2009-11-13[n年前へ]
■「特急つばめ」と「見えないもの」
「広告批評 最終号(2009/04)」を読んでいると、写真家の藤井保とアートディレクターの副田高行がしていた話が面白かった。話題に上がったのは、コピーライターの仲畑貴志が綴った「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている」という言葉(1992年)と、薄暗闇の空間を突き進む列車の写真とともに有名になったJR九州のシリーズ公告の作成秘話である。
(藤井)僕らが最初に考えたのは、夜汽車って窓の灯りがロマンティックなので、その窓灯りから、乗客のことを想像できる写真が撮れたらいいなと思ってたんですけど、計算値違いだったのは(JR九州から)「特急つばめを撮ってください」と言われたんですよね?その列車は真っ黒の車体でガラスにスモークが貼ってあって、全然光が見えない。だから、「窓の灯り」は広告写真には(わかりやすい姿では)写っていない。そして、列車が乗せているはずの「たくさんの愛とか、勇気とか、見えないもの」も、薄暗い写真から直接見ることはできない、・・・ように見える。
けれど、広告のコピーとして、「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている」という言葉が添えられたなら、目では見えないけれどきっとあるはずのたくさんの乗客の姿を想像することができる。窓の灯りからは見えなくとも、そんな「見えないもの」を、薄暗闇の中を走る列車をなぞる写真の中に想像することができるようになる。たくさん列車が乗せている「目に見えないもの」を、私たちはようやく写真の中に見ることができるようになる。
2010-08-09[n年前へ]
■「"青春"という名のついた切符」の意味
「旅少女」から。
大学を卒業してこの切符を使うことのなくなった頃、このポスターを駅で見かけたことを覚えている。使いたいと思いながら、使う時間の無くなった自分を思い、青春という名のついた切符の意味を知った。
東京駅23時35分発、大垣行きの夜行列車は、夏休みの旅をする若者たちで一杯だった。なかなか辿り着かない目的地。ウトウトとしか眠れない硬い座席。
あれからもう12年も経つのかと想うと懐かしい。確かに、あの頃、自分の可能性を色々と夢見ていたような気がする。
夢は大人になって実現したのだろうか。夢はいつも現実と仲が悪い。
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