2008-10-28[n年前へ]
■続 「電車の吊り手」のヒミツ
「電車の吊り手」のヒミツ の続きです。
「電車の吊り手」の構造が以前とは、、90度違う方向にぶらさがるように変わっていることに気づきました。そんな吊り手を見ながら、その効果をラクガキをしつつ考えてみたのが、下図になります。
イラストにして見ると、以前の吊り手が「列車の横揺れ方向に対して、2重振り子状態」になっていることがわかります。また、吊り手の支持部と、吊り手の持ち手部が、いずれも列車進行方向に向いているために、横揺れをなかなか抑えることができないように(自分の経験から)思われます。乗客が腕を動かして揺れを抑えようとしても、吊り手に2カ所関節があるので、揺れを抑えるのは難しいように思えます。
しかし、最近の吊り手は(図のように)以前のものとは違うことがわかります。吊り手の持ち手部分が列車の横振動方向とは直行し、(さらに、吊り手のベルト部分がパイプに包まれていることもあり)列車の横揺れに対し、その揺れを抑えることが容易になったように思えます。
ここで、興味深いことは、吊り手のベルトをパイプで囲ったことの効果は別として、吊り手の持ち手部分の方向を90度変えたことで、「列車進行方向揺れ」には弱くなった・揺れやすくなったということです。つまり、列車が走るとき「ほとんどの時間は横揺れを感じる時間で、進行方向の揺れを感じるのは駅に発車・到着する時くらいなので、横揺れ抑制効果を重要視しよう」という判断をしたのでしょう。そういうメリット・デメリットを秤に乗せて行われる選択・技術改良・コスト変更にとても興味を惹かれます。
列車には、吊り手がたくさんぶら下がっています。そんな、吊り手と同じように、たくさんの吊り手が変化したように、そんな技術改良・コスト変更などは、きっとたくさんあると思います。そんなものを町中で見かけると、なぜか楽しく感じたりします。
2009-11-21[n年前へ]
■消費者物価指数とポジティブ・フィードバック
景気の変化をわかりやすく眺めてみたくなったので、 日本の消費者物価指数(CPI)のグラフを張り付けてみた。このグラフは、右下部にある小さなボタンを押すことで、表示する内容を切り換えることができるものである。
このグラフには、1ページ目に「主な消費者物価指数(前年同期比)の推移」が、2ページ目に「主な消費者物価指数の推移」が、3ページ目に「消費者物価指数と前年比の推移」が収録されています。
2ページ目や、3ページ目を眺めると、ここ2,3年は、実に単調に消費者物価指数が低下し続けていることがわかる。この消費者物価指数低下が続くことの要因は、一体どんなものがあるのだろうか。新聞記事をしっかり読んでいれば、その要因分析結果などが解析・解説されているのだろうか。
・・・それにしても、と思う。経済社会はどう考えても、制御工学的にはポジティブ・フィードバックの不安定極まりない世界に思えてならない。少しの外乱が、大きな変動を生み、その変動がさらに激しい波を生むようにみえる。もしかしたら、そこには結構長いムダ時間があったりして、意外にセンシティブではないのかもしれないが、やはりポジティブ・フィードバックの不安定な状態に見える。かといって、安定を実現するネガティブ・フィードバックでは、永遠に一定で変わらない世界になってしまう。おそらく、それでは何の発展もなく進化さえしない世界になってしまうかもしれない。
ポジティブ・フィードバックからは安定な状態は生まれない。上がり続けるか、下がり続けるかで、結局は「発散」してしまうことになる。
次に平積みされる本が、もしも「節約ライフ」的な本だとしたら、景気にはまさにポジティブ・フィードバックが働いていることになる。それらの書籍は、不況への後押しをするポジティブ・フィードバックである。「ポジティブ」という名前が付けられた、しかし、それは同時に不況への案内図なのかもしれない。
以前は途中で挫折したが、もう一度、経済学の教科書に書いてあることをMatlab/Simulinkで実装しつつ、学んでみよう。
2012-10-27[n年前へ]
■「保守とは何か」
TV画面の中で、河野洋平が「保守とは何か」を語っていました。『どうありたいという目標や理想がどういうものかではなく、現状と目標値へ向かう動き方・制御する量を中庸にすることが、理想へと向かう動き方を安定に保つことを念頭に置くのが”保守”というものだ」というような内容の言葉を聞き、そんな整理の仕方が少し腑に落ちました。
なるほど、「理想・目標」がどんな場所・姿であるかに関わらず、そこへ速く動こうとするのが「急進派」であって「保守」でなく、「非保守」が非保守たる所以は「どうしたい」という内容ではなくて、今ある場所への反発力なのだ…と言われると、何だか少し納得できることが多いような気がしたのです。