hirax.net::Keywords::「西原理恵子」のブログ



2010-06-07[n年前へ]

続 「ずっと」も「好き」も、どこにもないから。 

 「通映画批評 > パーマネント野ばら」を読む。

 この美しさの正体が、やがてある残酷さとともに、明らかになる。そのとき、世界のすべてが一変する。町の風景の寂しさは、美しさに変わり、町の人々の滑稽さは、優しさに変わる。時に忘れられたような町は、本当に時が止まっていたのだ。
 パーマネントは「永久」という意味だ。なぜパーマ店の客らが異常に「パーマの強さ」「パーマの永続性」にこだわっていたのか。見終わったとき、その気持がわかって、胸に染み入ってくる。
深く頷く。そして、もしかしたら・・・とふと違うことを連想する。

 人の少ない田舎町を出て、そして、その田舎に戻らない人だからこそ、どこにも存在しない景色を夢見つつ、そして、切ない景色を描き続けることができるのかもしれない。

 この作品のほとんどは、確かにすぐれて叙情的なものばかりだ。しかし、もう一度涙をぬぐって読み直せば、そこに違うものも見える。表面的な美しい抒情の向こうに潜む、西原の恐ろしいほどの絶望と、それから胸の底にわずかにのぞく希望とが、読みとれるだろう。
「ずっと好き」はどこにもないから・・・
好きやずっとなんて、ないことは、 とっくのむかしから知っている。

2010-06-27[n年前へ]

迷ったら描かない。キライな人は絶対描かない。 

 西原理恵子の言葉から。

迷ったら描かない。
キライな人は絶対描かない。

迷ったら描かない。キライな人は絶対描かない。






2010-11-19[n年前へ]

ひねくれてる「根が真面目」で不器用なひと 

 「西原理恵子の人生一年生 (2号) 」には、何人かのマンガ家が西原理恵子のマンガを題材に自分なりに描き、同時に、インタビュアーの質問に答えた言葉が掲載されています。何人かの言葉を眺めてみれば、何だか少し見えてくるものがあるようにも思います。

 がんばり屋さんで、根が真面目な人なんだと思う。

リリー・フランキー
 すごくひねくれてて、楽に生きてないなって。がんばって虚勢を張ってる感じというか、不器用で汎用性がないところが、作家としては強みなのかなと。

倉田真由美
 普通ああいう感覚を持った人が、まんがを描こうという方向には行かない気がするんですよね。それはすごい偶然で、なかなかないことだから、ほかの人が計算したり努力したりでは、描けないものなんじゃないでしょうか。

安野モヨコ

2010-12-28[n年前へ]

「商売の基本」と「フロンティア」 

 とり・みきがマンガ家9人にインタビューした「マンガ家のひみつ—とり・みき&人気作家9人の本音トーク 」で、しりあがり寿との回「自分の本当のオリジナリティっていうのは本来自分でもなかなかわからないはずなんです」での、とり・みきとしりあがり寿が交わした言葉。

 職業作家というのは自分のセールスポイントというのをはっきりさせといて、それを恥ずかし気もなく何度も繰り返しできる人のことですよね。読者もそれを望んでいるような作家のことだろう。・・・そういう憧れがすごくあるんですけど、同時に常にフロンティアにもいたい。いつもそのふたつが戦っているような気がして。

とり・みき
 それはでも、わかりやすい対立ですね。・・・(職業作家の省資源大量生産というやり方は)商売の基本だと思いますからね。それは否定しちゃいけないけど、作るのが楽しいかっていうとね・・・。どうなんでしょうね、いい商人になるのと自分はもうちょっと生の自分でコミュニケーションしたいんだよっていうスタンスとは、やっぱちょっと違ってきちゃうところがあって、ふたつが一緒になればいいんだけど。でも・・・

しりあがり寿

 「ぼくらはどういう状態にいたいのだろう?」あたりから。

 やりたいことと売れるというのは違うね。売れるってことはハリウッド映画みたいな、頭悪~い奴もわからなきゃいけないってことだぜ。

(西原理恵子との対談で)みうらじゅん
 そこまでをやりたいの。

西原理恵子

2011-02-22[n年前へ]

誰かに何か伝える時、あなたはどんなことを考えますか? 

 「小学一年生に向けて、何か書いて下さい」と言われたら、あなたは一体何を書きますか? 「誰かに向けた言葉」…しかも、それが小学一年生に向けてなんて、そんな質問への答えは思いつかないと感じる人も多いかもしれません。

 次の一文は、西原理恵子が、小学館「小学一年生」の依頼を受けて書いた文字です。

「どこがわからないの」と先生は訊く。
「わからないところがわからない」この言い方が一番正しいとわかったのは、ずいぶん大人になってから。
 この実直な言葉を「小学一年生」に向けて投げかける生真面目な意思・誠実さと、そして無茶な不器用こそが西原理恵子の魅力です。

 二十世紀が終わり、もうすぐ次の二十一世紀が始まろうとする西暦2000年に、西原理恵子が小学一年生に向けて書いた文章は次の言葉で締めくくられます。

 私は、できる子の気持ちはわからないけど、できない子の気持ちはよくわかるので、できない子をできないまま育てるのは、きっと人よりうまいと思う。

 十年くらい前に、インターネットというメディアで何かを書こうとする時の心得として「見抜く目を最高にもった人を想定読者にするのが、このメディアを続けていくための秘訣でもあります」という言葉を、ある人から頂きました。

 その言葉は、とても腑に落ちる言葉であると同時に、完全に消化するまでにはとても時間がかかるだろう、そして、他の誰かにもお裾分けしたいと思う言葉です。

 誰かに何か伝える時、あなたはどんなことを考えますか?



■Powered by yagm.net