2009-09-21[n年前へ]
■「個性」という安易な幻想
関川夏央「おじさんはなぜ時代小説が好きか (ことばのために) 」の「無知に個性はない」から。
近年は、個性とかオリジナリティとかの言葉が、魔法のように人を束縛しているのではないでしょうか。自己表現、自己実現も同じです。また、次の言葉は 堀井憲一郎「落語論 (講談社現代新書) 」から。
いま、(中略)人は一人一人が個性を持った素晴らしい存在である、と教えられる。おとなになって木陰で休んでいる気分で振り返ると「嘘も休み休み言ってもらいたい」とおもえる。
2010-12-27[n年前へ]
■自分の本当のオリジナリティ
とり・みきがマンガ家9人にインタビューした「マンガ家のひみつ—とり・みき&人気作家9人の本音トーク 」で、しりあがり寿との回「自分の本当のオリジナリティっていうのは本来自分でもなかなかわからないはずなんです」における、しりあがり寿の言葉から。
オリジナリティというのは、なんというか本当にオリジナリティがあるんだったら消しても消しても現れてくるはずなんですよ。自分で「ほら、こんなこと俺はやってるんだぜ」っていうオリジナリティは、なんか嘘っぽい。
自分のオリジナリティというのは、本来自分でもなかなかわからないもので、それを知りたい・お客さんにも見せたいと思ったら、やっぱり消していくことですよ。これでもない、これでもないって。最後に残るものというか、あるいは一生を見渡してみてやっとわかるというのは本当のオリジナリティで、意識して作るようなものじゃ絶対ない。
しりあがり寿
2011-05-09[n年前へ]
■「オリジナリティ」と「スピード」は確実に繋がっている
高野秀行「間違う力 オンリーワンの10か条 」の「一流より二流を目指す」を読んでいると、こんなフレーズに出会う。
私の知る限り、ユニークなことをしている人ほど動きが早いのだ。オリジナリティとスピードはどこかで確実につながっているように思える。
共通しているのは、そういう人は何かアイデアを思いつくと、興奮していても立ってもいられなくなることだろう。
「この人いいなぁ、凄いなぁ」と感じるさせてくれる人を順を追って思い浮かべてみれば、その誰もが、「ユニークなことをしている人ほど動きが早い。オリジナリティとスピードはどこかで確実につながっている」という言葉を連想させるような人ばかりだ。たぶん、あの人たちはみな「間違う力」を獲得した人たちだったのだろう、と思う。
この本の「おわりに」はこんな言葉で終わる。「ワクワクする毎日」を生む駆動力に思いを馳せれば、ワクワクしない毎日への予防薬になるかもしれない。
正しいかどうかより面白いかどうかで決めること。他人がやっていない新しいことをやるのに、正しいかどうかなどわかるわけもない。そんなことを考えるより、自分がワクワクしているかどうか確かめることが先決だ。実際のところ、何をやるにもワクワクしているかどうかがいちばん肝心なのだ。
2011-05-11[n年前へ]
■「間違う」ための行動パターン
高野秀行「間違う力 オンリーワンの10か条 」の章立て、つまりは『「間違う」ための行動パターン』はこんな具合です。この行動パターンを10点満点で採点するならば、10ポイント満点中であなたは一体何ポイント獲得できることでしょうか?
- 他人のやらないことは無意味でもやる
- 長期スパンで物事を考えない
- 合理的に奇跡を狙う
- 他人の非常識な言い分を聞く
- 身近にあるものを無理矢理でも利用する
- 怪しい人にはついていく
- 過ぎたるは及ばざるよりずっといい
- 楽をするためには努力を惜しまない
- 奇襲に頼る
- 一流より二流をめざす
この『「間違う」ための行動パターン』は実は意外にマトモです。合理的で、努力家で、戦略を考える堅実かつ"いわゆるひとつ"の「マトモな人」にも(一瞬)思えます。
けれど、…よくよく眺めてみれば、肝心要(かんじんかなめ)の「評価関数」だけが、ちょっと標準からは外れているのかもしれません。他の人が手を出さない無意味なことを、(過ぎたる)過剰に目指す…それは少しアウトローで、その「評価関数」は誰しもが認める多数派ではないように感じられます。
多くの場合、「多い」側には多くの人が押し寄せます。…だからこそ、数少ない「多くない側」「少ない側」を選ぶ人たちが、勝ち残ることがあるのだろうと思います。