2008-12-05[n年前へ]
■受動歩行メカのネガティブ・フィードバック構造
動力を持つわけでもなく、何かのプログラムで動くわけでもなく、ただ坂道に置くだけで、トコトコと歩いていく受動歩行ロボットを見た。機械仕掛けというほど複雑でもなく、けれど驚くほど自然に歩くその物体に、不思議なくらい興味をかき立てられた。
さらに、受動歩行ロボットの歩行動作自体に、ネガティブ・フィードバック構造、つまりは歩行動作が不安定になりかけると、それを安定に直すような仕組みが内包されているという話を聞いた。その話はとても面白くて、メモを必死に取りながら色々なことを考えてしまった。
たとえば、義足を作るときにも、こういったメカニカルに安定歩行を実現するシステム(バランス)が考えて設計がされているのだろうか。私たちの体自体の「バランス」は一体どのようになっているのだろうか。
2009-01-10[n年前へ]
■川上弘美と「不安」
川上弘美がインタビュー「彼女たちは小説を書く」の中で後藤繁雄に対して口にした、少し新鮮に響く言葉。
(恋人が)どういうふうに私のことを思ってるのかというところが確認できないと、うすうすでもわからないと、すごい不安でしょうがない。
川上弘美 「いとしさとかなしさと」
2009-02-28[n年前へ]
■「阿」+「弥陀」=?
森達也の「視点をずらす思考術 」より
阿弥陀のミダは、測るという意味、メジャーの語源だとの説もあります。アは反意を示す接頭語。つまり、噛み砕いてしまえば、阿弥陀はサンスクリット語で、「わからない」という意味を表しているのです。
p.106 多面的矛盾に満ちた「現代の不安」
2009-03-12[n年前へ]
■本当は女優になりたかった
久世光彦の本はもっと文庫本になってもいい、と思う。文庫本として本棚に並び、ふと買うことができるようであって欲しい、と思う。そして、いつでも持ち歩ける文庫本で、ふと読みたくなった場所と時間に読みたい、と切望する。
ところで、男も女もひっくるめ、すべての職業の中で女優がいちばんだと思います。その誇らしさも、その嫌らしさも、身の引きしまるような優美さも、吐きたくなるくらいの醜悪さも、あるいはそれらが不思議に絶妙に両性しているからこそ、何にもまさって女優がいちばんだと思います。
久世光彦 「私があなたに惚れたのは」
それ故に、あなたがもし選ばれてあるのなら、恍惚だけでは片手落ち、不安の方もどうか忘れないで下さいと、せめて嫌味の一つも言いたくなるのです。
久世光彦 「私があなたに惚れたのは」
2010-01-02[n年前へ]
■コンピュータが生まれてから、人間が何かを知る速度は大きくなりました。
1982年~1985年まで月刊ASCIIで連載されていた、鷹野陽子の「Yoのけそうぶみ 」の最終話、から。
コンピュータが生まれてから、人間が何かを知る速度は大きくなりました。・・・でも、ふっと不安にもなります。知らない方が良かったことも、中にはあったんじゃないかな。また、これからも、知らない方が良かったことを、ついつい知ってしまうんじゃないかな、って。「けそうぶみ」は懸想文と書きます。つまり、それは恋文です。25年ほど前、コンピュータというものを日常生活の中に見かけるようになった頃、その時代に書かれていたのがこの「Yoのけそうぶみ」です。
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