2002-03-16[n年前へ]
■あなたのとりこ
サントリー 緑水 光の中へ編。このCMとても好き。動画はリアルオーディオの方は私の環境ではパラパラマンガになってしまったので、メディアプレーヤーの方で見た方が良いかも。シルヴィ・バルタンのあなたのとりこがフルコーラスで聴けるのもありがたい。
主人公は女子大生。朝、陽光の射す駅のホームで人混みの中に最近知り合ったばかりの気になる男の子を見つけます。思わずこぼれる笑み。ところが次の瞬間、男の子の隣には親友の姿が…。そのまま列車に乗ると、いつしか列車は都会を離れ、郊外までやってきます。小さな駅に降りると周りは鮮やかなみどりにあふれ、太陽はなにもかもをキラキラと輝かせている…。(リンク)
2002-04-17[n年前へ]
2002-06-23[n年前へ]
■あなたが描く私の木漏れ日
The your sun streaming through my fingers
「木もれ日プロジェクト」というものを見た。表参道のSPIRALの一角に展示されている木村崇人氏の作品である。色んな形の灯りを作ってやって、木漏れ日が色んな形になるのを楽しもう、という作品である。星形や三日月型の灯りが発する光に掌をかざすと、指の隙間からこぼれた光はキラキラとした星形になったり、幾重にも重なる三日月型になったりするのである。
太陽は丸いから、木漏れ日を見てもいつもは何の不思議にも感じない。だけど、こんな色んな形の木漏れ日を眺めると、重なり合う木々の葉がピンホールレンズになっていて、木漏れ日が刺す様子が大きなカメラオブキュラだったことに今さらながら気づくのである。そしてまた、重ねた掌の隙間からこぼれ出す光が星形を描くとき、とても不思議に気持ちよく感じる。
これを眺めた後に、私も色んなカタチの灯りを作って色んなカタチの木漏れ日を作ってみようか、と考え、それには何が必要かな、はさみと、ランプと、光を拡散させるためのトレーシングペーパーと、色んな色の木漏れ日を使いたいからカラーフィルターも…、と考え始めたときに気が付いた。そんなに色んなものがなくても大丈夫なのだった。考えてみれば、パソコンのディスプレイの画面はかなり明るいのだから。パソコンの画面に「色んな形」を描けば良いだけの話なのである。つまりは、パソコンでお絵かきしている画面を「太陽」の代わりにすれば良いのだ。そして、その画像だけを画面に表示させて、真っ暗な部屋でそのディスプレイの前に手をかざせば、壁に映し出される掌の影の隙間には「色んな形」の木漏れ日が幾重にも重なり見えてくるはずだ。
そこで、例えばこんな風にPhotoshopのフルスクリーンモードで星型を描いてみた。
そして、部屋を暗くして両手を重ねると、両手を重ねた隙間を抜ける光が「木漏れ日」を形作る。それはPCの画面に描いた星型をしている。重ねた両手の指の隙間から抜けた光が、幾重にも重なる星型になって光るのである。
もちろん、PCの画面に自分で「色んな形」を描かなくても良いだろう。誰かが楽しそうにお絵かきをする。マウスを動かして、色んな言葉を書き込んでみたり、ハートマークを書いてみたりする。私はディスプレイの前で手をかざしている。そうすれば、私の掌の影の中の木漏れ日は色んな言葉やハートマークをゆっくり描き出すだろう。それはとても気持ちよい景色に違いない。
そして、さらにはこんな風にも考えてみた。その他の誰かは必ずしも私のPCで「色んな形」を描く必要はない。例えば、ネットワークの何処かに繋がった他のPCを前にして、そんなお絵かきをしてみても良いはずだ。
- Photoshopをフルスクリーンモードで動かして、黒を背景にして好きなものを描く
- その画面をVNCのような「ネットワークを介してPCの画面を転送するソフト」でネットワーク上の他のPCに送る
- その送られた画面を(例えば)InternetExplorerをVNCビューアーにして、フルスクリーンモードで表示する
「三色のハートマーク」の姿をしている |
「あなたの木漏れ日・ストリーミング」はちょうどこんな感じだ。例えば、何処かで誰かが何かを描く。恋人が親があるいは誰かが、他の誰かへの気持ちを描く。例えば、何かの「キモチのカタチ」を描く。例えば、ハートマーク、あなたの名前ををゆっくり描く。あるいは、PCに繋がったCCDカメラに向かってポーズを手を振ってみる。
そこから離れた何処かの場所で、その恋人がその子供があるいは他の誰かが、PCのディスプレイが発する光に掌をかざしてみる。その掌の隙間から漏れた光は掌の下に木漏れ日となって何かを描く。ネットワークに繋がった遠く何処かで誰かが描いている気持ちが、誰かの名前を綴る文字が、あるいは手を振る姿が離れた場所のPCの前にかざす掌の下の木漏れ日になる。遠く何処かで描かれていく「キモチのカタチ」が、「笑いながら遠くで手を振る誰かの姿」が、木漏れ日となって、私達が重ねる掌の下で光り、映し出され、そして私達の目の前に浮かび上がってくる。
2002-08-04[n年前へ]
■キラキラ光る景色を描く
「木漏れ日」プラグイン「リン」を作る
夏の休日には、朝早く起きて西伊豆の松崎の先にある「雲見・岩地・石部」辺りへ行って、海の中でお魚と戯れてみたり、海辺の温泉に長々とつかってみたりする。例え休日であっても朝早く行けば混雑とは無縁だし、海に照りつける太陽と温泉とビールの三点セットが揃えば、夏の景色としてはとても素敵なのである。
とはいえ、今日は朝寝坊したので、松崎までは行かずに「無名だけれどとても良い感じの場所」へ行った。海辺に車を止めて、景色を眺めて、ほんの少しの時間泳いでみた。下はその西伊豆の某所で眺めた「今日見た景色」だ。
「雲見、岩地、石部」であれば温泉も海も最高だけれど、西伊豆の辺りには他にも「海水が綺麗で、人も全然いなくて、トイレも水もある」ような場所はいくつもある。これはそんな場所の一つ。 県道から海辺の集落に向かう道沿いには素晴らしい滝もあって、まるでプレイステーション2のゲームソフト「ぼくのなつやすみ2海の冒険篇」の世界に迷い込んだかのよう。 実際に眺めていた景色はもっとキラキラしていたハズなのに、その片鱗も残っていない…。それはひとえに写真を撮ったワタシのウデが悪いから。 |
海辺でワタシが実際に眺めていた景色は、もっとずっと「キラキラ」していたハズなのに、残念なことに上の写真を眺めてみても、その片鱗すら残っていない。揺れてる波間も、足下の濡れている岩も、眩しい太陽だってもっとずっとキラキラしていたハズなのに、上の写真はただボンヤリした写真になってしまっている。それは、ひとえに写真を撮ったワタシのウデが悪いからである。もちろん、それが一番の理由である。クヤシイ話ではあるが、確かにワタシのウデは悪いのである。
とはいえ、言い訳を少しばかり書くならば、実際に眺めていた景色がもっとずっとキラキラしていた理由は他にも考えられる。例えば、ワタシ達が景色を眺めるときには、目の前にかかる髪の毛や、睫毛や、目の水晶体を通して景色を眺めているわけで、それらの中で光が回折したりして、キラキラとまるで虹のように光が輝いて見えたりするからだ。そのため、例えば夜空の星の形、本来は丸いはずの星の形、が星型に見えたり、木漏れ日が虹のように輝いて見えたりする。
そんな様子をもしカメラで再現しようとするならば、ケンコーが出しているクロスフィルターのようなものをつけることになる。しかし、手軽さが取り柄のデジタルカメラでわざわざそんなフィルターをつけるのは面倒くさいし、第一人によって見え方は違うから、「ただ一つのフィルター」で写真を撮ってしまうのは少しばかりイヤな気がする。例えば、「私は目の前に髪の毛がたくさんかかってしまって邪魔なのー」という人もいれば、「最近、抜け毛がハゲしーなぁ…、目の前に髪の毛がたくさんかかっていたあの頃が懐かしぃ…」という人もいるわけで、そんな二人が眺めた景色はきっと全然違うハズなのである。「百人の人がいれば百人百葉様の景色を眺めている」わけで、写真を撮る時点でただ一つのフィルターをデジカメにはめて写真を撮ってしまうのも面白くない。フィルターに限らず、何事も一つの枠にはめてしまうのは良くないのである。
デジカメの便利なところは、何より撮った後の画像加工が自由自在、というところなわけで、撮った後に「眺めた景色」を再現するように画像を加工してやれば、「写真を撮るときには素直な景色を撮って」「その後で自分が眺めたキラキラ光る景色を蘇らせる」ということができる。そこで、今回はそんな「キラキラ光る景色を描く」Photoshop用のプラグインを作ってみることにした。そして、ワタシの写真の腕の悪さを「技術の力」で誤魔化そうと思うのである。
といっても、基本的には、「ボケ」た背景で包み込めの時の処理を基にして、
- 色々な畳み込みの演算カーネル形状を用意し
- 演算カーネルのサイズを強度やアルファチャンネルの情報を元にしてピクセル単位で可変にし
- カーネル演算を対数変換有無などに対応する
RINgの出力サンプルを少し眺めてみると、下の画像のようになる。まず最初のサンプル画像は、クローバーの写真に「虹十字状」の畳み込みの演算カーネルを用いて、処理をしてみたものだ。左のオリジナル画像では、朝露を載せて光るクローバーを眺めるときに私達が感じる「キラキラしたようす」がほとんど写っていないが、右のフィルター後の写真では私達が睫毛などを通して景色を見るときに感じる虹色のキラキラした自然?な景色が映し出されている。
(畳み込みの演算カーネルは虹十字状) |
そして、また下の写真は、新宿から初台へ歩く途中で眺めた木漏れ日の向こうのビルの景色だ。左のオリジナル写真はクッキリ・ハッキリ写っているのだが、ただ「それだけ」である。太陽の光を遮る木々の葉っぱも、そこから降り注ぐキラキラする木漏れ日も写ってはいない。しかし、右のRINgが描いた景色の方では、ボンヤリと、だけど強く光る初夏の「木漏れ日」が確かに写っているのである。夏の空気が写っているかのようなのだ。
(畳み込みの演算カーネルは円状) |
もちろん、このRINgは「ボケ」た背景で包み込めの時の処理を基にしているので、写真のボケも再現することができる。例えば、六角形の畳み込みの演算カーネルを用いて、画面全体に同じ演算カーネルで処理をかけると下の右の写真のようにピンボケの写真を再現することができる。
また、アルファチャンネルも選択してフィルタ処理を行うと、自動的にアルファチャンネルの情報を基に畳み込みの演算カーネルサイズを画素毎に変化させる。だから、例えばアルファチャンネルに距離の情報を入れておいてやれば、下の写真のように距離に応じたボケなども再現することができる。この写真では画面中央下の領域はピントが合ってていて、そこから離れるに従って、ピンボケの具合が大きくなっている。もっとも、現在のバージョンでは大雑把に計算してみただけなので、空の部分などに疑似輪郭などがずいぶんと発生してしまっている。きっと、それはいつかのバージョンで直すつもりなのである。
(畳み込みの演算カーネルは円状) |
今回のRINgプラグインは光が広がる様子を保存した「畳み込みの演算カーネル」を基に画像にフィルタをかけるだけなので、使う演算カーネルの形状・様子によって色んなフィルタに早変わりする。
例えば、デフォルトでつけてある三日月型の"Moon"カーネルを使えば、色んな灯りが三日月型に光る景色に早変わりする。もし、星空の写真に"Moon"カーネルでRINgプラグインをかけたら、いきなり全ての星が三日月に早変わりだ。また、"Smile"カーネルであれば、いきなり光が大小様々な「笑顔」に早変わりする。そんな風にして、色んな画像ファイルを演算カーネルにして見ると、色んな景色が見えてくるはずだ。例えば、「星はなぜ星型に見えるのか」のグループが作成した「星型シミュレーションソフトウェア」の出力結果を演算カーネルにすれば、目の前の景色が星空の向こうの景色に早変わりするだろう。そしてまた、水で満たしたコップの向こうに浮かぶ光の画像を使えば、RINgはデジカメで撮った色々な写真を水槽の向こうの景色であるかのように描き直したりするかもしれないし、あるいはまたまるで瞳に涙を浮かべながら景色を眺めてみたかのように描き直したりするかもしれない。