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2009-04-12[n年前へ]

十五の頃、いちばん恥ずかしいと思っていたこと 

 江國香織 「十五歳の残像 」から。

 十五の頃、いちばん恥ずかしいと思っていたことは何ですか、と訊いてみた。安西さんのこたえは「人をおしのけたり自己主張したりすること」
 じゃあいまいちばん恥ずかしいことは、と訊くと…

「すとん、と伝えるひと――――安西水丸さん」

2009-04-13[n年前へ]

「表現」と「矛盾」 

 江國香織 「十五歳の残像 」から。

 そりゃあどんどん矛盾していくよね、と、甲斐さんは言った。…
 でも、と言って、甲斐さんは私の顔を見た。「でも、表現するということはそういうことでしょう?イメージをある程度限りある形で強く打ち出していく、というのが表現ななんだから」
 あまりにも正しかったので、私はちょっと黙ってしまう。

「アンビヴァレンスのひと――――甲斐よしひろさん」

2009-04-14[n年前へ]

「時に、無神経でいられること」 

 江國香織 「十五歳の残像 」から。

 十五のころといまとで、いちばん変わったことはなんですか、と、最後に訊いた。宮本さんは少しだけ考えて、
 「無神経でいようと思ったら、いられるようになったことかな」
 とこたえた。丁寧な口調で。

「やわらかく強靭なひと――――宮本文昭さん」

2009-04-16[n年前へ]

十五の頃と今と、なにが変わったと思いますか。 

 江國香織 「十五歳の残像 」から。

 十五の頃といまと、なにが変わったと思いますか、と訊いた。
「大人になったんじゃない?自分をごまかす、とか、許す、とか、そういうことは長けてきたと思います。
 「私はもどりたいもの。いまの心境でよ。いま会ってる人、いま好きな人の、若いころに会ってみたい」
と、ちょっと色っぽい声音で言うのだった。

「色とりどりに、話すひと――――おすぎさん」

2009-04-19[n年前へ]

「聡明なひと」 

 江國香織 「十五歳の残像 」から。

 長塚さんが聡明なひとなのはすぐにわかった。最初にした写真撮影で、カメラに向かう姿がとても美しかったから。
 そうなのだ。私たちは今の長塚京三さんを見る。それが全部。聡明なひと、というのはつまり、絶望の認識のあるひと、ということなのだろう。
 ただし、長塚さんの言葉にはとても肯定的な響きがあって、…私はちょっとほっとした。ほっとするのも変だけど。

「モノトーンのひと――――長塚京三さん」



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