2009-04-12[n年前へ]
■十五の頃、いちばん恥ずかしいと思っていたこと
江國香織 「十五歳の残像 」から。
十五の頃、いちばん恥ずかしいと思っていたことは何ですか、と訊いてみた。安西さんのこたえは「人をおしのけたり自己主張したりすること」
じゃあいまいちばん恥ずかしいことは、と訊くと…
「すとん、と伝えるひと――――安西水丸さん」
2009-04-13[n年前へ]
■「表現」と「矛盾」
江國香織 「十五歳の残像 」から。
そりゃあどんどん矛盾していくよね、と、甲斐さんは言った。…
でも、と言って、甲斐さんは私の顔を見た。「でも、表現するということはそういうことでしょう?イメージをある程度限りある形で強く打ち出していく、というのが表現ななんだから」
あまりにも正しかったので、私はちょっと黙ってしまう。
「アンビヴァレンスのひと――――甲斐よしひろさん」
2009-04-14[n年前へ]
■「時に、無神経でいられること」
江國香織 「十五歳の残像 」から。
十五のころといまとで、いちばん変わったことはなんですか、と、最後に訊いた。宮本さんは少しだけ考えて、
「無神経でいようと思ったら、いられるようになったことかな」
とこたえた。丁寧な口調で。
「やわらかく強靭なひと――――宮本文昭さん」
2009-04-16[n年前へ]
■十五の頃と今と、なにが変わったと思いますか。
江國香織 「十五歳の残像 」から。
十五の頃といまと、なにが変わったと思いますか、と訊いた。
「大人になったんじゃない?自分をごまかす、とか、許す、とか、そういうことは長けてきたと思います。
「私はもどりたいもの。いまの心境でよ。いま会ってる人、いま好きな人の、若いころに会ってみたい」
と、ちょっと色っぽい声音で言うのだった。
「色とりどりに、話すひと――――おすぎさん」
2009-04-19[n年前へ]
■「聡明なひと」
江國香織 「十五歳の残像 」から。
長塚さんが聡明なひとなのはすぐにわかった。最初にした写真撮影で、カメラに向かう姿がとても美しかったから。
そうなのだ。私たちは今の長塚京三さんを見る。それが全部。聡明なひと、というのはつまり、絶望の認識のあるひと、ということなのだろう。
ただし、長塚さんの言葉にはとても肯定的な響きがあって、…私はちょっとほっとした。ほっとするのも変だけど。
「モノトーンのひと――――長塚京三さん」
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