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2002-03-06[n年前へ]

紙飛行機に乗ってた人達 

Fair is foul, foul is fair II

 先日、hirax.netの検索エンジン「ぐるぐる」宛にこんなメールが届いた。

 私たちが折り紙を覚えるとき、一番最初に折ってみたのは紙飛行機だった気がします。もしかしたら、私だけでなくて多くの人たちもそうであるのかもしれません。そこでふとこんな疑問が浮かびました。よく、時代劇で折鶴、紙風船がでてくることがあるのに、なぜ紙飛行機は出てこないのでしょうか?折り方は一番簡単なのに…。
 昔は、飛ばして遊ぶ折り紙はなかったのでしょうか?もしそんなものが何かあったとしたら、それを一体なんと呼んでいたのでしょうか。折り方でいちばん簡単な三角翼、いわゆるジェット機に似た形のものが有ったとしたら、それを何と呼んでいたのでしょうか?
この答えを探しに行った「ぐるぐる」はまだ帰ってこない。きっと何処かで「紙ひこうきの歴史」を調べているところなのだろう。あるいは、何処かで道草でもしているのかもしれない。

  きっといつか「ぐるぐる」も戻ってきて、上の検索結果も判るとは思うのだけれど、今回はこのメールで思い出した「ある紙飛行機に乗ってた人達」の話をメモしておこうと思う。それは、昔から語り継がれているらしい少し不思議な紙飛行機の話である。

 先日、スキーに行った帰りの車中で、私の会社の先輩にあたる人が「この話は二十年くらい前に大学の先輩から聞いた」と言って、私達にこんな話をし始めた。


 「これは不幸にも墜落した紙飛行機に乗っていた人達の話です」と言って、ある人が聞き手の前でこんな風に紙飛行機を折っていく。
 

紙飛行機を折る
まずはこんな紙を用意して
片側を三角に折る
もう片側も折り込む
真ん中で折る
一方の翼の部分を折り返す
逆側の翼も折り返す
よくある紙飛行機ができあがる
普通に飛ぶ紙飛行機である

 そして、話し手は、「ある日、この飛行機に過酷な運命が訪れる。その飛行機は、いつもと同じように乗客を乗せて、いつもと同じように飛行場を飛び立った。しかし、この飛行機は不幸にも翼の自由を奪われてしまう」と言いながら飛行機の翼を折り畳む。そしてさらに、「翼の自由を奪われたこの飛行機は何処かの場所に激突してしまう。紙飛行機には多くの乗客が乗っていたが、その人達を乗せたまま紙飛行機は真っ二つに割れてしまった…」とゆっくりと語り、その飛行機の胴体を二つに切ってしまう。
 

翼の自由を奪われた紙飛行機の胴体を二つに切ってしまう…
紙飛行機の翼を折り畳んだ状態で
胴体を真っ二つに切断する

 次に、話し手は「そしてこの不幸な飛行機の胴体は、紙飛行機に乗っていた人達と共にバラバラに散らばってしまった…」と言って、紙飛行機のカケラを散らばらせる。目の前で、全部で九つある紙のカケラはバラバラになっていく。

 そして、その散らばったカケラの中の一番大きな一つを拾い、折り畳まれたカケラをゆっくりと開きながら、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行った」と呟く。すると、確かに話し手の掌の中で拡げられていく紙のカケラは、いつの間にか十字架の形に変わっていく。
 

いつの間にか十字架に形を変えた紙飛行機のカケラ

 そして、まだ目の前に散らばっている残りの八つのカケラを話し手は拾い、それをゆっくりと並べながら「残りの罪ある悪しき人々は地獄へ行く」と話す。すると、その言葉のままに、残りの紙飛行機のカケラはいつの間にか姿を変えて"HELL"という文字に変わっていくのである。
 

残りの八つのカケラが形作る言葉…「罪ある悪しき人々は地獄へ行く」

 そして、最後には話し手と聞き手の間には、紙飛行機が姿形を変えた「十字架と地獄」だけが残り、「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていく、という話なのである。
 

バラバラになった紙飛行機が姿を変えた「天国と地獄」

 この話を聞いたときに、その「一見普通に見える」紙飛行機がバラバラになって、そしてそのカケラを並べ直すといつの間にか「十字架の形」と「"HELL"という言葉」に形を変えるなんて、とても不思議で少し不吉な話だなぁと小心者の私は思った。

 そして、この話がどんな風に作られて、どんな風に語られているかを知りたくなった私は、この話に関連しそうな話を探してWEBサイトを辿ってみた。すると、キリスト教の説法の一つとして、この「十字架と地獄」という話をいくつもWEB上で見かけることができた。そのほぼ全ては「天国と地獄」「十字架と地獄」といった「善と悪」の話だった。また、その話は「天国へのチケット」という風に、もとの形が飛行機でないものも多かった。
 

 そして、さらにいくつかの情報源を辿っていると、他とは少し変わった終わり方の話を見かけた。その話の中でも、全部で九つの紙のカケラの内の一つはやはり十字架になり、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行く」というところまでは他の話と全く同じだった。しかし、その話の中では残りの小さな八つのカケラが形作る文字が"HELL"という文字ではないのだった。
 

やはり残りの八つのカケラが形作る言葉…「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」

 その残りの八つのカケラは並べ直すと、姿を変えてこんな風に"LOVE"という文字を綴るのである。そして、語り手はその文字を指しながら「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と終わるのだった。この形で終わる話を眺めて、ようやく、この「紙飛行機に乗っていた人達」の話は「とても不思議で少し不吉な話」から「とても不思議な話」だと私は思えるようになったのである。

 紙飛行機が何処かに激突して二つに分かれてしまう。ある人が語る話の中では「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていくと語られる。そして、また違う人は「紙飛行機に乗ってた人達」は「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行き」「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と語られる。同じカケラが、語り手次第で「地獄へ行く罪ある悪しき人々は」だったり、「深い愛に包まれる敬虔な人々」だったりする。

 マクベスの冒頭の"Fair is foul, foul is fair."という言葉ではないけれど、何が善で何が悪かはほんの少しの視点の違い次第だ。それはもちろん、この八枚の紙のカケラに限らない。
 
 

2004-07-19[n年前へ]

奇想天外な宿泊プラン 

 鬼怒川温泉「佳祥坊 福松」の奇想天外なプランの数々。「キリスト教信者に限り、夜食にラーメンをサービス」というクリスチャンはラーメン プランや、「宿泊の際に修士論文もしくは博士論文をお持ちください。(コピー可)一冊のみ2000円で購入いたします」という高学歴者プラン(優越意識プラン)や、「内藤様または斎藤様に限り、夜お休みに成られる前にお部屋に熱燗をお持ちいたします。熱燗が苦手な方は、ホットミルクをお届け致します」というグット内藤!お休みな斎藤!プラン。そして、「プランが多すぎて『おまかせします』プラン 」なんていうものもある。 from 踊る大捜査線FANSITE

2004-12-10[n年前へ]

GoogleSuggest BETA 

Winter 2000--Gordon Hirabayashi 入力中の検索結果をインクリメンタル推定してくれるGoogleSuggest BETA. 日本語だと日本語変換IME(FEP)が間に入るから、動きがどうなるのかはよくわからない。

 試しに自分の名前で"hiraba"と打ち始めると"hirabayashi vs. united states"なんていう風な推定が出てくる。恥ずかしくも、Gordon Hirabayashiの名前を知らなかったので、その人のことを調べてみる。

真珠湾攻撃が起こったとき、ヒラバヤシはワシントン大学に在籍する24歳の学生だった。1942年5月16日、彼に強制収容の命令が下される。熱心なキリスト教徒でもあったヒラバヤシは、この強制収容を「人間の尊厳を侵し、生きる権利を否定するものだ」として糾弾し、「この国が培う民主主義の規範を維持していくことが私の義務だと考える(I consider it my duty to maintain the democratic standards for which this nation lives)」として命令服従を拒否する書状をFBIに提出した。

2009-08-09[n年前へ]

「岸田麗子」の「キリスト」と「仏」 

 岸田夏子編・著 「肖像画の不思議 麗子と麗子像 」から。

 「キリスト教も仏教も結局は同じ事を教えているけれど、キリスト様は若くして亡くなられたから教えは厳しく、仏様は永く生きられたから、教えは穏やかなだけ」

岸田麗子

  岸田劉生が書いていた日記とともに、麗子像を眺めると、少しづつ描き方が変わる(およそ70枚にもわたる)数々の麗子像を、その描き方が変わる理由を想像しながら(これまでより)深く味わうことができる。



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