hirax.net::二十一世紀の有害サイト::(2001.01.06)

二十一世紀の有害サイト 

有害と無害の境界線!?

 正月休み明けの初出勤日のことだ。いきなり、こんな感じで声をかけられた。
「ついに公式認定されたな!」
「一体何ですか?年明け早々?」
「有害サイトのウェブマスターになった気分はどうだい?」
「な・なんと、それはホントにホントですか?人畜無害を絵に描いたような私こともあろうに有害サイトのウェブマスターですか!」
 話は簡単、私の勤務先からwww.hirax.netがアクセスできなくなったのである。hirax.netもついに有害サイト公式認定されたのである。

 といっても、実はなんとなく予想はしていた。去年の聖なるクリスマスの日にサンタの贈り物ならぬ「業務とは関係のないWEBサイト(公序良俗に反していたり、娯楽・趣味性の高いもの)のWEBサイトの閲覧を制限するからね」という全社通達が送られてきた時から、薄々予想はしていたのである。
 そして、それだけでなく二十一世紀の記念すべき初日に

 毎日会社の昼休みにwww.hirax.netを見るのを日課としていましたが、(ちなみにFirst&Fast、今日の必ずトクする一言も)あまりにも面白いので会社の女性達に本サイトを教えてしまいました。案の定、ハマッタ彼女たちは狂ったように見つづけたようです。
 その数日後、昼休みにwww.hirax.netを見ようとブックマークをクリックすると、なんと、画面にはあのエロサイトなどを見ようとすると現れる、フィルターソフトの画面が...www.hirax.netをエロサイトと同等に扱うのか?何故だ?!内容をよく読んだのか?いや読んだからか?オッパイ星人がいけなかったのか?ピストン桑田か?
 彼女たちが見すぎたのが原因なのかどうかはわかりませんが、IMに抗議も出来ず、しょうがなく自宅で見るようにしています。会社で思う存分見ることが出来る方々が羨ましい...
というありがたいメールをもらっていたので、その予感はますます強くなっていたのである。

 何はともあれ、ついに二十一世紀になった私の勤務先からhirax.netにアクセスするとこんな画面が出るようになったのだ。昼休みにアクセスするくらいいいじゃないのと個人的には思ったのだけれど、そんなつぶやきは情報システム(仮名)に通じるわけもなく、当然のごとくアクセスできないのである。
 

某所からwww.hirax.netにアクセスすると…

 まぁ、別に私自身は勤務先のネットワーク内からhirax.netにはアクセスしないから良いのだが、hirax.netが有害サイト公式認定されたからには他のサイトがどうなっているのかは知りたいところである。いい子を絵に書いたようなhirax.netが有害サイトに公式認定されたからには、世の中は有害サイトで溢れているに違いないのである。

 そこで、まずは調べてみたのが「今日の必ずトクする一言」である。www.tomoya.comとキーを打ち、期待と共にリタ〜ンキ〜を力一杯押す…と、

おっ?、ちゃんと表示されるぞ…
こんな実に的確な指摘があったりするので、てっきり有害サイト殿堂入りしているかと思ったが、う〜む、「今日の必ずトクする一言」はOKか。まぁ、確かにそうかもしれないな。エコロジーを考えるならここは非常に参考になるものなぁ… うん、確かにそうだ。良いところは良いのだ。確かにそうだ。

 と思いつつ、じゃぁ「Fast &First」はどうだ?ことある毎に法律*****をしてそうなここならどうだ、と思いhttp://www.cds.co.jp/ff/リタ〜ン…と?

あぁ?やっぱり、ちゃんと表示されるぞ……

ってことは、有害と無害の境界線は結構正しいのかぁ?と私はちょっと弱気になった。し・しかしである。

アレ?Fast&First情報掲示板には入れないぞ?
だ・だ・だけど
Fast&First動物と熱帯魚の掲示板には入れるぞ〜?
何だこりゃぁ?

 そうか、「Fast & First情報掲示板」は有害で「Fast & First動物と熱帯魚の掲示板」は無害か!なるほど、たしかにそう言われればそうかもしれない。有害と無害の境界線は「Fast& First情報掲示板」と「Fast & First動物と熱帯魚の掲示板」の間にあったのか!「Fast& First動物と熱帯魚の掲示板」はエコロジーだから無害で、よくわからないけど「Fast& First情報掲示板」は公序良俗に反していたり、娯楽・趣味性の高い有害サイト(ちょっと大げさだけど)だったのか。「Fast& First情報掲示板」は私も昼休みに勤務先からよく覗いていたが、有害サイトだとは知らなかった。うん、実に勉強になった。

 じゃぁ「数々のアヤシゲな実験」をしている「突撃実験室」はどうだ!ここなら、きっと期待に答えてくれるだろう。うん、答えてくれるに違いない。http://www.exp.org/リタ〜ン…と?

と・と・突撃実験室もお・お・おっけ〜ですかぁぁ!?
なんてこったい。上の文字の通り私は思わず叫んでしまった。そして、無茶苦茶ロンリ〜な気分になった。「オマエだけは信じていたのに〜」と泣きたくなるような気分である。
ホントにホントにおっけ〜ですかぁぁ!?

ってことは、有害サイトはhirax.netと「Fast & First情報掲示板」だけか…なんてこったい。

 というわけで、「いわゆるひとつの実験?系サイトにおける有害と無害の境界線」を描いてみたのが次の図である。
 

いわゆるひとつの実験?系サイトにおける
有害と無害の境界線

 こ・これはちょっと何だぞ。有害サイト仲間をもっと見つけないと、むちゃくちゃヤナ感じだ。何か「オレは腐ったミカンじゃねぇ〜」とか叫びたくなってきたぞ、と。

 というわけで、「ただいま実験中」の「実験・調査系HP、傾向分析図」にでてるサイト達に勤務先の「有害・無害チェッカ〜」を通してみたのが次の図である。
 

実験・調査系WEBサイトにおける
いわゆるひとつの有害・無害分布

 へ・へ・へ(矢吹ジョー風の乾いた笑い)…有害仲間がいたぞ、いたぞ。「みんなきてKOIKOI」も「なんでも実験室」もみ〜んなみ〜んな有害サイトだ。無害サイトもいっぱいいるけど、とりあえず、有害サイトは結構いるじゃないの。「できるかな?」と「Fast& First情報掲示板」だけじゃないもんね、っと。

 しかし、じっと見てみるとなんだか大雑把な傾向があるじゃないか。頭で勝負しようが体を張ろうが何をしようが「結果重視」のサイトは有害で、「過程重視」のサイトは無害か!なんだかよくわからない基準だけど、そういう基準の企業は実際のところ多いかもしれないしなぁ… お?お?おやぁぁ??

おぉおぉ…!
せ・せ・性と愛研究所は無害ですかぁ!?!?!?…
性と愛研究所は無害でできるかな?は有害ですかぁ… 「胸は揉んだら大きくなるのか」が無害で「恋の力学」は有害ですか!なんてこったい… オッパイ星人がいけなかったのか?ピストン桑田か?ションベン小僧か?ミニスカートか?スクール水着か?透け透け水着か?…(以下、省略)
 
 

 そんなわけで、その後同僚達から集まってきた情報を集めると以下のようになった。例えば、テレビ局のWEBサイトの有害と無害の境界線はこんな感じだ。
 

テレビ局のWEBサイトの有害と無害の境界線…

 そう、NHKは無害だけど、その他は有害なのである。実にスッキリとした有害と無害の境界線である。これはNHK以外はコマーシャリズムに毒されてるから有害なのか?スゴイ!マルクスが聞いたらきっと泣いて喜ぶに違いない…あるいはキムジョ(以下、都合により削除) やはり、無害と言えば国営放送に限るのだ。その他の有害放送局の情報なんか見てはいけないのである。そういう情報はシャットしなければならないらしい…
 

 じゃぁ、日本を支える自動車会社のWEBサイトの有害と無害の境界線はどうか、というとこんな感じだ。
 

自動車会社のWEBサイトの有害と無害の境界線…

 そう、光岡自動車以外はほとんど有害サイトなのであった。大企業は悪で中小企業は正義なのである。男たるもの弱きを助け、強きを挫かねばならぬのであった。大企業は有害で光岡自動車は無害なのである。判官贔屓の日本魂炸裂である。日本人の鏡である。誠に頭が下がる思いだ。
 

 他にも朝日新聞は無害だけど、日刊スポーツは有害だとか、日記猿人(才人)は無害だけどReadMeJapan!は有害だとか、秋月電子は無害だけど秋葉館は有害だとか、笑える境界線は数限りなくたくさんあるのだけど、とりあえず今回はこのあたりで満足することにしよう。とりあえず、アクセス数の多いところは根こそぎNGてな感じかなんだろうな。おっ!?ってことは、アクセスログ片手に人が見ながら判断したのかぁ?それはそれでかなりスゴイものがあるぞ…信じられないような気もするが…
 

 というわけで、該当する某所の人はテキトーな経路、例えば、

とかでアクセスして下さいな、と伝言をしておきます。anonymizerがOKってのもおマヌケですが。とりあえず、アクセスできるので。ハイ。

 それにしても、二十一世紀ってこんな時代だったのだろうか? 何故1984年は1984のようにはならないか、あなたはわかるはずだ。」と言われたのはもうすでに二十年近く前の話だ。あのコマーシャルの中でBIGBROTHERは延々と「害ある情報を隠せば、我々は安泰で、そして繁栄していくのだ」と演説していた。そのBIGBROTHERは走ってきた女性の投げたハンマー、言い換えれば個人が使うコンピューター、が壊した。情報が駆けめぐってる今日はあの延長上にあると私は思うのだ。そしてまた、二十世紀に生まれた人間としては、二十一世紀には素晴らしい世紀になって欲しいと少しばかり夢を抱いていたりするのである。
 
 

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