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2000-09-17[n年前へ]

円周率は約3で良いか 

「円周率を約3にするのなら、授業の名前も約算数とか約数学にすべきである。言葉の厳密な意味にかかずらう文化系としてはっきりとそう訴えておく。」from 朝日新聞の朝刊「eメール時評」いとうせいこう。この意見は、「そんなこと、最初からそうだ」ってことが判っていない「典型的な勘違い」だと思う。シミュレーションや計測をすると、そういうことが理解できていない人達に限って、盲目的に信じてしまう傾向があるが、それとどこか似ている。文化系とか理科系とかそんなこと関係なくて、単にいとうせいこうが「何かを絶対視したがってる」だけ。ゲーデルの爪の垢を煎じて飲んでみるのも良いのではないだろうか?だけど、いとうせいこうの「ノーライフキング」は古田足日の「盗まれた町」を受け継ぐ児童文学の名作だと思う。いや、古田足日の「盗まれた町」があまりにも早すぎた作品だったと言うべきか。

2008-10-29[n年前へ]

宿題ひきうけ株式会社 

 100%新しいというものは、世の中にはない。昔あったもの、すでにあるものに少しの何かが加わったものが、「新しいもの」だと思っている。科学でも、技術でも、文学でも、それはきっと何でも同じだろう。過去から現在へ、そして未来へと少しづつ変わっていくものなのだろう、と思っている。

 待っていても未来はこない。ほうっておけば、くるのは今のつづきだけだよ。…そうか。まっていても未来はこない。未来はつくるものなのか。

「宿題引き受け株式会社」 P.180

 「宿題.in」という「宿題に困った小学生のためのサービス」を見たとき、古田足日の「新版 宿題ひきうけ株式会社」という本を思い出した。そして、読み直した。

 古田足日は、その時代と・その時代よりほんの少し先の時代を児童文学として描き出す。40年以上前に書かれたこの本の内容は、ひとことでは言えない。ひとことでは言えないくらい、2008年の現在と同じエッセンスが詰まっている。この本で描かれている「現代」は、40年前でも2008年の今でも本当に同じだ。

 しかし、ずっと変わっていないということは、そこには変わらない理由がある、ということだと思っている。どちらも、ほとんど架空の世界ではあるけれど、宿題.inや宿題引き受け株式会社が生まれ続ける理由がある、ということだと思う。技術革新が生む豊かさと貧しさ、さまざまな違い、そんなものをが消えない必然・理由が必ずある、と思っている。この本には、そういう必然・理由は書かれていない。けれど、たくさんの過去から現在・未来への宿題は詰まっているのが、この本だと思う。
 この一年間、ぼくはきみたちにじっくり考えてもらいたい。自分はなぜ勉強するかということだ。これがこの一年間の宿題だ。

「宿題引き受け株式会社」 P.82



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