hirax.net::Keywords::「ガーネット」のブログ



2008-11-11[n年前へ]

シャーロック・ホームズにもわからない「青い紅玉」のナゾ 

 (「ボールレンズ」のネックレスの続きです)ルビーもサファイヤも、酸化アルミニウム(Al2O3)の結晶「コランダム」です。結晶中にクロムが混じると赤色のルビーになったり、鉄やチタンが混じると青色のサファイア(赤色以外のコランダムをサファイヤと呼びます)となったりします。

 サファイヤとルビーという言葉を聞くと、コナン・ドイルの「青い紅石」""THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE""を思い出す人も多いと思います。知らない人は青い?紅石?と思うかもしれませんが、「青い紅石」というのはシャーロック・ホームズが主人公のミステリの題名(の一番有名な邦訳の一つ)です。

 コナン・ドイルが「青い紅石」"THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE"を書いた当時、「カーバンクル」"CARBUNCLE"は「丸く磨いた赤い宝石」を指す言葉でした。それと同時に、その当時はまさに青いコランダム、つまりサファイヤが各地で産出され、広まり始めた時代でもありました。とはいえ、その科学的な定義や名前などはまだ定まっていない時代でもあります。

 ですから、シャーロック・ホームズが「青い紅石」で扱った宝石は、「本来は赤色であるはずなのに、青く輝く珍しい貴重な宝石」であるのかもしれませんし、あるいは、現在と完全に同じ意味での「青いサファイヤ」なのかもしれません。

 万物に通じていて・信じられないほどの推理力を発揮するシャーロック・ホームズでも、その「青い紅玉」"BLUE CARBUNCLE"が何なのかは、きっとわからない時代だったことでしょう。そう思うと、「青い紅玉」が何なのかというナゾに、とても興味を惹かれてしまいそうです。・・・というわけで、「青いガーネットの秘密―“シャーロック・ホームズ”で語られなかった未知の宝石の正体」を読んでみようと思います。

2008-11-12[n年前へ]

「色が変わるガーネット」と"Spectrum Color Conversion" 

 深紅のルビーや青や緑のサファイヤ、つまりは宝石「コランダム」を眺めていると、宝石「ガーネット」に目を惹かれました。コランダムにも色々な色のものがあるのと同じように、ガーネットにもさまざまな色を呈するものがあります。そんな中で、目を惹かれたのは”色が変わる”カラーチェンジガーネットです。

 陽の光の下や白熱灯の下で、あるいは、蛍光灯の下で・・・つまり、その時々の照明光・環境光に応じて違う色姿を見せる「カラーチェンジガーネット」は実に魅力的に見えます。

 ガーネットを照らす光の波長強度分布の関係と、ガーネットの光吸収率分布と、さらにそのガーネットを見る人の色覚・色認識の機構が掛け合わされることで、カラーチェンジガーネットはその色を状況に応じて変えるのでしょうか。そして、その色の変わり具合が激しいのがカラーチェンジガーネットなのでしょうか。

 そういえば、以前光スペクトルデータ操作用のMathematicaライブラリを作ってみたり、そのWEBアプリケーション版のSpectrum Color Conversionを動かしてみました。こんなカラーチェンジガーネットを見ると、その色がどのようなもので・どのように感じているのかを、自分の指でMathematicaのコードで書き下ろしてみたくなります。そして、その「色」の仕組みを頭の中でも納得してみたくなります。

 ・・・と思いを巡らせているうちに、ふとそんな色を楽器でコードで奏でたら、指で弦をつまびいてみたら、それは一体どんな音になるのだろうか・・・とふと思ったりもしました。

2008-11-14[n年前へ]

「色を変える"宝石"ガーネット」と「"変化"するMathematica」 

 「色を変える"宝石"ガーネット」の光吸収スペクトルを探すうちに、こんなページこういったページに出会いました。こういうページを眺めていると、単純な色名では表現できない宝石の光吸収スペクトルを(数式処理プログラムの)Mathematicaで関数にして、さまざまな照明の中で、宝石が外に見せる色を計算するライブラリを作りたい、と思ったりします。

 光吸収スペクトルは変わらなくても、照明光スペクトルや視覚スペクトルに依存して「見た感じ」が変わるようすをMathematicaで描いてみたいと思ったわけです。

 そんなことを思いながら、もうすぐ公開される Mathematica の新バージョン、バージョン7を見ました。そのMathematicaが"変化"し続けるさまは、なぜか「色を変える"宝石"ガーネット」を連想させました。さまざまな機能が追加され、姿・見た目が大きく変わっているように見えても、少しその新たな装いを脱がしてみると、その下にはこれまで同じ「HEADで表現される構造が組み合わさったオブジェクト」が見えてきて、そこに色を変える宝石と同じさまを感じたのです。

 色鮮やかに映える機能をとても魅力的に感じる人は、多いことでしょう。その一方で、特に変化するわけでもない内部の光吸収スペクトルや基本オブジェクト構造に不思議に心惹かれる人もいるように思います。「さまざまな機能を使って何かをしたい」と思う人もいれば、「基本構造を組み合わせて何かを作ってみたい」と思う人もいそうな気がします。

 もちろん、その時の気分で「どっちが好き」かは変わることも多いかもしれません。このページを読む人は技術系の人が多いと思いますが、(この瞬間の)あなたなら「どちら」を好むのでしょう。どちらを選ぶのでしょうか?

spector








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