2016-03-14[n年前へ]
■「体に密着するように見えるレオタード」と「織物と編物の違い」
「布地と皮膚の応力ーひずみ曲線」のグラフ、言い換えると(皮膚を基準として)布地を伸ばして変形させた時に生じる応力を描いたグラフを眺めてみると…とても面白く感じます。たとえば、木綿やデニムは少し変形させようとしただけで強い応力が生じるとか(つまり変形しづらくて履き辛そうとか)、それとは逆にレオタードは(伸びる時は皮膚と同じ程度の柔らかさで)容易に変形するけれど、伸びるときと縮む時の動作の違い(ヒステリシス)が大きくて、縮む動作では(時に魅力的な)シワが発生しやすそう…とか、そんなさまが想像できます。
このグラフを眺めた時に一番面白く感じるのは、織物(木綿・デニム・羊毛)が伸度に対し生じる応力が大きな「伸びにくいグループ」で、編地(レオタードなど)が伸びに対して応力が生じづらい伸縮性豊かなグループだということです。…しかし、それも実はあたりまえ、なぜかというと「織物」と「編み物」の構造には違いがあって、(下記の言葉の定義にはあくまで部分的なものしか言及されていませんが)「織物」は比較的「伸び縮み=弾性体」として扱えるような構造で、「編み物」は「繊維間のズレ=まるで粘性のような挙動」が無視できない構造となっているからです。
織物とは、たて糸とよこ糸が直角に交わり、一本ずつ浮沈しながら隣の糸と密着して平面的に連なり、組織を作ります。伸縮性はあまり無く空間が少ない実用的な織り地となります。 実用的なものに多く使われ、丈夫な製品に使用されることが多いようです。
編み物はというと、一本あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて新しいループを作ることを連続して作った編み地です。
織物と編み物の違い…
自由自在に伸びるように見える(そして時に微妙に生じるシワが魅力的に見える)レオタードも、その編み目形状に特徴があって、そして、その編み目の3次元幾何学形状が生み出す光反射模様が、実はその魅力的な質感を生み出していたりするのかも…と想像してみるのも面白い気がします。