hirax.net::Keywords::「数学者」のブログ



2010-12-29[n年前へ]

人の会話の上で成り立つ「学問」 

 「NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか—天才数学者の光と影 」中の、小島定吉のウィリアム・サーストンに対する言葉。

 優れた定理を証明し続けることが必ずしも数学の発展につながらず、むしろ数学者のやる気をそいでしまうこともある、と知ったことは、博士が「数学は、人の会話の上で成り立つ学問だ」と考えるひとつのきっかけになったのかもしれません。
 さらに、ウィリアム・サーストン自身の言葉。
 自分の研究の進め方に二つの問題点があると反省しました。(ひとつは)自分の理論のバックグラウンドを丁寧に説明せず、いわばわかる人にだけわかれば良い、という書き方に陥っていたのです。もうひとつは、周囲が「答え」を期待しているのだと勘違いしていたことです。だがそうではなかった。皆が求めていたのは答えではなく、どうやって考えたかという過程だったのです。

2012-04-04[n年前へ]

「学問で一人前になるための必要条件」 

 「n年前へ」から「学問で一人前になるための必要条件(○×を志す人の性格条件/プログラミングと体力)

 学問で一人前になるための必要条件として、次の四つが挙げられている。
1. 知的好奇心が強い
2. 野心的である
3. 執拗である
4. 楽観的である
 このうちの3番目の「執拗である」ためには、「体力・精神力ともに強くなければ、長い作業の中で消耗してしまい頂(いただき)に辿り着くことはできない」から、「執拗である」ためにはそれを支える「体力と精神力があること」が必要だという。

2013-01-03[n年前へ]

「センス(自然の感覚)」と「ミューズ(美の女神)」 

 安野光雅「絵のある人生ー見る楽しみ、描く喜び」から、(安野光雅の他著作で)何度か読んだことがある数節。

 群像を描く場合、赤い服の向こうにまた赤い服が着て重なると上手くない。また、…右に赤い服を着た人を描くと、なぜか左の方にも赤い服を着た人を配して画面の色彩的なバランスをとりたくなったりします。このバランス感覚は、…頼るのは自分のセンスです。それは…、瞬時に頭をよぎる感覚です。
 鴎外はそんな不思議な感覚(直感)について「自分の中にもう1人の自分がいて、その人が自分を操作している、自分は舞台で踊らされている人形に過ぎないと思うことがある」という意味のことを書いています。
 以前、アメリカのクヌースという数学者と…話したことがあります。そのとき「頭の中の指揮者」について話したところ「それがミューズ*だよ」と言いました。「(クヌースがこの直前に書いた論文に対して)論文も、ひとたび書きはじめると後は、こころの中にいるらしい、指揮者の命令のままに書いていたような気がする」という意味のことを言っておられました。そういえば数学者の遠山啓も「数学教育の目的は直感を育てることにある」と言っておられました。

 ミューズ(Muse)は芸術や学問などをつかさどるギリシャ神話の女神たちです。音楽(Music)に耳を傾けるとき、美術館・博物館(Musiam)を歩き・何かを眺める時、人を楽しませ・楽しむとき(muse)、体の中にはきっとミューズが入ってきて、それと同じように、何かを作っている時ミューズが自分の中に訪れてくれたなら…と願います。



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