2004-05-31[n年前へ]
■近代ストア主義とメスメリスムの類似性
タイトルがなんだか魅力的で、「高頻度名詞と共起する有意味単語データを因子分析することで、18世紀後半と19世紀初頭にかけて活躍したカバニスとメスメールという、二人の思想家の予想外な類似性を計算する」という「ベクトル空間モデルに則った、近代ストア主義とメスメリスムの類似性に関する計量文体論的分析」
発表論文一覧を眺めてみると、これまた結構面白そう。ちなみに、「近代ストア主義」をgoogleで検索してみても…、こんな結果にしかなりません。
2007-07-07[n年前へ]
■市場経済と万有引力と「神の見えざる手」
『国富論』を書き、"経済学の父"と称されるアダム・スミスはアイザック・ニュートン(1642-1727)に強い影響を受けたという。
18世紀に経済学の基礎を作ったアダム・スミスが、非常に強い影響を受けたのは、ニュートン的な“科学”です。 栗田啓子 万有引力と神の見えざる手アダム・スミス(1723-1790)が生きていた時代、多くの人たちが、世界・社会を動かす基本的な法則性や自然科学の法則性に、神の意思が表れていると考えていた。万物に、普遍的な(けれど見えない)“万有引力”が働いているとニュートンが考えたのと同じように、アダム・スミスが経済発展の歴史や市場均衡の陰に「神の見えざる手」が動いていると考えた…というのは不思議に、そしてとても面白い。
経済学と古典物理学という、まるで分野が離れて見えるようなことなのに、実は同じ時代の中で影響を受けあいながら共に育ってきた…ということを意識するならば、その2つが不思議なくらいピタリと綺麗に重なり合う。それは意外でもあるけれど、同時に、それも当然なことであるようにも感じる。
アダム・スミスが考えた「経済人=ホモ・エコノミクス」という存在がどうしても納得できませんでした。自分の利益にのみ従って、完全に合理的な行動をする人間。自分の進むべき方向を確実に知ることができて、必ずその方向へ動く。そんな顔も表情もない人間なんて現実にいるわけがないし、そんな非現実的なモデルに何の意味があるのだろうか?と思うこともあったのです。 (けれど、ニュートン力学で物体を示す質点だって)大きさもなければ、色もついていない、そんな存在です。ニュートン力学は、物体をそんな奇妙な存在として扱うにもかかわらず、数多くの用途で必要十分な精度の計算・予測をすることができます。 柴田 研 ニュートンと経済人世の中に、「100% 新しい考え・アイデア」なんてほとんどない。いや、多分、そんなものはない。そんなものがある、という人がいたとしたら、単に歴史を振り返ったことがない人だろう。
逆に言えば、どんなこと・どんなものであったとしても、必ず古い家系図のように、考えやアイデアの歴史を辿ることができるに違いない。どんなことでも、少しづつ考えが変化し、ほんの少しづつ新しいものが生まれ、少しづつ前へ進んでいく。意識的に、あるいは無意識的に、異なるように見える色んなものが少しづつ影響を受けあってきた。そんなさまを知ることは、とても楽しい。
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