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2008-05-06[n年前へ]

隠された非合理的な部分 

 "GRAPHICATION No.156"

 論文には試行錯誤のところは絶対に書かないんですね(笑)。だから、ある日、天才的な閃きによってそれが発見されたかのように見えるんです。
   赤木昭夫
「君、科学論文はこう読むんだよ」
「大体ずるいキツネほど自分の足跡を尻尾で消していくんだ」
「肝心なところは、アインシュタインもハイゼルブルグも全部隠しておるのや。そんなのにだまされたらあかんよ」
   内山龍雄 via 赤木昭夫
 数学の三段論法のような論理だけで論文は仕立ててあるわけですね。
   赤木昭夫
 つまり、論文には(筋道をたどれるような)合理的なことしか書かれていないわけですね。本当はその裏に隠された不合理な部分が重要なんですね。
   池内 了

2010-05-13[n年前へ]

ブルースから流れる「歌の三段構成」 

グラフィケーション」 2010 No.168 から、赤木昭夫の「失われた道を求めて」より。

(アメリカの黒人たちの)四回もの大移住は、アメリカに大きな文化遺産をもたらした。第一回目には、ドラムに合わせて足踏みで踊るという、リズムという音楽の基本要素がアフリカから伝わった。
 二回目の移住の過程で生まれたのが、ブルースだ。ブルースの歌詞は、
  1. 苦しみをつぶやき
  2. 嘆き
  3. だが耐えるしかない
という三段構成になっている。
 次に三回目の、セントルイス、シカゴ、デトロイトなどの工業都市への移住の中で、リズム&ブルースが生まれたが、
  1. 怒りや苦しみをぶつける
  2. ぶつける
  3. そして解放される
という三段構成になる。
 そこからロックが生まれた。ロックン・ロールの元祖には諸説あるが、セントルイスで育ちシカゴでデビューしたチャック・ベリーもその一人だ。
 もはやロックとなると、もうつぶやいたり、嘆いたり、諦めたりしていない。しかし、ブルース以来の、音楽の運びの基本の三段構成は継承。
 ちなみに、四回目の移住ではレゲエ文化が新たに加わった。

2012-01-19[n年前へ]

「門」の中にいる「だけ」の専門家 

 さすが(無料で購読できるにも関わらず、最高のグラフである)「GRAPHICATION」だ。「特集 3・11以後の知を考える 2012 No.179」を読み、あれから一年近く経って、ようやく「こういうものを読みたかった」という 本物に出会えたような心地になる。

 まずは、冒頭の「対談・知の交差点 いま、科学と専門家に何が求めれているか (赤木昭夫・中村桂子)」から。

 門とは、要するに囲われた特殊なもののことで、その一つのことを専(もっぱ)らするのが専門家になるわけです。…実は「自分はたった一つのことしかやっていません」ということなんです。
 要するに専門という門の中に入ると、門の中には掟があるんです。それを守らなくては門の中にいられない。そこで門の中で掟を守っているうちに、その掟がすべてを尽くしている。…そのために、専門家というのは、非常に気をつけていないと、専門家になればなるほどどんどん狭くなっていく悪循環に陥ってしまう。

 いや、考えてみれば、「ようやく」じゃない。インスタントラーメンじゃあるまいし、丁寧な料理が「すぐに出てくる」わけもない。「ようやく」と感じてしまう近視眼的な視点を、直すメガネをかけることにしよう。



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