宰治)は生活の破綻男で、人間は相手にせなんだが、何しく資産家の子でなア、旅や宿に行っても彼が気前よく代を支払ってくれるので、ぼくは助かったよ。放蕩息子にぼく(井伏鱒二)は生活の面で救われたよ。
井伏鱒二
2009-04-30[n年前へ]
■「プライドの使い方」と太宰治
荒井玲子「ソフトウェア開発 で伸びる人、伸びない人 」の「あとがき」から。
人は、必ず変わることができる。
私はいつもそう信じています。そして、変わるならば、良い方向に、幸せな方向に向かってほしい、と願っています。
…プライドは、外に向けるのではなく、自分自身に向けることです。
…実は、私自身もかつては誤った高いプライドを持ち、肩に力が入った日々を送っていました。…(それが)変わったきっかけは…ある本を読んだことです。もしも、あなたが「どうしたら伸びる人になれるのだろう?」と思って、この本を手にとって下さったなら、この文章を読んで楽になって下さい。
「まじめに努力していくだけだ。これからは、単純に、正直に行動しよう。知らない事は知らないと言おう。出来ない事は出来ないと言おう。思わせ振りを捨てたならば、人生は意外にも平坦なところらしい。磐の上に、小さな家を築こう。」
太宰治 「正義と微笑 」
2010-01-26[n年前へ]
■知らないことは知らないと言おう。
太宰治の(「パンドラの匣」と「正義と微笑」が収録されている)「パンドラの匣 (新潮文庫) 」のAmazonレビューから。
世にある(太宰治)のイメージは、「人間失格」や「桜桃」の虚無的な人なのでしょうが、太宰は意外に軽みと明るさのある人であったな、と、大人になった今は思います。
私が始めて読んだ太宰は「正義と微笑」でした。前向きな、爽やかな青年の姿がかかれています。しかし、その底流には、病気と闘っていたり、繊細な心で色々なことを考えたりするといった、陰の部分もあるわけです。
この小説を読むと、何かと戦いながら、軽やかな明るさをつかんでいく青春の姿を感じます。それは、まるで夜明けの寂しい明るさのようです。けれど、そこには(ほのかな)希望の光が見えます。
ぼくは、きょうから日記をつける。この頃の自分の一日一日が、なんだか、とても重大なもののような気がしてきたからである。人間は、十六歳と二十歳までの間にその人格が作られる、ルソーだか誰だか言っていたそうだが、あるいは、そんなものかもしれない。
「正義と微笑」の冒頭節から
まじめに努力して行くだけだ。これからは、単純に、正直に行動しよう。知らないことは、知らないと言おう。できないことは、できないと言おう。思わせ振りを捨てたなら、人生は、意外にも平坦なところらしい。岩の上に、小さい家を築こう。
僕は、来年、十八歳。
「正義と微笑」の最終節から
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