2000-05-31[n年前へ]
■あなたのモニタの守備範囲
ICMファイルを眺めてみよう
ほとんどの場合、私はWEBページはNotePCの画面を見ながら作成する。かといって、WEBを眺めるのもNotePC上が多いかというと、そういうわけではない。眺めることに関しては、CRTディスプレイを眺めるほうが時間からいうと長い、と思う。
そして、NotePCの液晶画面で作成した画像などを、hirax.netのサーバー内にアップロードして、CRTディスプレイ上で眺めると「見た目が全然違ってあせる」ことがしばしばある。私の使っている「NotePCの液晶ディスプレイ」と「CRTディスプレイ」でカラーマッチングが上手くいっていないのである。
上手くいっていないのも当然で、何しろ色の調整なんか(ソフト上では)全然していないのである。もちろん、CRTディスプレイの方は色味やコントラストや何かは結構調整した。しかし、NotePCの液晶の方なんか全然調整はしていない。まして、メインで使っているWindows2000上では調整なんか全然していないのである。
かつて、メインマシンとしてMacintoshを使っていたときには、使うモニタのプロファイルなどを個別調整したりして、結構気を使っていた。しかし、Windowsをメインで使うようになってからはとんと気にしなくなっていた。モニタの色合わせについてはあまり考えていなかったのである。いけない、いけない。これではいけない。「考えないことは罪である」が私のモットーである(今決めた)。
そこで、今回Windows上のディスプレイの色合わせについて調べてみることにした。まずは、画面のプロパティを見てみる。そこには、次の画面のようにどのような色特性のモニタを使っているか設定する画面がある。
この中で、自分の使っているディスプレイに合わせたカラープロファイルを選択してやるといいのだろうか。とりあえず、windowsディレクトリの中には色々な種類のデバイスのカラープロファイルがずらずらとある。例えば、こんな感じである。
拡張子で言うと*.ICMというやつである。ICMはImage Color Matchingの略で、windows内部でカラーマッチングを行う機構のことである。さて、こういうふうに色々ファイルがあるのは判るのだが、これだけでは一体何がなんだか判らない。よく判らないファイルは、中身を除いてみたくなるのが自然だろう。例え、それが透け透け水着であっても、ミニスカートであっても、隠されたものは覗き込みたくなるのが人情である。
そこで、少し情報を調べてみると、
http://labs.nec.co.jp/hide/ICPLIB-listj.html
にicplibという、ICMファイルの読み書きにとっても便利なライブラリーがあった。NEC様が作成されたライブラリーでとても簡単にICMファイルをいじることのできる「とてもありがたい」ソフトウェアである。
適当にこの中を眺めてみると、サンプル中にICMファイルの中身を読み出して、表示するアプリケーションがある。早速、コンパイルしてやると、こんなソフトである。
上の画面のように、試しにICMファイルを読み込んでみる。すると、その中身は次のようなものが書き込まれているのがわかる。これは、sRGBColor Space Profile.icmというファイルの中身の場合である。
この中にはずらずらと色々なデータが書き込まれている。一例を挙げると、そのディスプレイの赤の色がXYZ色度座標でどの値か、というようなことが書いてあるのだ。例えば、次の図がそれを示したものである。(X,Y,Z)= (0.436,0.225,0.1392)となっているのが見えると思う。
ここでは赤の座標値だけを眺めたが、Red,Green,Blueの各座標の値を眺めてみれば、そのディスプレイがどんな色空間を表示可能なのかが目安としてわかるだろう。Red,Green,Blueの組み合わせで色を表示するわけであるから、当然その三つの座標で囲まれる三角錐の範囲の領域が表示可能なわけである(大雑把に言えば)。ということは、このICMファイル、カラープロファイルを見れば、それぞれのディスプレイの大雑把な性能が判るわけだ。とても、大雑把にだけど。
それでは、試しに、いくつかのディスプレイを用いて、表示可能な色空間の範囲をICMファイルを頼りに調べて、試しに比較をしてみたいと思う。
さて、どういうディスプレイで比較をするかであるが、ディスプレイと言えば「ナナオ」である。いや、少なくとも一時はディスプレイと言えば「ナナオ」であった。売れすぎた今となってはどうなのかは知らないが、私にとっては川崎和夫がデザインを担当したことがあるということだけで、十分なくらい気になるブランドである(しかし、実は私はナナオを使ったことがない。私は何故かダイアモンドトロン一筋なのだ)。「欲しいけど高い。」 「高いけど欲しい」なのである(高くて買わないけど)。
そういうわけで、気になる「ナナオ」のディスプレイの色特性を見てみることにした。まずは、
- EIZO / JAPAN ( http://www.eizo.co.jp/home/support/sw/)
- CRTディスプレイ
- 液晶ディスプレイ
- プラズマディスプレイ
- EIZO CRTディスプレイ EIZO FlexScan E57T ( E57T__65.ICM )
- EIZO 液晶ディスプレイ EIZO FlexScan E151L ( E151L_M1.ICM )
- EIZO プラズマディスプレイ EIZO FlexScan P4260 ( P4260_M1.ICM )
以前、
- WEBページは会社の顔色 -WEBページの色空間を考える2- (1999.04.26)
- 色を伝える時に、考え忘れていたこと(色弱と色空間 その1) - We can work it out! - (1999.08.09)
- すごく太い線 液晶ディスプレイ EIZO FlexScan E151L
- 中間の太さの線 CRTディスプレイ EIZO FlexScan E57T
- 細い線 EIZO プラズマディスプレイ EIZO FlexScan P4260 ( E151L_M1.ICM )
ハイビジョンテレビといってもCRTなわけである。だから、以前計算したハイビジョンテレビの色空間と「CRTディスプレイ EIZOFlexScan E57T」のそれがかなり近いのは当然である。
それに対して、「液晶ディスプレイ EIZO FlexScan E151L」の色空間はずいぶんと狭い。青方向はかなり狭いし、赤方向に対しても若干狭い。深い青色の海の中で、赤い熱帯魚が群れるような景色を観るのにはもしかしたら向かないのかもしれない。
「プラズマディスプレイ EIZO FlexScan P4260」の場合も、やはり若干青・赤方向が弱い。しかし、何やら緑方向にやたら広い発色可能な領域がある。緑の大草原の画像をこのディスプレイを使って眺めてみたくなる。きっと、結構キレイなのだろう。
さて、今回、少し調べてみたicmファイル(カラープロファイルファイル)には、それぞれのディスプレイの出せる「色空間」が書かれている。言わば、それぞれのディスプレイの「守備範囲」が書かれているわけだ。それぞれのディスプレイにそれぞれの「守備範囲」がある。それぞれのディスプレイやプリンタ達の「ここの範囲ならまかせとけ」という範囲である。
その守備範囲をちゃんと知ってさえいれば、「少ない戦力でも勝つこと」ができるかもしれない。また逆に、その守備範囲を間違えるととんでもないことになる。「勝てる試合も負けてしまう」し、「ケガでリタイアする選手も出」てきてしまう。江本猛であれば、「ベンチがアホやから野球をやってられん」という名言を言うところだろう。
というわけで、ディスプレイ達にそう言われないようにするためにも、カラープロファイルファイルでこれからも遊んでみたい、と思う。
また、「カラープロファイルで眺める各社のプリンターの性能比較」というような企画でもしてみようかな、とふと思うのであった。
2003-03-17[n年前へ]
■魔法の液体「ナノカーボン」が付録に〜「ケータイBEST」
これも同じくzdnetの記事。3月15日発売の携帯電話情報誌「ケータイBEST」(ソフトバンクパブリッシング刊)に、魔法の液体「ナノカーボン」がついてくる.「ナノカーボン」は、直径15ナノメートルの超微細なダイアモンド粒子。物体の表面にある目に見えないキズをナノカーボンで埋めて、電気の流れを効率的にする。
鉛筆ゴシゴシとの違いを是非試してみたいのである。というわけで、明日は本屋に走るのだ。