2013-09-01[n年前へ]
■赤外線で体中の血管を浮かび上がらせてみよう!
コーラや醤油を赤外線で眺めると、あらまビックリ!驚くほど透明な姿に変わります。可視光では真っ黒クログロと見えていたのに、赤外線で眺めると、いきなりドロン!と消えてしまいます(右の写真は、 グラスに透明な水が注がれているように見えますが、実は可視光で眺めると黒く不透明なコーラが入ったグラスです)。
それとは逆に、可視光では見えなかったものが、赤外線で見るとイキナリ浮かび上がってきたりします。たとえば、赤外線カメラを自分に向けてみると、肉眼では全然見えない血管が、そこらかしこに浮かび上がってくるのです。ヘモグロビンが近赤外線を強く吸収するために、赤外線で眺めると、こんな不思議な姿が見えてきたりします。
それにしても、こうして北斗の拳の「秘孔」丸見え状態な血管配置を眺めてみると、血管が描く模様が左右対称でないことに気づかされたりして、新鮮で面白く感じます。
2013-11-20[n年前へ]
■Epson と Evena Medical の「注射を楽にする近赤外線メガネ」
近赤外線で眺めると「血管が面白いほど浮かび上がる!」と遊んでいた時(赤外線で体中の血管を浮かび上がらせてみよう!)、一番多く言われたことが「こんな風に見えるメガネがあれば、注射するのが簡単になって、痛い思いをすることが無くなるかも!」というものでした。・・・と思ったら、 Epson と Evena Medical が「注射を楽にする近赤外線メガネ」を出したというニュースを読みました。
製品イメージ動画を眺めると、皮膚の上から血管を抑えると血液の流れが滞るようすとか、血管への圧迫を止めた途端に血液が瞬時に流れるようすとか・・・自分たちの身体なのに意外なほど新鮮に見え・面白いものです。
2014-05-26[n年前へ]
■赤い血が流れているはずの血管が青く見える理由
「青筋を立てる」という言葉で表されるように、皮膚上から見た血管は(周りの色と比べると)青色に見えます。「皮膚部分はメラニンスペクトルを反映し、静脈部分は皮膚部分と血液スペクトルの掛け合わせになるとしたら、静脈部分は近傍より(近傍を基準としても)赤く見えそうなのに、なぜ相対的に青く見えるのか」というのは、少し不思議に思えるはずです。
この赤い血が流れているはずの血管が(血管の無い周囲部分よりも)青く見える理由を説明するために、以前書いたモンテカルロ光計算コードで、赤色光と青色光の軌跡例を計算してみました。下の図は、上から皮膚に差し込む光があると、青色光は皮膚内で(短波長の光は散乱しやすいので)すぐに散乱して・方向を変えまくり皮膚外部へ出て行ってしまうけれど、赤色光は皮膚内奥部まで侵入してから、皮膚の内部を長くさまよってから(ようやく)皮膚外へ出ていくという計算結果を表しています。
こんな風に、青色光は皮膚内部にはほとんど侵入しないので、皮膚奥にある太い血管部分までは、実はほとんど到達しません。だから、血管がある(下部に)部分からも、血管がない部分からも、同じくらいの強さの(青色の)光が返ってきます。
しかし、波長が長い赤色光は皮膚奥部まで侵入します。すると、皮膚下部に血管がある部分では、血管にまで到達し(血液が赤色をしているといっても、完全に透過するわけではないので)血管中で赤色光は減衰してしまいます。…そこで、皮膚下部に血管がある箇所では、青色光は他の部分と同じだけれど・赤色光は他の部分よりも暗い(少ない)というわけで、皮膚の上から見た血管部分は(近傍周囲と比較すると)青色がかって見えるわけです。
皮膚の上から見た血管の(相対的な)色を決めているのは、実は血液の色ではなくて、その上にある皮膚の光散乱の波長依存の具合なのです。
2014-06-25[n年前へ]
■「赤い血」が流れてるはずの静脈が「青く」見える理由(納得したい人向け)
前書いた記事を少し書き直し、「赤い血」が流れてるはずの静脈が「青く」見える理由(納得したい人向け)として書いてみました。
記事を書き直してみたのは、「それは錯覚という説明で納得してしまい、「赤い血」が流れてるのにそれが相対的に青方向になることを不思議に思はない・思えない人がいるらしいから…です。
2015-10-19[n年前へ]
■紫外線と赤外線で自撮りして「夜の女性が働くお店=ピンク灯の法則」を納得しよう!?
赤外線/紫外線の切り替えができるカメラを仕立てたので、自分の顔を「自撮り」をしてみました。すると、左下に貼り付けた赤外線で自撮りした写真は肌内部で大きく広がった内部散乱光が、外に染みだした結果「美肌フィルタ」が激しく掛かりまくった状態です。それに対して、右下に貼り付けた紫外線の自撮り写真は(メラニンやヘモグロビンの光吸収率が高く、肌内部で光散乱が繰り返されることで内部拡散光の吸収も大きいことから)ほぼ肌の表面反射光だけが見えて、肌表面のデコボコが派手に見えて哀れな状態が顕著です。
こうして眺めてみると、「短波長(紫外線)眺めた顔」に対して、「長波長(赤外線)で眺めた顔」はずいぶんと柔らかく綺麗に見えることを強く意識させられます。すると、次の事実に気づかされるはずです。つまり、「夜の女性たちが働くお店」がピンク/赤色(長波長)の照明を使うのは科学的に100%正しい!ということです。なにしろ、そんな照明を使うだけで、肌年齢が30歳くらい若く、そして柔らかく・美しく化けさせることができるのです。「夜の女性が働くお店=ピンク灯の法則」の有効性は、紫外線と赤外線で自撮りしてみれば誰でも納得できるのではないでしょうか。