2008-12-26[n年前へ]
■任意ファイル(場所)からコマンドプロンプトを出してみよう
スクリプトを使ってデータ処理等をする場合、「任意のフォルダからコマンドプロンプトを開いて」処理作業をすることが多いものです。「任意のフォルダからコマンドプロンプトを開く」のはWindows レジストリにキーを一個追加すれば良いだけですから、この「任意のフォルダを起点としたコマンドプロンプト」を使っている人も少なからずいることでしょう。
ところで、そんな人たちの何割かは、「任意のフォルダを右クリックしてコマンドプロンプトを出すのではなく、任意のファイルを右クリックして、そのファイルがいるフォルダを起点としたコマンドプロンプトを出したい」と思うことがあるのではないでしょうか。フォルダウィンドーを開いて作業しているときに、そのフォルダでスクリプト処理などをしたくなってコマンドプロンプトを開きたくなっても、(左にツリービューが表示されたエクスプローラでないと)1階層だけ上に戻らないと、コマンドプロンプトを開くコンテキストメニューを表示させることができないからです。
そこで、任意のファイルを右クリックすることで、そのファイルがいるディレクトリを起点とするコマンドプロンプトを出すスクリプトを作ってみました。
作ったといっても、RubyやPerlといったスクリプト言語をインストールしている人であれば(Windowsデフォルトの機能だけでもできそうですが)、90秒もあればスクリプト書きも設定作業もすべて終わるほどの簡単なものです。どのようなものかというと、送る("SendTo")メニューに「コマンドプロンプトを立ち上げ、送りつけられたファイルがあるディレクトリに移動する」という処理をするスクリプト(バッチファイル)へのショートカットを入れておくわけです。
Ruby で書くなら
system 'cmd.exe /k "cd '+ARGV[0].sub(/\\[^\\]*?$/,'')+'"'という具合のスクリプトを書き、(たとえば)cmdfromanywhere.rbといった名前で保存した上で、
ruby cmdfromanywhere.rb %1という内容のバッチファイルを作り、そのバッチファイルへのショートカットを"送る"="SendTo"ディレクトリ(Windows Vistaの場合には、"送る"="SendTo"ディレクトリは " C:\Users\ユーザ名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\SendTo"になります。また、それ以外だと"C:\Documents and Settings\ユーザ名\SendTo"辺りです)に置いて、バッチファイルへのショートカットを”コマンドプロンプト”という名前にでもしておけば良いのです。
これで任意のファイルを右クリックし、コンテキストメニューから”コマンドプロンプト”に「送る」と、そのフォルダを起点としたコマンドプロンプトが立ち上がるようになります。
■「田舎の湾」と「西原理恵子」と「寺田寅彦」
山に囲まれた場所に住んでいると、その山の高さや存在感を強く感じる。空を囲む山々が見せる色の変化で、季節や日々の時間を感じる。そして、海辺に住んでいると、海の色や空の色、あるいは、海の向こうに霞んで見える山の色から、そんな移ろいを感じる。
西原理恵子のマンガには、よく高知の浦戸で見ただろう海の景色が描かれる。時には言葉で、時には淡いけれど鮮やかな色の絵で、浦戸の景色が描かれる。
おねえちゃん、今日の船、
誰か知ってる人のってんの?
ねえちゃんとボクは手をふった。
西原理恵子 「ぼくんち 」
そんな浦戸の海の景色を、寺田寅彦も同じような言葉を綴る。寺田寅彦と若くして結婚し、浦戸湾口の種崎海岸で療養していた夏子を思い浮かべながら、同じようなことを書いている。船の上からの視点で、こんな言葉を書く。
種崎の方の岸に見ておるらしき女夏に似たり
寺田寅彦 日記 明治34年11月25日
浜を見たけれど、約束の人見えず寅彦自身が療養していた須崎と高知の実家を、寅彦が船で行き来する時には、浦戸湾先の海岸にいる夏子に手紙を書いて知らせ、手を振り合ったという。
寺田寅彦 日記 明治35年1月19日
海と山に囲まれている町に住んだりすると、寅彦が書く文章や西原理恵子が描く景色が、写真以上に写実的に見えてくる。そんな浦戸の海辺の景色をいつか見に行ってみたいと思う。太平洋に面した広い海原と、穏やかな湾の水面を眺め、海と空と岬の色を眺めてみたい、と思う。
船からは
みかんの花みたいにちいさい手が
ぴらぴらするのがみえて、
みんな自分の一番好きな人と
まちがえてるんだろうと思う。
西原理恵子 「ぼくんち 」