hirax.net::Keywords::「回折格子」のブログ



2000-03-19[n年前へ]

一家に一台、分光器 

ハサミとテープで「できるかな?」



 いきなりであるが、分光器を作りたい。光を波長別に分ける機器である「分光器」である。とある実験をするために、分光器が必要なのである。その「とある実験」の影には、大きな野望があるのだが、まだ明らかにする訳にはいかない。とりあえず、色の話題を考えるときに分光器があると便利だから、という理由にしておきたい。

 どうやって分光器を作るか考えてみる。普通であれば、グレーティング(回折格子)やプリズムといったものを使うことになるだろう。家の中を探してみれば、プリズムなどもあるはずなのだが、WEBで情報を探してみると面白い情報があった。

である。CDは1.0umの幅をおいて0.5um幅のピットが配置されている。1mm中のピット数に直すと、600本強である。そして、その構造は反射型のグレーティングそのものである。いらないCDならば家には腐るほどあるし、「CDを使って、マイ(オレの)分光器を作ろうか?」と考えていたのだが、いきなり手元に透過型のグレーティング(回折格子)があったことに気づいた。そこで、このグレーティングを使って分光器を作ってみた。

 次に示すのが、HIRAX一型分光器である。ハンディ・超軽量の優れものだ。テープとハサミと去年のカレンダーを駆使し、フリーハンドで作成した、製作時間20分の大作である。どうも私の仕事はテープとハサミを駆使することが多い。それは、ハードでもソフトでも、どちらでも同じことである。出来の悪いノッポさんである。
 

HIRAX一型分光器の外観図

 左下がスリット部になっている。中央上の折れ曲がっている部分にグレーティングが配置している。次の写真を見るとグレーティングがあるのが判ると思う。HIRAX一型分光器の内部は散乱光を防止するために、黒く塗ってある。しかし、下の写真を見れば判るように、グレーティングの周りの片側は塗り忘れてしまった。まるで、「耳なし保一」である。
 

HIRAX一型分光器の中央にあるグレーティング

 こちらの開口部から目で覗くなり、デジカメで撮影するなりするのだ。そうすれば、スペクトルが確認できる、というわけである。

 例を示してみたい。グレーティングが曲がっているせいで、スペクトルが歪んでいるし、スリットが結構太いし、サイズのせいもあってスペクトルの分解能はそれほど高くない。しかし、結構きれいな映像を得ることができる。まずは、太陽光のスペクトルを見てみる。
 

太陽光のスペクトル

 これはデジカメで撮影したものである。スリットが太いので確認しづらいのだが、太陽光のフラウンホーファー線(FraunhoferLine)の一つHβ吸収線が486nm(ここでは水色の中央部)辺りに見えるような気がしないだろうか? いずれ、スリット幅を小さくして、もう少し精度の高い実験をしてみる予定である。

 さて、次の例は「自宅の蛍光灯のスペクトル」である。
 

自宅の蛍光灯のスペクトル
 水銀の
  • 黄色、橙色  579、577nm
  • 黄緑色     546 nm
  • 水色      436 nm
  • 紫色      408、405 nm
のスペクトル(多分?)が確認できる。また、ノートPCの液晶の白い部分を分光器にかけてみると、次のようになる。光量が弱くいが、RGBの輝線が確認できる。
 
液晶(RGB)のスペクトル
の時の液晶の拡大画面と見比べてみると、面白い。

 目で覗いたり、デジカメで撮影したりするのも面倒なので、可視・赤外領域に感度を持つCCDボードを秋月で買ってきた。次回、このCCDボードを取り付けて見る予定だ。そして、定量化をしてみたいのである。そして、ある野望のためにせっせと実験を続けていく予定である。
 

2010-04-15[n年前へ]

雑貨ショップで「レーザーライト」の内部を覗く 

 雑貨ショップに、音に連動して適当な模様を描くレーザライトがありました(右上のようなものですが、右上のものとは違い、回折格子などは取り付けられていないものです)。気になったので、店頭でレーザライト内部を覗いてみることにしました。

 レーザー照射口周りを外して、中身を覗いてみると、緑色レーザーと赤色レーザーに、小さなガルバノミラー2個とミラーが1個の光学系を付けたような具合になっていて、マイクからの音入力でガルバノミラーを動かしている、という具合です。

 なぜ、内部を見たかったかというと、レーザ駆動部分と、ガルバノミラー駆動部分を改造して、(好きな模様を描くことができる)格安レーザースキャナを作れそうかを確認してみたかったからです。このレーザライトが、9千円くらいだったということもあり、部品代を考えるとリーズナブルに思えたのです。

 内部を覗いた結果、これは改造してみる価値があるかもしれない、と判断したのですが、さらに、今度は自分の財布の内部を覗いた結果、買うのをあきらめてしまいました。

 100円ショップにでも行って、部品をかき集め、レーザースキャナを980円くらいで作れないものでしょうか。スピーカーを買って格安ガルバノミラーを作り、レーザポインターを買って、自由自在に絵を描くことができるレーザースキャナを980円くらいで…作れないものでしょうか。

2018-07-16[n年前へ]

スマホを分光カメラにしてみよう! 

 100円ショップで買ったスマホケースに入れたiPhoneを毎日持ち歩いています。そのスマホケースとiPhoneの間には、回折格子や偏光フィルタ…といったいくつかの光学フィルタを入れてあります。いつか何処かで役に立つかも…と思いつつ、普段はそんなフィルタで何の役に立たない写真を撮っています。

 たとえば、回折格子を背面カメラに貼り付けて、「分光の目」で町を眺めつつ歩いていると、光る側の「色んな輝線」が気になったり、眺める側の「自分のLMSの各3錐体の個数比とか波長特性」とか気になったり…そんな新鮮な世界が見えてきます。

 普段見慣れた色使いの「セブンイレブン」の赤・緑・橙色だって、分光的に波長分解して眺めてみると意外に新鮮なもの。…ただひとつの難点は「スマホを観つつの町歩き」は危険極まりない…というところでしょうか。

スマホを分光カメラにしてみよう!スマホを分光カメラにしてみよう!スマホを分光カメラにしてみよう!スマホを分光カメラにしてみよう!








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