hirax.net::Keywords::「後悔」のブログ



2009-03-08[n年前へ]

ベンゼン環と6つの炭素 

 海沿いの防波堤に立つ赤い灯台をが見える公園で、戯曲「戯曲 半神 」を読み直した。この半神には色々なものが詰まっているけれど、その中で、大きなモチーフに使われているのことの一つがベンゼン環だ。ヒトを作り上げている主たる元素、炭素が6つが輪になり形作っているベンゼン環だ。

 その6つの炭素は、謎・欲望・誘惑・秘密・後悔、そして、優柔不断の先にある決断の結果の孤独だ。その6つの角を持つ世界で起きる物語、繋がっていた二人の双生児の分離手術を巡る物語は、魅入られてしまうと同時にとても哀しい。けれど、すべての答えを与えてくれるような、そんな気さえする奇跡の一編だと思う。

 どうしても、わり切らないではいられない話だと知ったとき、そう思ったとき、孤独が生まれた。

2009-05-07[n年前へ]

自分の選ぶ道は最善の道 

小山薫堂の「考えないヒント―アイデアはこうして生まれる (幻冬舎新書) 」から。

 人生って、選択の連続ですよね。だから迷ったり、何かうまくいかないことがあると、「これでよかったのか」と後悔しがちなんですが、僕は、どんなに失敗しても、どんなに大変なことがあっても、これが最善の道だと思うんです。

2009-08-09[n年前へ]

「後悔しない意思決定」を決める「合理性」と「非合理性」 

 「後悔しない意思決定 (岩波科学ライブラリー) 」を興味深く読んだ。この本には、なるほどと強く納得させられる部分と、何かひどくもの足りなく感じる(説明が欲しくなる)部分、そんな相反する2つの「感じ」をともに強烈に感じさせられた。

 はじめに、「ひどくもの足りなく感じる(説明が欲しくなる)部分」を書けば、たとえば、こんな部分

 本書は合理的とは何かを問い、合理的に生きることによって後悔しない意思決定を推奨する本である。
 本書では、人は合理的であることを前提としています。そして合理的であろうとすれば主観的期待効用モデル(「最適な決定は、効用の値をもっとも大きくする選択肢を選」という考え方にもとづくモデル)にもとづいて決定すべきであると主張しますが、・・・
という辺りだ。こういったことを前提として、「合理的に」本で書かれていることがらを読み進めていけば、当然のように納得できる。けれども、人が「どうしてか」少なからず合理的に考えられないことがある以上、上に挙げたような前提・言葉を受け入れるために必要な「何かワンクッション」が足りないようにも感じてしまう。

 だから、たとえば、本書冒頭の言葉、

 本書は、意思決定をする際にさんざん悩み、しかも、決定した後で悔むような人のための指南役を目指すものです。
に惹かれて頁を読み進めていくとき、「合理的に考えるとこのようになる」といった解説・解決策を提示させられたとしても、論理的でない部分で(端的に言えば感情的な部分で)胃にもたれてしまうのだ。合理的に考えれば納得できるのだだろうけど・・・と感じてしまい、なかなか納得した気持になれないのである。

とはいえ、「合理的に考えるべし」ということを「公理」として受けれ入れて、この本を読むならば、示唆に富むこと/アドバイスが実にわかりやすく書かれている。だから、論理的にはとても納得できる・役立つだろう本で、人に勧めたくなる。ただし、非論理的な部分(のために足りない何か)を補う「あともう一冊」を適当に選びたいとも思う。・・・たとえば、それはどんな本だろう?もしかしたら、たとえば、それは小説家のエッセイ辺りだったりするのだろうか。

2010-02-02[n年前へ]

「深い後悔」や「苦い失敗」 

 本当に引用したい一文は、自分の手帳に書き写すだけ、ということが多いものです。

 小山薫堂は、映画「おくりびと 」の脚本を書いた人です(それ以外のことも数えきれないくらいしている方ですが)。その「おくりびと」に関する一節を、小山薫堂の「もったいない主義―不景気だからアイデアが湧いてくる! (幻冬舎新書) 」から、1番ではないけれど、気になった言葉をここに書き写しておくことにします。

 ある映画評論家の人からはこう言われました。「あの脚本は誰が撮っても面白くなったに違いないけれど、監督が滝田洋二朗だからこそ、さらに輝きを増した」
 滝田監督はピンク映画の出身です。だから、職業差別を受けた経験がある。そのコンプレックスが、この映画に反映されているのではないか。(中略)差別される側の痛みを、滝田監督は実感としてよく理解していたのかもしれません。
 最初に僕が石文というものの存在を知ったのは、向田邦子さんの「無口な手紙」というエッセイを読んだときでした。

2010-06-08[n年前へ]

解析解の方が、因果関係に直結していて役に立つ!? 

 今年が始まる頃、「ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ」という言葉から始まる年賀状に対して、書いた返事から(関連記事も参照のこと)。

 何か問題を解くときに、「特殊解だけが必要な場合でも、汎用解を解く方が簡単」ということがあることもあると思います。シミュレーション計算の結果より、解析解の方が、因果関係に直結していて役に立つ、みたいな感じです。
 この後に連ねた言葉は、「東工大の内川研・山形大の山内研のどちらを選ぶにせよ、標準色覚にこだわらない、汎用的・一般的な感度関数からスタートした色覚・色彩学問を一度眺めてみたいように思います」



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