2009-04-10[n年前へ]
■指が月をさすとき、愚者は指を見る
四方田犬彦 「指が月をさすとき、愚者は指を見る―世界の名科白50 」から。
指が月をさすとき、愚者は指を見る。
古い諺
けれども、指が月をさしたとき、思わず指を見てしまう人というのは、本当に愚かなのでしょうか。
(中略) 「月」という言葉を「平和」といい換えてみてもいいでしょう。誰もが口を揃えたように、この「平和」という言葉を連発します。けれどもそれぞれのいう「平和」は、どれもが異なった意味をもっています。それを見極めるには、月ではなく、月を指している指がいったい誰のものなのかを、キチンと見定めなければなりません。本当に重要なことは、あるものが何であるかよりも、誰がそれをいっているのかを知ることなのです。
四方田犬彦
2013-12-08[n年前へ]
■「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」のはなんで?
「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」のはなんで? を書きました。「地球と月が共通重心を
地球と月は、(地球と月を合わせた)共通重心を中心として回転(公転)しています。そんな公転を地球上の各位置が行う時には、地表上の各点は同じ等速の円運動を行い、(その等速円運動する状態を基準とすると)どの点も「月がいる方向とは反対側に働く」同じ大きさの遠心力を受けることになります。
そういうわけで、「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」わけです。…あるいは、こんな図を描かなくとも、「月に近い場所ほど強く引っ張られるのだから、月に向かう方向に伸び~るのが当たり前だよね」とも思えるかもしれませんね。
…単純に添付図を描いてみたかったという理由で(あと遠心力の差で月反対側の海が盛り上がるという誤解に対するフォローとして)書いた記事です。
5:38 PM - 8 Dec 13
2016-04-24[n年前へ]
■「かぐや」が眺めた月の姿を眺めてみよう!?
「かぐや」が撮影した画像データを使った月球儀コントローラがとても面白かったので、(国土地理院のドローンヘリが撮影した動画映像から、阿蘇大橋近くの3次元地形図を生成してみたのと同じように)かぐや撮影画像(©JAXA/SELENE)からphotogrammetry的に3次元メッシュ生成して表示してみました。WEBサイト(ソフト)で公開されている3Dレンダリングソフト画像をもとにして、月の表面に刻まれた、過去の月表面への衝突が作り出したクレーターの凹凸地図を今や誰でも描ける…というのは不思議な気分です。
空の声が聞きたくて、風の声に耳すませ、
海の声が知りたくて、君の声を探してる。
「海の声」 篠原誠
2017-12-13[n年前へ]
■「月が欠ける向きは上下?左右?」…月の形で赤道や極への近さを意識する。
「スーパームーンより感動するタイの月を見逃すな」という記事を面白く読みました。それは、記事中のこんな一節に惹かれたからです。
日本で見る半月は、満月から左(右)半分を切り取ったイメージなんですが、タイの半月は、「満月の上の半分を切り取った形」をしています。
月が太陽に照らされて光る方向も、太陽から差し込む光が影になり「切り取られる」方向も、それはほとんど「月が空を進む方向」と一致しています。…正確には、太陽と月の軌道が約5度傾いているために、月が欠ける方向と進む方向にはズレがありますが、大雑把には同じです。
すると、月が「欠ける方向」が、上下と左右どちらになるか…という問題は、空を月が進む方向が地平線となす角がどれだけか?…つまり、季節を無視すれば、月を眺める今いる場所が「赤道に近いか、(北極や南極といった)極に近いか?」という単純な問題になります。
「スーパームーンより感動するタイの月を見逃すな」という記事を面白く読みました。それは、記事中のこんな一節に惹かれたからです。
日本で見る半月は、満月から左(右)半分を切り取ったイメージなんですが、タイの半月は、「満月の上の半分を切り取った形」をしています。
月が太陽に照らされて光る方向も、太陽から差し込む光が影になり「切り取られる」方向も、それはほとんど「月が空を進む方向」と一致しています。…正確には、太陽と月の軌道が約5度傾いているために、月が欠ける方向と進む方向にはズレがありますが、大雑把には同じです。
すると、月が「欠ける方向」が、上下と左右どちらになるか…という問題は、空を月が進む方向が地平線となす角がどれだけか?…つまり、季節を無視すれば、月を眺める今いる場所が「赤道に近いか、(北極や南極といった)極に近いか?」という単純な問題になります。最初の記事で言うと、タイは日本より赤道に近いので、月は地平線から鉛直に近い方向に進み、月が欠ける方向も鉛直に近い(左右より上下に近い)…というわけです。
少し面白いのは、日本の緯度は北緯約35度…つまり、赤道と北極のどちらに近いか…といえば、むしろ赤道に近いということです。だから、昔から「上弦の月、下弦の月」というように、月が光ったり・欠けたりする方向を「上下」とも表現されてきました。
けれど、今は、月が欠ける方向は「上下」ではなくてどちらかというと「左右」という認識も、自分の感覚を振り返ってみても、普通である気もします。…それがどうしてなのか、考えてみると、何だかとても面白い気がします。