2013-09-11[n年前へ]
■「バブルジェットなディスプレイ」を作ってみよう!?
淡くて泡っぽいディスプレイが欲しくなったので、「バブルジェットなディスプレイ」を作ってみることにしました。つまりは、流体中を浮かび上がっていく泡で画像を描き出すディスプレイを作ってみたくなったのです。
そこで、いきなり2次元面のディスプレイを作る前に、まずは単純な「1本だけ」のユニットを作り・勘所を掴んでみることにしました。…というわけで、作ってみたのを動かしてみたところが、下に貼り付けた動画です。透明な柱の中を浮かび上がっていく泡に向けて光を当ててみると、意外なほどに綺麗です。
透明柱の大きさをどうするかとか、空気弁を開ける速度・量制御を「どういう考え方」で行うか…といった辺りで考えないといけない点はありますが、勘所はつかめた気がするので(あくまで”気がする”だけですが)、週末には必要な部品を集めに行くつもりです。
部品を買ったはいいけれど、思ったように動かすことができずにパーツ代金が「水の泡」と化してしまうことがなければ良いのですけれど…。
2014-01-08[n年前へ]
■「ギネスビールの下に沈む泡」をOpenFOAMで計算してみよう!?
ビールをグラスに注ぐと、「グラスの中の泡は上に浮かび上がっていく」のが普通に思えます。けれど、たとえば、ギネスビールをグラスに注ぐと、グラス中で泡が下へ下へと沈んでいくさま(ギネス・カスケード)を見ることができますし、実はギネス以外のビールや水ですら、そんな「下に沈んでいく泡」を見ることができます(参考:ギネスビール風「下に沈む泡」を作るコツ)。
ビールを心から愛してる知人が、フリーのシミュレーションソフトウェア(開発プラットフォーム)であるOpenFOAMを使って、「ギネスビールの下に沈む泡」 を(正月休みの自由研究として)シミュレーション計算していました。非圧縮流体ソルバとDEMのソルバを組み合わせた連成解析ソルバを、(使いたてなので)かなりの試行錯誤=時間を費やして、けれど「たった8行のC++コード」で書いて5分のCPUタイムを使って計算されていました。
計算はグラスの断面右半分です。白い球は直径60μm(1mmの100分の6)の泡、ビールの粘度を10cP(水の10倍)としてみました。グラス中央では泡は浮力によって上向きに移動しますが、ガラス面では下向きに移動しています。ギネスは真っ黒で中央の泡の動きがみえないため、人間の目には泡が下向きに移動しているように見えます。
以前、「ギネスビール風「下に沈む泡」を作るコツ」で紹介した、シミュレーションソフト FLUENT を使った「ギネスビールの泡は上がるか下がるか ?」では、「ギネスビールの下に沈む泡」の秘密をシミュレーション解析で解き明かしつつ、こんな風に書いています。
古来, 人類は不可解な自然現象 に悩まされてきました. 由緒ある黒 ビール 「ギネス」 の泡がグラスの中 で下降しているように見えるのはな ぜだろう ? この現象は泡の物理的特 性に反するのでは ? ―― この単純 な疑問は, 何世紀もの間, 哲学者 や理論家達の論議の的となりながら も, 答えはみつからないままでした. しかし,数値流体力学 (CFD) により, 絶対的で信頼できる答えが導き出さ れました. 泡は上昇すると同時に下降していたのです.
こんなカッコ良すぎる「いいセリフ」に書かれているような「何世紀もの謎を解き明かす作業」を、自分の意志で自由に使うことができる時間や道具の範囲で、つまりは「自由研究」でできる…って凄くいいな!と思います。
2014-06-01[n年前へ]
■[今日見た景色] ゆっくり動く流体時計
100円ショップのダイソーで「液体封入式の砂時計みたいな飾り物」を(もちろん100円で)買った。初夏を暑く感じさせる街や空を背景にして、流れ落ちる液体を眺めてみた。ゆるやかに流れる液体泡の境界が、少し綺麗。
2016-03-14[n年前へ]
■「体に密着するように見えるレオタード」と「織物と編物の違い」
「布地と皮膚の応力ーひずみ曲線」のグラフ、言い換えると(皮膚を基準として)布地を伸ばして変形させた時に生じる応力を描いたグラフを眺めてみると…とても面白く感じます。たとえば、木綿やデニムは少し変形させようとしただけで強い応力が生じるとか(つまり変形しづらくて履き辛そうとか)、それとは逆にレオタードは(伸びる時は皮膚と同じ程度の柔らかさで)容易に変形するけれど、伸びるときと縮む時の動作の違い(ヒステリシス)が大きくて、縮む動作では(時に魅力的な)シワが発生しやすそう…とか、そんなさまが想像できます。
このグラフを眺めた時に一番面白く感じるのは、織物(木綿・デニム・羊毛)が伸度に対し生じる応力が大きな「伸びにくいグループ」で、編地(レオタードなど)が伸びに対して応力が生じづらい伸縮性豊かなグループだということです。…しかし、それも実はあたりまえ、なぜかというと「織物」と「編み物」の構造には違いがあって、(下記の言葉の定義にはあくまで部分的なものしか言及されていませんが)「織物」は比較的「伸び縮み=弾性体」として扱えるような構造で、「編み物」は「繊維間のズレ=まるで粘性のような挙動」が無視できない構造となっているからです。
織物とは、たて糸とよこ糸が直角に交わり、一本ずつ浮沈しながら隣の糸と密着して平面的に連なり、組織を作ります。伸縮性はあまり無く空間が少ない実用的な織り地となります。 実用的なものに多く使われ、丈夫な製品に使用されることが多いようです。
編み物はというと、一本あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて新しいループを作ることを連続して作った編み地です。
織物と編み物の違い…
自由自在に伸びるように見える(そして時に微妙に生じるシワが魅力的に見える)レオタードも、その編み目形状に特徴があって、そして、その編み目の3次元幾何学形状が生み出す光反射模様が、実はその魅力的な質感を生み出していたりするのかも…と想像してみるのも面白い気がします。
2017-03-19[n年前へ]
■天下一品がもしも太麺だったら…(汁の粘度的に)女性人気が低いラーメン店になっていたに違いない!?
天下一品の麺は、ドロドロの粘度高いスープにストレートな細麺が使っている。今日は、もしも天下一品が太麺だったらづなるか!?を考えてみた。
天下一品の高粘度なスープは、一般的な醤油ラーメンに対して2桁程度は粘度が高く、おそらく10の3乗センチポワズくらいだと思う。ということは、箸で持ち上げられた麺に絡んだ天下一品のスープは、さらさら低粘度な醤油ラーメンと比べて2桁程度も強く重力に逆らう抵抗力を受ける…ということになる。
麺に絡んだスープが、重力に対抗するより強い力を受けるということは、つまり、重力に逆らいつつ高い場所まで持ち上げられてしまうということである。そして、もしも、麺からスープが落ちることがあれば、高い場所から落ちたスープ滴が大きな運動エネルギーをスープ液面に叩きつけるということであり、悲惨な飛散を生じさせること間違いない。この「高いところから汁が滴ることによる飛散」は、粘度が高い麺類が持つ宿命である。高粘度スープを誇る天下一品は、そんな運命を持つ。
ところで、麺類から落ちる汁というものは、たいてい麺の先端から滴ると相場が決まっている。その理由は単純で、「表面積を最小にしたがる」スープの表面張力により、曲率が大きな箇所からしかスープは滴り落ちないからだ。そして「表面積を最小にしたがる」ということから、(体積と表面積で連立方程式を組めばわかるように)円筒形状に沿って吐出される液体は、円筒形状の半径をRとすると半径3/2 Rの球状になって滴り落ちることになる。つまり、麺に沿って(麺の端部から)滴り落ちるスープは、麺の太さに比例する大きさで下に落下していく…ということになる。つまり、粘度が高く・麺の径が太い食物は、「高い場所から・大きな液滴を落とすので、悲劇的な飛散を引き起こす」ということである。
天下一品の場合は、スープの粘度は高いがその麺は細い。それはつまり(麺形状の効果はとりあえず無視すれば)天下一品ラーメンは、高いところからスープ液滴が落ちやすいけれど(麺の太さにしたがって)液滴径が小さいがゆえに、まだスープ飛散はマシなはず…ということになる。
というわけで、天下一品がもしも太麺だったら、汁の粘度的にスープ液滴が飛散することよる汚れを気にしがちな女性には、人気が低いラーメン店になっていたに違いない。とはいえ、天下一品ラーメンの麺が細いからといって、女性人気が低くないかどうかは…よくわからないのだけれど…。